この話題に取り組んでみたいと思う。
先日、海岸の生き物を調べていたときに、こんな出会いがありました。
砂浜でしゃがんだり、流木をひっくり返しているオラに向かって、3人の若者が声をかけてきた。
「何やっているんですか?」
「海岸にいる小さな生き物を捜しています。主に昆虫です」と答えるオラ。
若者「こんなところにも生き物がいるんですか?」
オラ「ええ、いますよ。流木の下とか、波打ち際とか、砂浜に生えている草の根元にもいます」
といって、砂浜で跳ねているヤマトバッタを捕まえて、若者達に見せる。
若者「えーっ!砂の模様にそっくりなんですね。こんなのがいるんだ」
オラ「こんな生き物もいますよ」
と、偶然砂上で歩行していたハマヒョウタンゴミムシダマシを捕まえて見せる。
若者「これも、砂の模様にそっくりだ!、こんな生き物がいるなんて全然知らなかった」
オラ「実はこんなところにもいますよ」
と、流木を動かし、オオハサミムシを見せる。
若者「ハサミムシ‥。これは見たことがある。
実は僕達はボランティアで○○県(西日本の方)から来ました。サーフィン仲間が集まって、海岸の清掃の活動をしております。海岸をキレイにしないと、波乗りや釣りもできませんしね」
オラ「それは遠いところからありがとうございます。
でも今ご覧になったように、砂浜にはこのような目立たない生き物たちのすみかになっています。先ほどからお見せしている生き物のほとんどは、大きな川の砂地にもいますが、主に砂浜限定で生息しています。」
若者「こういう生き物がいることを知らずに清掃活動を行っていました。砂浜を清掃するにあたっての注意点は、どんなことですか?」
オラ「プラスチックやガラスなど腐らない物は片付けていただいてけっこうなのですが、この木片などはそのままにしておいていただけると助かります。ただし、釘が刺さったままの木片などは片付けていただいた方が良いですよね。危険だし」
若者「そうですね、よく分かりました。いやあ、知らないことばかりで、良い体験になりました」
オラ「いえいえ、ホント皆さんの行動力には頭が上がらないです。
砂浜にはこういった生き物の他にも、砂浜にしか生えていない植物も生えています。多くの方々のイメージでは、砂浜には松林と植物の生えていない砂浜のイメージしかないでしょうけれど‥。」
若者「確かにそうですね‥。海の生き物といったら、貝とか魚とかヒトデとか‥」
オラ「ウミガメでも卵を産んでくれれば、砂浜の自然も注目されるんでしょうけれどね」
あとは、津波が来たときのことなんかをちょっと話をして若者達とは別れました。
と、いった出来事がありました。
海岸の自然といったら、この若者達の認識が普通ではないかな。って、上から目線で語って申し訳ないですが。
復興事業により、海岸線の自然に危機があるということは、このブログでも何度か取り上げた。
しかし、この危機については、ほとんどの人々は気が付かない。
学校などで子供達に理想の復興像を描かせたりすると、海に魚はいても、上記に挙げた生き物などは、まず出てこない。
この原因を作っているのは、我々生き物に携わる者達のPR不足があると思う。
その一方、行政側では現状の海岸線の自然調査を様々な形で行っている。
そこで出された資料は何に使われるか、これまたシークレットになっている。
似たようなものを挙げてみよう。
文化財保護である。
(埋蔵)文化財保護と開発、自然保護と開発については、それぞれの性質上違いがあるが、簡単に言えば、文化財保護は広くオープンされるけれど、定まった手続きがなされれは、よほどのことがない限り計画通り開発が出来るけれど、一方、自然保護は場合によっては事業そのものに影響を及ぼすため、なかなか公表されないという図式がある。
(↑これもいずれ言及しないといけないかも)
現在、被災した海岸線は、沢山の工事車両が走り回り、その事業内容によって縦割りで工事が行われている。
ある事業で、自然調査がなされても、隣接する別の事業では互換性がないし、そもそもその事業の環境アセスメントがなされているかもわからない。
その工事現場は、現在立ち入り禁止になっており(もちろん危険防止のためもある)、気が付けば海岸線付近に巨大な土盛りが築かれたり、クロマツ林が切られていたり、辛うじて残った湿地なんかも埋め立てられている。
このままでは、被災地の海岸の生き物の多くは、標本でしか残らなくなってしまうかもしれない。
‥。
でも、たとえ海岸の生き物がいなくなったとしても、あの大災害から人命と財産を守るためには仕方がないのではないか??
そもそも、人間とほとんど関わりの持たない微少な生き物が「いても、いなくなっても」何の影響もないのでは??
という意見があるのも承知しております。
そもそも自然保護って何だ??
っていう考えもオラは持っています。
「このとばっちりは、いつか人間に返ってくる」とか、「○○が棲めなくなったら、人間も住めなくなる」という意見は、自然保護の立場からも聞こえてきます。
でもリアリティが無いんだよね、実際。
では、板東蝦夷、お前はこんなブログを運営していながらも自然を愛していないのか??
という声が聞こえてきます。
オラは、子供の頃から自然に親しんできました。
色んな生き物を知ることで、知識が深まってきたし、人生を楽しむアイコンの一つであるのも間違いないです。
でも、これって「世の中が平和であって、初めて成り立つもの」では??
それも正論だと思います。
オラが自然から学んだ様々なことについては、「博物学」としてオラは勝手にひとくくりにしています。
その「博物学」の価値とは??、問題点とは??
ということをまた書きたいと思います。
またもや長文、失礼しました。
画像:カワラハンミョウ(ハンミョウ科) 7月下旬 某所
津波のガレキの上で静止するこの昆虫、見つけたときはとっても感動しました。
この種は、大きな河川の砂地や、砂浜に生息しております。
しかし河川の生息地はほとんど消え、現在生息環境は砂浜に残っております。
もはや名前通りのカワラではなくなってきてます。
生息地は当然、津波の影響を受けました。
でも本来こういった場所に生息している昆虫なので、大丈夫なはずです。が‥。
砂浜海岸そのものの消失、生息地に工事用の道路などが施工されたため、その環境は非常に悪くなっています。
地域によっては、標本のみ残ってしまう昆虫の一つになる可能性があります。
先日、海岸の生き物を調べていたときに、こんな出会いがありました。
砂浜でしゃがんだり、流木をひっくり返しているオラに向かって、3人の若者が声をかけてきた。
「何やっているんですか?」
「海岸にいる小さな生き物を捜しています。主に昆虫です」と答えるオラ。
若者「こんなところにも生き物がいるんですか?」
オラ「ええ、いますよ。流木の下とか、波打ち際とか、砂浜に生えている草の根元にもいます」
といって、砂浜で跳ねているヤマトバッタを捕まえて、若者達に見せる。
若者「えーっ!砂の模様にそっくりなんですね。こんなのがいるんだ」
オラ「こんな生き物もいますよ」
と、偶然砂上で歩行していたハマヒョウタンゴミムシダマシを捕まえて見せる。
若者「これも、砂の模様にそっくりだ!、こんな生き物がいるなんて全然知らなかった」
オラ「実はこんなところにもいますよ」
と、流木を動かし、オオハサミムシを見せる。
若者「ハサミムシ‥。これは見たことがある。
実は僕達はボランティアで○○県(西日本の方)から来ました。サーフィン仲間が集まって、海岸の清掃の活動をしております。海岸をキレイにしないと、波乗りや釣りもできませんしね」
オラ「それは遠いところからありがとうございます。
でも今ご覧になったように、砂浜にはこのような目立たない生き物たちのすみかになっています。先ほどからお見せしている生き物のほとんどは、大きな川の砂地にもいますが、主に砂浜限定で生息しています。」
若者「こういう生き物がいることを知らずに清掃活動を行っていました。砂浜を清掃するにあたっての注意点は、どんなことですか?」
オラ「プラスチックやガラスなど腐らない物は片付けていただいてけっこうなのですが、この木片などはそのままにしておいていただけると助かります。ただし、釘が刺さったままの木片などは片付けていただいた方が良いですよね。危険だし」
若者「そうですね、よく分かりました。いやあ、知らないことばかりで、良い体験になりました」
オラ「いえいえ、ホント皆さんの行動力には頭が上がらないです。
砂浜にはこういった生き物の他にも、砂浜にしか生えていない植物も生えています。多くの方々のイメージでは、砂浜には松林と植物の生えていない砂浜のイメージしかないでしょうけれど‥。」
若者「確かにそうですね‥。海の生き物といったら、貝とか魚とかヒトデとか‥」
オラ「ウミガメでも卵を産んでくれれば、砂浜の自然も注目されるんでしょうけれどね」
あとは、津波が来たときのことなんかをちょっと話をして若者達とは別れました。
と、いった出来事がありました。
海岸の自然といったら、この若者達の認識が普通ではないかな。って、上から目線で語って申し訳ないですが。
復興事業により、海岸線の自然に危機があるということは、このブログでも何度か取り上げた。
しかし、この危機については、ほとんどの人々は気が付かない。
学校などで子供達に理想の復興像を描かせたりすると、海に魚はいても、上記に挙げた生き物などは、まず出てこない。
この原因を作っているのは、我々生き物に携わる者達のPR不足があると思う。
その一方、行政側では現状の海岸線の自然調査を様々な形で行っている。
そこで出された資料は何に使われるか、これまたシークレットになっている。
似たようなものを挙げてみよう。
文化財保護である。
(埋蔵)文化財保護と開発、自然保護と開発については、それぞれの性質上違いがあるが、簡単に言えば、文化財保護は広くオープンされるけれど、定まった手続きがなされれは、よほどのことがない限り計画通り開発が出来るけれど、一方、自然保護は場合によっては事業そのものに影響を及ぼすため、なかなか公表されないという図式がある。
(↑これもいずれ言及しないといけないかも)
現在、被災した海岸線は、沢山の工事車両が走り回り、その事業内容によって縦割りで工事が行われている。
ある事業で、自然調査がなされても、隣接する別の事業では互換性がないし、そもそもその事業の環境アセスメントがなされているかもわからない。
その工事現場は、現在立ち入り禁止になっており(もちろん危険防止のためもある)、気が付けば海岸線付近に巨大な土盛りが築かれたり、クロマツ林が切られていたり、辛うじて残った湿地なんかも埋め立てられている。
このままでは、被災地の海岸の生き物の多くは、標本でしか残らなくなってしまうかもしれない。
‥。
でも、たとえ海岸の生き物がいなくなったとしても、あの大災害から人命と財産を守るためには仕方がないのではないか??
そもそも、人間とほとんど関わりの持たない微少な生き物が「いても、いなくなっても」何の影響もないのでは??
という意見があるのも承知しております。
そもそも自然保護って何だ??
っていう考えもオラは持っています。
「このとばっちりは、いつか人間に返ってくる」とか、「○○が棲めなくなったら、人間も住めなくなる」という意見は、自然保護の立場からも聞こえてきます。
でもリアリティが無いんだよね、実際。
では、板東蝦夷、お前はこんなブログを運営していながらも自然を愛していないのか??
という声が聞こえてきます。
オラは、子供の頃から自然に親しんできました。
色んな生き物を知ることで、知識が深まってきたし、人生を楽しむアイコンの一つであるのも間違いないです。
でも、これって「世の中が平和であって、初めて成り立つもの」では??
それも正論だと思います。
オラが自然から学んだ様々なことについては、「博物学」としてオラは勝手にひとくくりにしています。
その「博物学」の価値とは??、問題点とは??
ということをまた書きたいと思います。
またもや長文、失礼しました。
画像:カワラハンミョウ(ハンミョウ科) 7月下旬 某所
津波のガレキの上で静止するこの昆虫、見つけたときはとっても感動しました。
この種は、大きな河川の砂地や、砂浜に生息しております。
しかし河川の生息地はほとんど消え、現在生息環境は砂浜に残っております。
もはや名前通りのカワラではなくなってきてます。
生息地は当然、津波の影響を受けました。
でも本来こういった場所に生息している昆虫なので、大丈夫なはずです。が‥。
砂浜海岸そのものの消失、生息地に工事用の道路などが施工されたため、その環境は非常に悪くなっています。
地域によっては、標本のみ残ってしまう昆虫の一つになる可能性があります。