二十二世紀への備忘録

管理人の「坂東蝦夷(ばんどうえみし)」です。二十二世紀に残しておきたいことを記していきます。 

イメージが湧かない自然

2013年10月27日 20時57分27秒 | 雑感(昆虫)
この話題に取り組んでみたいと思う。

先日、海岸の生き物を調べていたときに、こんな出会いがありました。

砂浜でしゃがんだり、流木をひっくり返しているオラに向かって、3人の若者が声をかけてきた。
「何やっているんですか?」

「海岸にいる小さな生き物を捜しています。主に昆虫です」と答えるオラ。

若者「こんなところにも生き物がいるんですか?」
オラ「ええ、いますよ。流木の下とか、波打ち際とか、砂浜に生えている草の根元にもいます」

といって、砂浜で跳ねているヤマトバッタを捕まえて、若者達に見せる。

若者「えーっ!砂の模様にそっくりなんですね。こんなのがいるんだ」
オラ「こんな生き物もいますよ」
と、偶然砂上で歩行していたハマヒョウタンゴミムシダマシを捕まえて見せる。

若者「これも、砂の模様にそっくりだ!、こんな生き物がいるなんて全然知らなかった」
オラ「実はこんなところにもいますよ」
と、流木を動かし、オオハサミムシを見せる。

若者「ハサミムシ‥。これは見たことがある。
 実は僕達はボランティアで○○県(西日本の方)から来ました。サーフィン仲間が集まって、海岸の清掃の活動をしております。海岸をキレイにしないと、波乗りや釣りもできませんしね」
オラ「それは遠いところからありがとうございます。
 でも今ご覧になったように、砂浜にはこのような目立たない生き物たちのすみかになっています。先ほどからお見せしている生き物のほとんどは、大きな川の砂地にもいますが、主に砂浜限定で生息しています。」

若者「こういう生き物がいることを知らずに清掃活動を行っていました。砂浜を清掃するにあたっての注意点は、どんなことですか?」
オラ「プラスチックやガラスなど腐らない物は片付けていただいてけっこうなのですが、この木片などはそのままにしておいていただけると助かります。ただし、釘が刺さったままの木片などは片付けていただいた方が良いですよね。危険だし」
若者「そうですね、よく分かりました。いやあ、知らないことばかりで、良い体験になりました」
オラ「いえいえ、ホント皆さんの行動力には頭が上がらないです。
 砂浜にはこういった生き物の他にも、砂浜にしか生えていない植物も生えています。多くの方々のイメージでは、砂浜には松林と植物の生えていない砂浜のイメージしかないでしょうけれど‥。」
若者「確かにそうですね‥。海の生き物といったら、貝とか魚とかヒトデとか‥」
オラ「ウミガメでも卵を産んでくれれば、砂浜の自然も注目されるんでしょうけれどね」

あとは、津波が来たときのことなんかをちょっと話をして若者達とは別れました。

と、いった出来事がありました。


海岸の自然といったら、この若者達の認識が普通ではないかな。って、上から目線で語って申し訳ないですが。


復興事業により、海岸線の自然に危機があるということは、このブログでも何度か取り上げた。

しかし、この危機については、ほとんどの人々は気が付かない。
学校などで子供達に理想の復興像を描かせたりすると、海に魚はいても、上記に挙げた生き物などは、まず出てこない。

この原因を作っているのは、我々生き物に携わる者達のPR不足があると思う。


その一方、行政側では現状の海岸線の自然調査を様々な形で行っている。
そこで出された資料は何に使われるか、これまたシークレットになっている。

似たようなものを挙げてみよう。
文化財保護である。

(埋蔵)文化財保護と開発、自然保護と開発については、それぞれの性質上違いがあるが、簡単に言えば、文化財保護は広くオープンされるけれど、定まった手続きがなされれは、よほどのことがない限り計画通り開発が出来るけれど、一方、自然保護は場合によっては事業そのものに影響を及ぼすため、なかなか公表されないという図式がある。
(↑これもいずれ言及しないといけないかも)

現在、被災した海岸線は、沢山の工事車両が走り回り、その事業内容によって縦割りで工事が行われている。
ある事業で、自然調査がなされても、隣接する別の事業では互換性がないし、そもそもその事業の環境アセスメントがなされているかもわからない。

その工事現場は、現在立ち入り禁止になっており(もちろん危険防止のためもある)、気が付けば海岸線付近に巨大な土盛りが築かれたり、クロマツ林が切られていたり、辛うじて残った湿地なんかも埋め立てられている。

このままでは、被災地の海岸の生き物の多くは、標本でしか残らなくなってしまうかもしれない。


‥。

でも、たとえ海岸の生き物がいなくなったとしても、あの大災害から人命と財産を守るためには仕方がないのではないか??

そもそも、人間とほとんど関わりの持たない微少な生き物が「いても、いなくなっても」何の影響もないのでは??

という意見があるのも承知しております。

そもそも自然保護って何だ??

っていう考えもオラは持っています。
「このとばっちりは、いつか人間に返ってくる」とか、「○○が棲めなくなったら、人間も住めなくなる」という意見は、自然保護の立場からも聞こえてきます。

でもリアリティが無いんだよね、実際。

では、板東蝦夷、お前はこんなブログを運営していながらも自然を愛していないのか??

という声が聞こえてきます。


オラは、子供の頃から自然に親しんできました。
色んな生き物を知ることで、知識が深まってきたし、人生を楽しむアイコンの一つであるのも間違いないです。

でも、これって「世の中が平和であって、初めて成り立つもの」では??

それも正論だと思います。

オラが自然から学んだ様々なことについては、「博物学」としてオラは勝手にひとくくりにしています。

その「博物学」の価値とは??、問題点とは??
ということをまた書きたいと思います。

またもや長文、失礼しました。



画像:カワラハンミョウ(ハンミョウ科) 7月下旬 某所

津波のガレキの上で静止するこの昆虫、見つけたときはとっても感動しました。

この種は、大きな河川の砂地や、砂浜に生息しております。
しかし河川の生息地はほとんど消え、現在生息環境は砂浜に残っております。
もはや名前通りのカワラではなくなってきてます。

生息地は当然、津波の影響を受けました。

でも本来こういった場所に生息している昆虫なので、大丈夫なはずです。が‥。
砂浜海岸そのものの消失、生息地に工事用の道路などが施工されたため、その環境は非常に悪くなっています。

地域によっては、標本のみ残ってしまう昆虫の一つになる可能性があります。

自己避難の勧め

2013年10月20日 20時23分25秒 | 雑感(風景)
実は違うテーマである記事を書いていましたが、なんか大きな出来事があったので、こちらを書いてみます。

先日の台風26号では、伊豆大島で甚大な被害が発生しました。
町が避難勧告を出さなかったことで関心が寄せられておりますが、オラからしてみれば、「なんのための避難勧告だ!!」と言いたいところです。

町が避難を判断する状況になった頃には、既に危険な状態あるいは災害が発生していたというところから、避難を促さなかったといいます。難しい判断になるまで事態が差し迫っていたんですね‥。
しかし‥。

もし自分が、この場にいたらどうしたか??

消防団員で震災を経験して、なおかつ仕事上自然の驚異も体験している者としては、たぶん、やばい雨が降ってきた15日深夜の段階で、避難したと思います。
オラはあれから小心者に輪がかかったので。

町が避難を促す判断材料として、最も活用するのが気象庁が発する様々な情報だと思います。
現在は、スマートフォンやパソコンなどで、雨雲レーダーを見ることが容易になりました。
長時間は無理であっても、数時間先までの予測は出来るようになりました。
これを活用しない手はありません。

って、既にやっている人もいるだろうし、ネットが出来ないお年寄りとかはどうするんだ??
という問題があると思います。

そこは、警察、消防、役場職員などがこまめにチェックして、その情報から「自主的に」判断された方が、被害が軽減すると考えます。

オラの考える、自主判断のポイントは以下の通り。

1.気象庁の警報は時差がある。けっこう酷くなってから発せられる
2.気象庁の判断を鵜呑みにしない
3.テレビ、ラジオの報道にも偏りがあるから、これも鵜呑みにしない
4.ようは参考にはなるけれど、信じ切ってはいけない
5.日頃、気象について調べたり、避難場所をチェックする

こんなところでしょうか。これ以外に何かあったら教えてください。

1~4のことは、気象庁という組織のことをもう少し知っておいた方が良いかなと思います。

ウィキペディアによると、気象庁とは「国土交通省の外局」だそうです。

国交省なんて出てくると、「お役所」のイメージが湧きますが、「外局(がいきょく)」とは、辞書を調べてみると、
 内閣の統括する府・省の内部部局の外に在って府・省に直属し、特殊の事項を所管する機関。庁・委員会の名称をもつ(引用:広辞苑)

気象庁も特殊の事項を所管している、お役所ということになる(のかな??)。

そんな機関なんで、色んな命令、規則に縛られるし、お役所の一つであることから、ある事項を当てはめてみたり、統計を採っている機関のようであります。

例えば、最近画像に撮られることが多くなった「竜巻」は、動画で撮られているにもかかわらず、竜巻と判断するまで、なかなか決定しないです。よく報道では「竜巻とみられる突風が発生しました」と報じているのを耳にしているのでは??
気象庁が認める竜巻とは、上空の漏斗雲が地面に達しないと竜巻とは言わないらしいです。(この他にも条件があるみたいだけれど‥)

で、台風ですが、これにも条件があって、「北西太平洋や南シナ海に発生した熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が17m/s以上のもの指す(参考:ウィキペディア)」とあります。

統計するためには、それを判断する基準というものが必要であることは確かですが、テレビ、ラジオの報道は熱帯低気圧が台風に発達した途端に、「中心は○○付近、気圧は‥、最大風速は‥」と報道の仕方が変わります。そして「中心付近(これがいわゆる台風らしい)」に拘って、報道され、その台風が南海上にあるときであっても、本土が雨で酷くなってきても、報道はこの台風に位置に偏った報道がなされていると思います。

だから、これから台風が接近して、もっと酷い目にあるかもしれないといって、耕作地や漁船を見に行った人が流されたりといった痛ましい事故が発生したりします。
これは以前ブログに書いたと思います。

さらにその台風の中心が本土に上陸にしたとか、しないとか「気象庁というお役所の統計上の関心事」が、報道にまで影響を与えているのが現状のようで、この他にも「注意報、警報、特別警報の基準」も当然に存在します。

なんか、今回の災害でお役所的判断では、出せなかった特別警報があだになって、見直しも検討するとかしないとか‥。

でも一番の判断は、「自然現象を他人任せにしない」ということだと思います。

よく、梅雨明けは関心事にあがりますが、これも気象庁の判断に頼っていると、いつまでも梅雨が明けなかったり、地方で梅雨明け梅雨明けが特定出来ないなんて、線引きが発生します。
オラは気にしていないけれど。

だから、自分で判断して、やばいと思ったら、さっさと避難した方が絶対良いと思います。
過剰かもしれませんが、あとから笑い話になればそれはそれで。

すっごく長話を書いてしまったけれど、とにかく、自分の命を守るのは、他人任せにしてはいけないって書けば良かった。たったそれだけの話。
イカンなあ‥。


画像:野蒜海岸 宮城県 9月下旬

震災後の風景ですが、一見分からないほど回復しているように見えます。

災害後に沢山のボランティアの方々が、片付けてくれたからだと思います。
海浜植生もけっこう見られますし。

しかしこの海岸の内陸側では、堤防のかさ上げ、さらに内陸には海岸林再生という名の下に、土壌のかさ上げが予定されてます。今は湿地も回復している過程なんだけれどね。

海岸部の生き物といえば、真っ先に魚類とフナムシなどがイメージされますが、植物も昆虫も生息しています。
これが今、危機にさらされています。

生き物の調査に携わる者として感じるのは、その危機を伝えるのにもっともっとPRすべきであると思ってます。

この辺もいずれ長文を書くと思います。
今日はとりあえず止めておきます。