寒来光一の日替わり笑話

お笑い作家・寒来光一(さむらいこういち)が、毎日(たぶん?)、笑いのネタをお送りします。

その後の一寸法師(笑ート笑ート)

2022-08-02 10:37:39 | 笑ート笑ート
 一寸法師と姫は、その後幸せな人生を送ったかというと、実はそう
ではない。
 打ち出の小槌という万能道具があるために、すべて願い事がかなっ
てしまうのである。

 人生が思い通りになるというのは、一見、幸せそのもののように思
えるが、考えてみればこれほど退屈なこともなかった。何でも努力せ
ずに実現できるのだから、やる気も失せてしまう。一寸法師は、打ち
出の小槌を手に入れたことを、心から後悔していた。

 一方、姫はと言えば、小槌でブランド品を次から次に手に入れ、限
りなき欲望を満たそうとしていた。いわゆる「打ち出の小槌シンドロ
ーム」にかかっていたのだ。

 一寸法師は、思った。
「このままでは、自分たちの人生がダメになる」
 そこで、一寸法師は、思い切って打ち出の小槌を焼いてしまったの
である。
 怒ったのは、姫の方だ。
「このボケ、カス、アホンダラ!」「打ち出の小槌を焼くやなんて、
なんちゅうことしてくれたの!」
 あらん限りの言葉を連ねて、一寸法師を罵った。

 しかし、焼いてしまった物は、もう元には戻らない。姫もとうとう
あきらめてしまった。そして、その後は、どんな困難にぶつかっても、
手を取り合って乗り越え、幸せな人生を送ることができたのだった。

 それにしても、一寸法師は大胆な決断をしたものだった。打ち出の
小槌を焼くのは、大きなリスクだったのである。しかし、一寸法師の
リスク管理意識は、なかなかのものだった。
 実は、どうしてもうまくいかなかった時のために、手は打っていた
のだ。打ち出の小槌の複製を作り、こっそりと金庫に保管しておいた
のである。
 
  今日は、今年一番の暑さとなりそうです。
  熱中症にどうぞお気をつけください。 
 
中日新聞HPの「達人に訊け!」コーナーに、「お気楽悩
み相談室」を連載しています。
か分からないような気になる。 
相談その308「意見を求められた時には『ウム』と答えて
いるが、中身のなさがバレないようにしたい」
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