おはようございます。
今は昔の「今昔物語」ではありませんがヘビクビ、ナガクビガメはかつてカメ界のスターであり頂点でした。
そう1980年の冬、私の行きつけのショップには5匹の珍しい外国産のカメが売られていました。
今から38年前の話です。
5頭ともベビーサイズでしたが価格は今でもハッキリ覚えています。
カミツキガメ9,000円、ワニガメ4万円、マタマタ3万円、ジェフロアカエルアタマガメ(当時はカエルガメをカエルアタマガメと呼んでいました)38,000円、オーストラリアナガクビガメ10万円でした。
オーストラリアナガクビガメは一番上の棚に鎮座していました。
ジェフロア、オーストラリアともに今では半値で売られていますが、当時は高い場所に置かれて、よく見えないのですが異様に長いクビと經を横に隠すその姿はクサガメしか飼ったことのない私には衝撃的で後光を放つ程の憧れのカメでした。
当時はこれらのカメが棚に陳列され、アメリカハコガメは地べたの平ケースに入れられて売られていました。
大抵クサガメやマレーハコガメなんかのケースと横並びにされ、2,000円もしなかったと思います。
ハコガメなんかは逆に今の値段が信じられないし、今のブームが理解できません。
この時代は1ドル250円近辺ですから、アメリカハコガメの現地価格はおそらく1匹3〜5ドル位だったのではないでしょうか。
信じられない位の安値ですね。
おそらくアメリカ本国では今の感覚で300〜500円位で取引されていたと思います。
当然ハコガメには見向きもしない私でしたが、時代のなせる技でしょうか?
なんとリュウキュウヤマガメも38,000円で売られていましたし、プライスカードには「天然記念物」と書かれていました…
なんとも混沌とした時代でしたし、CITES自体が緩い時代だし、なによりNON CITESのカメが多い時代でしたからね。
ナンベイヘビクビガメはまだ図鑑でしか見た事がなく、私が購入したのはこの4年後、沼津のキングでしたが当時はアルゼンチンヘビクビガメと呼ばれていました。
(現ギザミネヘビクビガメですね。)
「地方発送」や「プライスリスト」の広告がアクア雑誌を賑わせていた頃です。
因みにアルゼンチンヘビクビガメは57,000円(やはり今の倍の値段ですね)でしたが、すぐに死んでしまいカメ飼育を諦め、ポリプテルスに転じました…
五十嵐氏が命懸けでナイルビチャーを捕獲した頃は私もポリプテルスを当時の分類で8種ほど飼育していました。
アクア雑誌のニュース写真にひどく興奮したのが懐かしいです。
当時は大学生でつい5年位前に何十万円もしたエンドリケリーやラプラディーが2万円位になり驚いたものです。
代々木上原のウチダ熱帯魚や南浦和の荒川屋に行ったものです。
そうそう、行きつけのお店にはスッポンモドキが100万円で売られていました。
確かこの頃が中野のアクアポイントや埼玉のアクアショップミカミなんかがカメで有名だったと思います。1988〜90年位だと記憶しています。
ジーベンが初入荷し、時のバブル経済と相まってナガクビ・ヘビクビガメが熱い時代でした。狂った時代だったのかもしれません。
今のジーベンの100倍以上の価格でしたからね。
ジーベン初入荷200万円、今でも鮮明に覚えています!
私が大学2年生の頃です。
日本中のマニアがオブロンガなんか見たことのない時代ですからジーベンの太く長いクビに腰を抜かしたものだし、200万円は仕方ないと納得できるほどにナガクビ大人気の時代でした。
あの頃はカメの頂点はナガクビガメとヘビクビガメでした。
筆者は伝聞らしいですが、私はこの時代を過ごした世代です。まさしく事実、ナガクビにあらずばカメにあらずの時代でした。
いや寧ろ私は昨今のリクガメ・ハコガメブームが理解に苦しみます。
ヘビクビガメはその大半が写真すらない幻のヘビクビガメでしたが…
そしてマニアはオーストラリアとブラジルにはまだ見た事のない珍種のナガクビ・ヘビクビがいることを活字情報を読むことで知り得た時代でした。
この時代のカメ界の温度感はハープタイルラバーズさんの過去入荷のヘビクビガメの説明文が秀逸で臨場感に富んだ銘文です。
あの文書を読むたびに自分のもとにマキシミリアーニがいることを奇跡的に思えてしまいます。
「俺、マキシ飼ってるんだよなぁ。すごい時代だよなぁ」と。
余談ですが私がマキシの存在を知ったのは1988年頃だと思います。
当時は極めて珍しい幻のヘビクビガメながら茶色単色で甲羅ツルツル、プラテミス似という文字情報にガッカリしたものです。
ギザミネのもっと凄いヘビクビガメを妄想していたものですから…
しかし2008年に初めて本物のマキシを見た時は凄い衝撃でした。
マキシ恐るべし!
やはりこんなに素晴らしいヘビクビだったのか!と感動しました。
価格も凄すぎでしたが…
残念なのは飼育方法が分からず日本に入荷したマキシが全滅してしまったことです。
エキスパンサ、オブロンガ、マキシミリアーニ、ラジオラータ、どんなカメなんだろうか?と胸をときめかせたものです。
これら全てをCB化したヨーロッパのマニアには本当に脱帽です。
さて、本題です。
今は昔、人気は地に堕ちたうえに世界的なCB化の流れから取り残されたナガクビ・ヘビクビガメ…(EUのマニアが頑張ってくれてますが)
エキスパンサとオブロンガは飼育者も複数いるようですがマキシ飼育者はもっと少ないでしょう。
アメリカハコガメやアジアハコガメ、リクガメやニオイガメ、これらは飼育者も多くネット上やオフ会を通じて情報交換も活発なようです。
羨ましい限りです。
特にリクガメはメジャー化の時期がネット普及期と重なったせいか、より横のつながりを強く感じます。
エキスパンサ、オブロンガ、マキシミリアーニやラジオラータのブログがあったら、どれほど自分自身の閉塞感を抜け出せるだろうか?とモヤモヤした気分の晴れない日が続いています。
ここ数年はオブロンガのCBが毎年入荷していますが、購入された方々はオールドマニアなのでしょうか?
一向に情報公開されませんね。
まぁ、昔のカメマニアは一匹狼が殆どでしょうからね。
仕方ないことなのかも知れません。
最後にこれは本音ですが、曲經マニアは集めることがメインで飼育技術は高くないと思います。
その点はやはりハコガメやリクガメ飼育者の飼い込むこと・殖やすことへの真摯な姿勢を見習うべきだと思います。
特にリクガメ飼育者のカメに名前をつける風潮には賛同しかねますが、その愛情には、多いに見習うべきだと思います。
私自身、殖やすことに情熱が持てないことにかつてのナガクビマニア達との共通点を見いだしています。
やはりWCが最も魅力的なのです。