カメさん日記

趣味のカメさん日記です。レア種で情報が少ない種を中心に書いていきます。

コウホソナガクビガメへの道

2017-07-29 09:24:53 | 飼育論

暑い日が続きます。

皆様いかがお過ごしでしょうか?

お陰様で我が家のブラジルヘビクビ達も無事に1年と3ヶ月を過ぎました。

しかし、驚きました…

私がブラジルヘビクビを購入したショップさんにホウシャの子ガメが入荷しました!

価格は聞いてないけど、どんな人が買うのだろうかと私の心はざわついてます…

ホウシャはでかくなるからなぁ。

N氏邸でホウシャの親個体を見て、そのサイズから、「絶対俺には飼えない」と思いましたからね〜。

ヤブガメ、入荷しないかなぁ。あっ、ノコヘリじゃなくテントです。おそらくテントの方が一癖あると睨んでおります。

今日はコウホソネタでしたね…

私の長い間の謎は、何故コウヒロが飼えて、コウホソが飼えないのか?でした。

まず、両者の分布を見ます。

コウヒロはザクっとオーストラリア東部の南北に割と広い範囲に棲息しています。

マーレー川という大河川を中心に棲息しています。

一方、コウホソは西オーストラリア州南西端、インド洋に面した局所に分布しています。そして特徴的なのは、この地域には、本種とクビカシゲガメの2種しかカメが棲息していない事実です。

この「局所分布」っていうのが曲者なんです。

いわゆる特殊な環境で、そこに適応できた固有種である事が多いのです。

当然、エサも固有種だったり、栄養成分も特殊だったりする訳です。

まず、「局所分布」、これがキーワードです。

棲息地域が特異な地質や水質である可能性が高いのです。

逆に、分布が広いということは、その分、汎用性があるとも言えるのです。

その種が選択する環境の振れ幅が大きい、とでも言いましょうか。

まずは、コウヒロの棲むマーレー川についてです。

マーレー川はオーストラリア大陸で最大の河川です。

水が枯れることはなく、農業用水としても利用されています。乾季でも川幅120mもあるそうです。

この川の水は主として、表層水や降雨水によって成り立っています。つまりオーストラリア東部は比較的降水量が多く、この雨量によりマーレー川が水を湛えています。

要するに川の成り立ちが日本の河川に近いのです。

サンプルデータでは、ph6.66、電導率732㎲/㎝と日本の水道水と大差ありません。

因みに日本の水道水は、ダム湖や河川からの取水がメインであり、この点でマーレー川に近いと言えます。ただし、やはりオーストラリア、硬度は日本の倍位高いようです。

降水量が多い地なので、地質から溶解する海塩や鉱物成分の影響は軽微と考えるべきでしょう。もうお解りでしょう。コウヒロが暮らすマーレー川の水質と日本の水道水の水質はそんなにかけ離れてはいないのです。

だから、コウヒロは飼えるのです。同所的に分布し、しかも水への依存度がさらに低いロンギも日本の水で問題なく飼えるのも同じ理由によります。

カメに水質は関係ないというブリーダーさんもいます。

多くの種は、その通りですが局所分布の種は、水質には慎重にならなければいけないと思います。

さて、コウホソです。

多くのマニアが落としています。

しかも肌荒れ→甲羅の潰瘍→バスキング→食欲不振→衰弱死、がパターンです。

「飼育のアプローチが根本から違うのでは?でなければ、次々と同じパターンで死んでいくはずがない!」これが私の疑問でした。

国内CBをとったN氏は親個体を10年以上も飼育していらっしゃいました。

水道水ではなく井戸水で飼育されています。

また、コウホソは10㎝を越えると水質にデリケートになり飼育難易度がさらに上がるとおっしゃっていました。

パースは降水量が少ない土地です。秋から冬(5〜8月)が雨季です。

降雨で薄まった水質の8月にコウホソは孵化して水中生活を始めます。以後半年間は乾季に入り、彼らの棲む水質はどんどん特異な水質へと変質するのです。

これがN氏の言う子ガメの時が一番丈夫ということです。つまり生後半年間は日本の水道水と現地の水質が相対的に近い時期なのです。

浅瀬であればなおのこと、降雨の影響度が高く薄まった水質であることでしょう。

では、パースの水質を見ていきましょう。

巷間、パースの水が軟水で硬度30程度と言われています。

日本の水道水は大体硬度60位ですから、この数値では日本よりも軟らかい水ですね。

しかし…

 現在、パースでの水道事業は過半数が海水淡水化技術によるもので、逆浸透膜によるRO水が供給の主流です。つまり、パースの水道水とコウホソの棲む水質は別物なのです。

マーレー川の水質調査時にスワン川の水質調査も行われています。

採取日が2009年4月12日ですから、雨季の始まり。水質はかなりオリジナルに近いと思います。

まずph6.75と、これは意外でした。しかし、現地の写真をみると結構水草が繁茂しており、そう高いpH値でもなさそうです。

しかし電導率は驚きの36,500㎲/㎝!

さらにナトリウム、塩素、カルシウム、マグネシウムの含有量も突出して高く、殆ど海水と同じ成分です。

事実、成分表では、

11番がスワン川、8番がマーレー川のサンプルデータです。

スワン川の水質が限りなく海水に近いことが分かります。

N氏がパースで測ったpH値は8.0だったそうですから、6.75は特殊要因があるか時期的な水質変化かも知れません。いずれにせよ、極めて海水に近い成分の淡水に暮らすカメのようです。

この水質調査では、パースの水質の特殊性は、内陸部の海塩や鉱物成分が溶解した表層水がスワン川に流入しているからだと推測しています。

また、スワン川のような塩化ナトリウム型の水質は、地下水に多く見られるそうです。

なんとなくN氏の井戸水飼育方法と繋がりませんか?ただし、日本の地下水は塩化ナトリウム型は少ないようですが…

コウホソのバスキングの話は有名です。しかし野生下個体の写真をみると甲羅に多くのコケが付いた個体も沢山います。本当にバスキングしているのでしょうか?

一般にコケはph値の高い時に生じます。ph7〜8の辺りですね。

私の仮説はこうです。

コウホソはph7〜8の高い硬度の水質を好むカメ。

日本の水道水では、硬度がまるでダメだし、phだって、1週間もすればすぐに4位に下がってしまいます。この条件では、カメにとっては辛いはずです。

また、現地の水温は年間17〜21度とかなり低いそうです。

パースの夏は「フリーマントルの医者」と呼ばれる海風が常に吹き、涼しいそうです。

つまり、全く合わない水質で高い水温、これがストレスとなりコウホソの長期飼育を困難にしているのだと思います。

我が家のブラジルヘビクビは、水温、風、水質の順に神経質です。

サーモもクーラーも0.1度単位で管理できて本当に助かっています。人間の思う以上に温度、湿度、風には、デリケートなようです。

 ですからコウホソを日本の水道水で、しかもクーラーなしで飼育することは彼らにとっては地獄のような環境ではないか?と思います。

いくらCBとはいえ、長期飼育は不可能だと思います。

まぁ、中には特異体質の個体もいるでしょうから全滅とはならないでしょうが。

仮に我が家のブラジルからCBがとれても、前記の飼い方であればやはり死んでしまうと思います。

シビアな環境設定だからこそ長期飼育が可能であり、その延長線上にCB化があるからです。

飼育難種はCBでも難しいと思って飼育に臨むべきです。

思い入れが強いせいか、書ききれませんし、理論が穴だらけです。いずれはきちんと推敲したいのですが、今は思うに任せて書きなぐっていきます。

まだアイデアレベルですが次回は、私の考えるコウホソの飼育水、飼育方法を書きたいと思います。

夏も悪いことばかりでなく、今朝、ニイニイゼミをブラジルヘビクビにあげたところ喜んでバリバリと食べていました。

写真、無断掲載だけど、3桁以上の買い物しているショップさんだから許してくれると思います…(汗)