ラヂオ惑星モルファス

ウクライナ大統領の演説に寄せて

ウクライナのゼレンスキー大統領が、日本の国会議員に向かってオンラインで演説しました。アメリカではキング牧師の一節や日本軍の真珠湾攻撃を引き合いに出したとのことでしたので、日本に対してはどのような歴史的な故事を引き合いに出すのかにも興味がありましたが、全く何も無かったようです。

我々も、ウクライナの歴史・・・特に1917年のロシア革命以降、革命戦争、複雑な内戦、ロシア、ポーランドによる支配、ソ連時代のスターリンによる意図的な飢餓(300万人もの人が見殺しにされた李、人肉食が行われたりとの悲惨なソ連支配)、ソ連からの解放軍としてナチスを遇したことがあったことなど、ロシアに蹂躙され続けた国だと言うことを・・・余り知りません。

ですから、帝政ロシアとの間に日露戦争があったこと、第二次世界大戦の結果と称して日本の領土がロシアに占領されていること・・・などについて、ウクライナの大統領から言及が無くても不思議では無いでしょう。ロシアによる不当な占領や抑圧への連帯感から説き起こすと日本の単細胞政治家には効果があるのかな?と思ったりしましたが。

マスコミの報道・・・今回は「ハフィントンポスト」の記事を読んでいて興味を惹かれたのは、『「既存の国際機関がそのために機能できないので、新しい予防的なツールを作らなければならない」「本当に侵略を止められるようなツールです」と国連を念頭に、ロシアを抑止できなかったことに言及したうえで、「日本のリーダーシップがそういったツールの開発のために大きな役割を果たせると思います」と語り・・・』という部分でした。

さて、この「予防的なツール」という言葉が気にかかります。現在の国際連合・・・第二次世界大戦の戦勝国による世界支配が限界であるとしても、ある一つの国が戦争を仕掛けようとした時に、現実的に抑止出来る仕組みはとても難しい。今回は我々の同盟側ではないロシアがあからさまに隣国を侵略したので我が国も戦争を非難する側におり、どう抑止出来るかを考える立場と言って良いでしょう。

しかし、第二次世界大戦後の世界では、ベトナム戦争を始め、むしろアメリカの「世界警察」的はた迷惑で幼稚な正義感で上辺を塗った「帝国主義的」(懐かしい・・・米帝)戦争の方が多かったし、抑止出来る国がいるどころか有志連合国として多くの国がアメリカ側に立ちましたが、果たしてそれは正義の側にいたのでしょうか?正義だったとしても戦争を抑止する立場に立って行動した国はいたのでしょうか?

アフガニスタンやイラクなどでの戦争を抑止出来るツールとは何でしょう?もっと言えば、イスラエルとパレスチナの戦争を抑止出来る予防的ツールとは何でしょうか?

国際関係も所詮は国家間の利害関係です。イデオロギーが動機のように見えた時代もありましたし、現在では宗教的なパトスが動機であるようにも見えます。でも、詰まるところ利害関係・・・19世紀的には領土や植民地を含めて自分だけがいかに豊かになるか・・・が最も大きなファクターであることに変わりはありません。

戦争を抑止するとは結局国家間の利害関係をどのように調整出来るかに尽きるのではないかと思います。少なくとも二つの大戦の発信源となったヨーロッパでEUが成立したのは正に「新しいツール」だと思います。しかし、国家を溶かすためには民族もナショナリズムも溶かさなければなりません。壮大な夢ではありますが、国境や国家的な欲望の源泉である民族やイデオロギー、宗教などを溶かすツールを見つける必要があります。

残念ですが・・・今の私には思いつきません。


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