オフィシャルサイトで、昨日の社労士試験の問題が、公開されました
さっそく、選択式の問題を解いてみました
合格ラインや特例措置の予想は、私個人では、どうにもなりませんので
、正式な合格発表をお待ちいただくしかありませんが
・・・・「雇用保険法」
「健康保険法」
「厚生年金保険法」
・・・・ちょっと入れにくかったですが
「国民年金法」
・・・・これらの4科目は、
テキスト等の学習で、3~5点は得点できる内容の出題だったと
判断できます。
しかし、「労働基準法」は判例
、「労働者災害補償保険法」は改正がらみの通達
、「労働一般常識」は賃金制度の歴史
、「社保一般常識」介護保険法の細かい部分
は、
テキストの知識のみならず、応用知識・国語力等が求められた問題だと感じました
そこでこの4科目について、一つずつ解説をしていきたいと考えます
。
点数が取れた方
も、取れなかった方も
・・・・すでに合格をなさって実務に携わっている皆様にも、判例等は是非参考にしていただきたく
思います。
労働基準法・労働安全衛生法
1.A:深夜業
これは、労働基準法第41条の「労働時間・休憩及び休日」の適用除外の問題ですが、これは超頻出事項
ですから、解説は省略します
2.B:解除条件
内容は、決して難しいことを聞いてはいないのですが、・・・2の文末の『・・とするのが、最高裁判例の判例である』という問題文が、若干受験生を惑わせたのではないでしょうか?
法39条の年次有給休暇の解釈をめぐる判決は、かなりの数があります。その中でも昭和48年の最高裁の「3・2判決」と言われる「林野庁白石営林署事件」が重要で
まさにこの問1の2の問題文は
『労働基準法39条に基づき、労働者がその有する休暇日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をした場合において、客観的に同条3項但書所定の事由が存在し、かつ、これを理由として使用者が時季変更権を行使しないときは、右指定によって年次有給休暇が成立し、当該労働日の就労義務は消滅する。年次有給休暇の成立要件として、労働者による「休暇の請求」これに対する使用者の「承認」の観念を容れる余地はない。』という判例の要旨からの出題と推定されます
つまり、年休の権利は、労働基準法第39条1項の要件を満たすことで、当然に生じ、労働者の『請求』やこれに対する使用者の『承認』によって生じるのではない・・・ってことですね。
同条4項の『請求』とは、「時季指定」を意味し、労働者が時季を指定したら、使用者が時季変更権を行使しない限り成立する。・・・つまり、使用者が適法に(事業の正常な運営を妨げる等)時季変更権を行使された場合、労働者の時季指定の権利が解除されるってことですね
3.C平均賃金の6割
これも判例からの出題ですね
・・・・「中間利益」
の問題ですが、この「中間利益」については、確か?平成21年に択一で出題された記憶があるのですが
判例は昭和62年4月2日
「あけぼのタクシー事件」です。
簡単に説明しましょう
使用者の責めに帰すべき事由により解雇された場合、解雇が無効となった場合(裁判などで)は、解雇期間中に労働者が就労できなかった原因は使用者にあることになるため、労働者は賃金請求権を失うことはありませんが、その解雇期間中に他社で就労して収入を得ていた場合、使用者は労働者に支払わなければならない解雇期間中の賃金から、労働者が他社で得ていた収入を控除することができます
。
これを「中間収入の控除」
といいます。仮に中間収入の控除が認められないと、労働者は二重取りできることになるという理論です
。
ただし、中間収入を控除できるとしても、すべての中間収入を控除できるわけではありません
。そもそも無効な解雇を行ったのは使用者ですので
、使用者の責任分は負担すべきですよね
そこで、(労働基準法第26条)ご存じ
使用者の責任で労働者が休業した場合は、休業手当(平均賃金の6割)を支払わなければならないと定めがありますので、
この「平均賃金の6割」までは、使用者は、労働者から中間収入の返還を求めることはできないことになります
。
つまり労働者は「平均賃金の6割」
まで使用者から賃金を支払ってもらえるということです
。。。。。ちなみに
、「使用者の責めに帰すべき解雇」という「休業手当」が発想できると、「中間利益」についての知識がなくても、「平均賃金の6割」を選ぶことが可能かも知れませんね
4.D常時使用する、5.E潜水業務 これは、択一対策としても、基本事項ですので、
テキストで確認をしてください。
久々に判例集をひっくり返して・・・・疲れましたが、勉強になりました
次回は、労働者災害補償保険法・・・・今回の法改正によるものですので、解説
というより、通達等の資料の確認をしてみたいと思っています