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あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

『べっぴんさん』4週 ヒカリノアトリエ、未来への力

2016-10-29 17:12:44 | 朝ドラ
2016年後期BK朝ドラ『べっぴんさん』の第4週のネタバレ感想まとめです。



暗い時代に負けるものかと立ち上がる女性たちの物語。




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●再会、明美ちゃん。


3週終わりにて。
明美師匠のところへ出向いて西洋式オムツを教えてほしいと頼んだものの、「甘いわ」と思いっきり断られたすみれ。
明美ちゃんが断ったの理由は、苦労の末に亡くなった母親への思いがあるためでした。

 

泣き言ひとつ言わずに自分を育て上げてくれた母・マツさん。
その母が一度だけ悲しい表情を見せたことがある、それは坂東家で明美が泥棒扱いされたときのこと。(1週

「何でお母ちゃんをこんな思いさせなあかんのやろうってずっと考えてた」
「何でかわかるか?貧乏やからや」


貧乏だから、母親は死んだ。
それが坂東家、すみれたちのせいだとは考えたくはないのだけれど、でも感情の部分でどうしてもそう思ってしまう。
一緒に何かをするなんて無理だ。


「それに材料もあらへん。外国のおしめいうんは肌触りがようて水をよう吸う生地があらへんと…そんなん簡単には手に入らんやろ」

明美ちゃんはすみれを傷つけたことを自覚しているのでしょう。
母親が死んだのは坂東家のせいでもないし、ましてやすみれのせいでもない。
それはわかっているけれど、すみれを受け入れることはできない。
そんな思いが走ってしまった。

明美ちゃんも明美ちゃんなりに反省しているから、本題の西洋式おしめの話に触れたんだと思いました。
彼女は悪い子じゃない。





帰宅して病院での出来事を喜世さんに話すすみれ。


「私恵まれてたんやね。気づかないうちに、知らんうちに明美さんのこと傷つけてた」
「知らんうちに傷つけてることぎょうさんあります。せやけどその逆もあるんです。誰かを喜ばせとったり。幸せにさせとったり」


喜世さんの言葉は優しく温かく。
無自覚に傷つけてしまうこともあるけれど、その逆もある。
『視点を変えてみろ』というアドバイスなのですが、人を傷つけてしまったと落ち込んでるときにとっても沁みる言葉。




●張り詰めた糸


知らぬ間に人を傷つけてしまっていた、と落ち込むすみれ。
とりあえずおしめの生地を探さなくては、と潔やゆりたちのいる闇市にやってくるのですが。


こらこら、それは打首案件。


通りがかった栄輔さん、落ち着いて。

運よく栄輔が助けてくれたからよかったものの、ボンヤリ歩いていてはいつまた襲われるかもわからない。


「そやけどほんまに気ぃ付けな。ここらにはいろんなやつがおるからな」
「キリッと目ぇ光らせて歩かないと。私もそうしてる」


潔たちはすみれに注意喚起を促します。
ゆりもまた緊張の糸を張り詰めて日々を過ごしている。
そうじゃないと生きていけない。

 
「応援したい気持ちでいながらも、いつの間にか追い抜かされたような気持になったゆりでしたが」
「歩き出したすみれもまた意欲はあっても、具体的な手立てが見つからず悩める日々を過ごしていたのでした」


っとにバラックと言ってもいろいろですね。
大阪のバラックは意図的に暗く、神戸のは逆に明るく。
対比が眩しい。




●再会、良子ちゃん


別の日。
あさやさんの常連さん、時子ちゃんがしていた腕時計に見覚えがありました。



女学校時代の友人・良子ちゃんが旦那さん(例の15歳年上の)からもらって喜んでいた腕時計。
五代友厚の秘書・三坂さん、じゃなくて時子ちゃんのお父さんの協力も得て、名前と住所を突き止めたすみれは、良子ちゃんの住所を訪ねます。

 
不安と期待が織り交じる道中に響くのは、傷痍軍人の奏でるアコーディオンとハーモニカの音。



そのバラックから出てきたのは良子ちゃんでした。

「良子ちゃん…」
「すみれちゃん…」




涙を流す良子ちゃんと受け止めるすみれ。


良子ちゃんの涙の理由はすぐにわかりました。



良子ちゃんもまた、戦地から夫が帰ってきていないと話します。
夫の親戚宅に疎開していたけど、夫を待つために子どもと一緒に神戸へ帰ってきた。
すみれと同じような経験をしたのでしょう。
あるいはすみれよりもっと過酷な経験。

誰かが帰ってきたからてっきり夫かと思った。
やってきたのは夫じゃなかったけど、懐かしい友人だった。
よかった、生きてた。

そう思うと良子ちゃんがすみれの肩で流した涙がまたグッとくる。




すみれも良子ちゃんも、再会して一瞬表情明るくなったけど、どこか寂しさを堪えてる表情がしみるなあ。
『ゆっくり』や『穏やか』というよりも、『ただひたすら静かに』って印象。




すみれの目に留まったのは、良子ちゃんの子・龍太郎のつけているポケットがたくさん縫い付けられた服。
ポケットが大好きな男の子。
たくさん入るように大きめに、出口を狭くしておけば落ちにくい。

その子のために何が必要か考えて、工夫して、手を動かして。
お母さんたちの小さな小さなアイデアから動き出すんだなあとワクワク。




●再会、君枝ちゃん。


すみれ、良子ちゃんと揃ったらもうひとり。
君枝ちゃんはどうしているんだ?と米軍に接収された村田家を訪れたすみれと良子ちゃん。
ふたりを迎えたのはお姑さんでした。


稲本先生やないですか!
悦子様と一緒に梅田スケートリンクに!!(『てるてる家族』の話)

姑の琴子さんに案内されて、君枝ちゃんを尋ねるのですが……


「日本も負けてしまったしもうなぁ……だってそうでしょう?勝つと信じていたから、それまでの辛抱やと思って生きてきたのに」

君枝ちゃん、負のオーラが……
生 気 を 感 じ な い ぞ 。


まあ女学校時代の君枝ちゃん(「はしたない」とか「兵隊さんもがんばってるから」とか)考えたら、こうなるんでしょうね。
努力してきた、耐えてきた。
でも何も報われなかった。
この時代、君枝ちゃんみたいな鬱屈した精神状態の人もまた多くいたんだろうな。
そう簡単に「明るく!前を向いて!」にはなれないわな。


家は焼けてないし夫は帰ってくるけど、前に進む気力がない君枝ちゃん。
家焼けて夫帰ってきてないけど、支えてくれる人のおかげで前を向いていられるすみれ。
家焼けて夫帰ってきてなくて大事な時計を手放した良子ちゃん。

三者三様の生き様がなんとも。




君枝ちゃんのベッドのそばに置いてあるものに、すみれはピンときました。



ミシンがある。
ミシン食べられるわけじゃないけど、それだけで希望を感じる。


「3人で何か出来ないかな」


普段口数の少ないすみれだから、何かしゃべりはじめると抜群の存在感。
こんな強い表情をしたのは戦前戦中にはなかったんじゃないかな。


しかしつれない2人。

 
「私は無理よ。私が商売なんて…」
「すみれちゃんが頑張ろうと思ってるのは分かる。けど頑張れば報われるわけではないし」


帰りがけには姑さんからダメ押し。


「君枝を巻き込まんどいてください」

琴子さんはともかく、良子ちゃんと君枝ちゃんが前向きになれない。
「商売なんて出来るはずがない、やれるはずがない」
終戦直後の女性たち、緊張の糸を張り詰めていないと後ろから襲われる、帰ってこない夫、混乱する経済、幼い赤ん坊。
当時の感覚からしてみたら、こっちのほうが自然なのかもしれません。
悦子様みたいな女性もいたんだろうけど、当然一歩を踏み出すのに躊躇してしまう女性もいた。
みんながみんな明るく前を向けるわけじゃない。


敗戦後の街並みや暮しなどハード面だけを描くだけではなく、傷ついた人の心を正面から描いてくる。
『ごちそうさん』の源ちゃん、『マッサン』のエリーなどでもありましたが、こちらもまた刺さるものを感じます。


もちろん、良子ちゃんや君枝ちゃんが足踏みしてしまっているのは、『元お嬢様』というのもあるのかもしれない。
姑さんが反対するのは、嫁の身体の心配とあと世間体を気にしているからかもしれない。
本当のところはわかりませんが、みんなが明るいわけじゃないということにどこかホッとします。




●激流


ゆりのメンタルはそろそろ限界でした。
闇市でどうにか生きていくため、坂東営業部の復活のため奔走する潔。
しかしゆりは留守番するように潔から言われます。

置いていかれるなんてあんまりだ、自分たちは同じ志を持っているんじゃなかったのか。
一番苦しい今だからこそ、一緒にいられないと意味がないんじゃないのか。

 
「待っとってくれ」

潔なあ潔、きちんと説明しような。
ゆりを連れていくと危険が及ぶかもしれない理由をきちんと説明しような。
同じ方向を向くことも大切だけどこういうときはきちんと向き合おうな。

近江に帰ってきたときは勇者様だったのに、潔ぃ。




流れの激しい闇市の中で、行き場を失っているゆり。
すみれたちが子どもたちに救われている描写と反して、夫は帰ってきてるけど子どもがいないゆり。
この対比は地味にえぐいなあ……




すみれとゆりの対比だけではなく、3人の『元お嬢様』としても、生活格差が生まれてしまっていることが切ない。


家が焼けたか、焼けなかったか。
財産は残ったか、残らなかったか。
旦那は戦地から戻ったのか、戻っていないのか。

格差はとても残酷なものだけれど、でも。

良子ちゃんは時計を手放したけれど、針と糸は残ってる。
君枝ちゃんもいろんなものを手放したのだろうけど、ミシンが残ってる。
物はいつかなくなってしまうけれど、身につけた技術や思い出はなくならない。

三者三様だけど3人とも何が大事かわかってる。


ところで。
意図的なのかどうなのかはわからないけれど、この回、君枝ちゃんやゆりの台詞まわしに『震災後』を感じました。
明るくしなさい、笑いなさいって言われても無理。動き出さなきゃいけないけど空回り。
確かに暗い展開だし、朝を明るく!にはならないけど、何かに挑戦してる気がする今作。



●あの頃の私とは違う


しかしすみれは立ち止まっているわけにはいかない。
だってエイミーが待っているんだから。

おしめの生地を探している、と以前伝えていたのですが、栄輔が持って来てくれました。


このすみれの表情の輝きよ。
きっと栄輔は「すみれさん可愛いすみれさん可愛いすみれさ以下略」になってたんだろうけど、まずは無視して突っ走るのが朝ドラヒロイン。


それを持ってすみれが出向いたのは、明美ちゃんの病院。


「明美さんも使うてください」


「あの頃の私とは違うんです、娘と生き抜くために何でもしないと」


世間知らずで無知だったことで人を傷つけてしまった。
でももう何も考えずにクッキーをあげた自分とは違う。
必要とされているか、誰かを傷つけるものではないか、きちんと考えられるようになった。

もうこじょうちゃんじゃない。
私も変わるんだ。
生きていくために変わるんだ。


すみれのような母親を、明美ちゃんは大勢見てきているんでしょう。
自分の母親も、仕事柄出会う人たちも。
困ってる人がいたら助けたい、赤ちゃんとお母さんを応援したいと思っているはず。
厳しさの中に優しさもしっかり持ってる明美ちゃん好きだな。

明美ちゃん自身も、前回すみれと会ったときに思うところは吐き出していました。
そのことへの罪悪感と、気分が落ち着いたのと。
で、すみれが問題だった『オムツを作るための生地』を作って持ってきたこと。
それぞれが重なって、「この子は本気なんだな」と感じたのでしょう。
とても自然な流れだと思います。




●ハッピーバースデイ


西洋式オムツを作り上げ、それを持ってエイミーを訪れたすみれ。
エイミーは「これこれ!」と喜びます。

と思ったら産気づいた!


画面いっぱいの白と、エイミーを支えるすみれが美しい。

この時期の周産期母子医療、特に外国人のその事情はわからないのですが。
エイミーも異国の地での出産とあって、不安があったことでしょう。
おそらくこのあとジョンが回した車で、設備の整った米軍の病院に向かうのだろうけれども、今ここですみれがいてくれたことは彼女にとっても安心材料になったはず。


オムツが欲しいというより不安だったんでしょうね。
姉が出産したときに見たオムツの形ではない、ああここは外国なんだ、と突き付けられる。
もちろん軍の病院に行けばオムツも手に入るし教えてもらえるんだろうけれども、今エイミーが欲しているのは日本で生きていくための『安心』。
そこに一役買ったのはすみれだけではありませんでした。



すみれ氏、ゴリ押しで明美ちゃんを連れてきた。
おお、おお、なかなかヒロインらしい強さじゃないか。




「なんでうちが…」と言いつつ、気持ち良さそうな赤さん抱いて優しくあやす明美ちゃん。
今の勤め先の病院では看護知識はともかく、語学力を使う機会は少ないかもしれない。
久しぶりに自分が頑張って勉強してきた語学&看護知識使えて、嬉しいんじゃないかなって。


クリスティーナ宅以来の明美の手技。
間近で見る最新の子育て法をじっくり見ているすみれなのですが。



ジョンとエイミーも、明美師匠の説明をきちんと聞けよwww


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●ウエディングドレス


幸せいっぱいのジョンとエイミーはあることをすみれに依頼。


「赤ちゃんがいつかお母さんになって娘が生まれたらその子も着られるような、一生大事にできるようなそんなお洋服を作ってほしい言うてる」

エイミーが赤ちゃんに贈りたい気持ち。
それを十分すぎるほどわかるすみれと、天国のはな。

 
「お母様…ええ?」
「すみれ…ええよ」


形見のウエディングドレスの生地を使うことに、反対する理由はありませんでした。
優しく温かい天の声と光。

エイミーが贈りたいのは想いを込めた特別な品。それはすみれが母に貰ったもの。天の声と光の加減がとても優しい。



●母の形見に鋏をいれる


エイミーとその赤ちゃんのためにベビードレスを作りたい。
そのために力を貸してほしい。

すみれが焦げたウエディングドレスを良子ちゃんと君枝ちゃんに見せたとき、一度は商売の話を断っていた2人の心が大きく動きました。

 

良子ちゃんと君枝ちゃんは、すみれがこのドレスを着た日のことを知っている。
だから焦げたドレスを見て、言葉が出てこない。

ドレスに込められている思いも知っている。
大事なドレスを手放す辛さも、どんな思いで新しいドレスを作ろうとしてるのかも知っている。

幸せだったあの日。
でももうその日には戻れない、昔の時分から変わらないといけない。
想いのこもった品をこの手から離していく悲しみ、それを乗り越えてまた手に入れる希望。



「エイミーさんが娘に残したい想いはこのドレスを遺してくれたお母様と同じ想いやと思う。この焼け残ったドレスで、あの赤ちゃんの宝物を作れると思うたら…」

大切な形見に鋏を入れる。

そんな心を切るような覚悟だからこそ。良子ちゃんも君枝ちゃんも立ち上がった。
君枝ちゃんが「いいよ」、続いて良子ちゃんが「そうね」。

言葉数は少ないながらも、すみれの想いが伝わったんだろうな。
3人ともとても優しい顔してる。

生活のためやお金だけの創業だったならば、何もウエディングドレスに鋏を入れることはなかったでしょう。
潔や栄輔に頼んで上質な生地を手に入れればいいだけのこと。
それでもすみれは母の形見に鋏を入れる。

新しい自分が立ち上がるために。
母から子へ継がれる大切な宝物のために。






月曜、明美ちゃんとの再会。
火曜、良子ちゃん君枝ちゃんとの再会。

でも水曜、出産・育児を控えて不安を抱いている女性がいると言われたら明美ちゃんは断れない。
お母さんから赤ちゃんへの贈り物と言われたら良子ちゃんも君枝ちゃんも断れない。

これなら一度断った面々でも、自然に巻き込んでいける。うーん、うまい。

ウエディングドレス、2週で芳根ちゃんが着たのをガチで焼いた(バーナーで炙った)ものなんだよなあって思い出してまた泣きそうに。
物語の中のすみれの覚悟もさることながら、製作スタッフの覚悟もガチです





●ヒカリノアトリエ


その夜から良子ちゃんと君枝ちゃんは動き始めました。

 

机に向かう君枝ちゃんと良子ちゃん。
両家は、微妙に光の色が違う。でも真剣に向き合う表情はおんなじ。

 
「すみれちゃんに話聞いたとき、これだけはやりたくてやりたくて仕方なかったの」
「こんな素敵なデザイン見せられたら、やりたくてやりたくて仕方がないわ」


 

そしてすみれはドレスに鋏をいれる。
そこに漂っているのは悲壮感ではなく、遠い未来でも遠い外国でも大切にされる『別品』との出会いへの希望に満ちていて。

 
「楽しいなあ」
「楽しいわ」
「戦争なかったらどうなってたんだろう」
「大学に行って大恋愛したかった」
「美術学校に行きたかった」
「ずっとこういうことをしていたかった」



差し込む光が、軽快に動き出すミシンが物語の調子をとっているようで。



暗かった部屋に希望と光が満ちていく。
ヒカリノアトリエだなって。


「この時代を生きた人々は、皆戦争で人生が大きく変わりました。だからこそ…だからこそ未来を切り拓こうとする力が生まれたのです。よい方に、よい方にと願っているのです」

暗い時代に負けるものかと立ち上がる若い女性たちの物語。
クローバーの葉を集めて、前に進んでいく物語。







●対比構造、再び


神戸のシーンと対照的なのが、ゆりと潔のいる大阪の闇市。


沈み込むゆり。

 
ハーモニカの音。

仲良し姉妹の対比がえげつない。
『あさが来た』のあさ:はつの序盤もなかなかえげつなかったけど、同じレベルくらいにえげつない。

何かが生まれてきそうなミシンの音響く明るい部屋のすみれ。
混沌と人でにぎわう闇市とバラックのゆり。

ウエディングドレスを仕立て直すすみれ。
夫に理解されない溜息を膝に抱えたゆり。

旦那の生死が未だわからないけれどやりたいことができるすみれ。
旦那は帰ってきているけれどやりたいことができていないゆり。

同じ時代の同じ15分。
仲良し姉妹の対比に眩暈がしそう。




●別品の味を



「なんて素敵なドレスなの。まるで世界中に祝福されているみたい」
「大切にします」


出来上がったベビードレス。
エイミーも嬉しそう。

戦災で物を失ってしまっても。
物に込められた娘を想うお母さんの優しい気持ちはずっと引き継がれていく。
素敵だなあ。





一度は受け取れなかった喫茶あさやのシナモンティー。
今なら優しい気持ちで味わえる。
そんなシナモンティーもまた別品。



若いお母さん3人が「よかったね」と笑いあう姿に思わずにっこり。
甘くて刺激のある恋の味は、懐かしい青春の味。

ドレスの値段はつけられなかったっていうのがなんともすみれらしい。
利益を出すっていう段階にはたどり着いてないんだなあ。


受け取ったのは予想外の額だったけど、それだけの価値がある、って君ちゃん。
額面はマクレガー夫妻の感謝の思い、ありがたく頂いておこう。
心が温まる世界。



ところで。
良子ちゃんの何やら複雑そうな表情が気になる。



うーん、良子ちゃんは3人の中で一番きつい生活だからシビアなのか。
あるいはすみれのドレスはこうやって新たな別品に変わることができたけど、良子ちゃんの時計は……っていう。
良子ちゃんの例の旦那さんも、早く帰って来ればいいんだがなあ







明美ちゃんにもお礼を、とすみれが持っていったのが現金じゃなくてよかった。
そこは成長してくれててよかった。
明美ちゃんの話聞いて、ここで彼女に渡すべきは現金じゃないってわかってくれてよかった。



子供の頃、迷子になったとき。明美ちゃんがあさやさんまで連れてってくれた。
あのとき、あさやさんにかけられた物作りの魔法に魅せられた。
大人になって今度は作る側に立つことができた。
明美ちゃんの教えがなかったら、エイミーへのドレスはできなかった。

あれから時間は経ってしまったけれど。
心からのありがとうを込めた、すみれから明美への別品。



思えば今回の明美ちゃんの行動は、すみれが持ってきたおしめ生地へのお礼。
そもそもすみれが持っていったおしめ生地は、明美ちゃんが教えてくれたことへのお礼兼おわび。
苦くて冷たかったクッキーや鮮やかな赤い傘があるから、生きてくる明美ちゃんとすみれの関係性だな。




●どう生きる


 

 

おしめとドレス、エイミーへの別品。
それが彼女と彼女の赤ちゃんに何をもたらしたか。
自分たちは何を思ったか。
どう生きていけばいいのか。

15分っていう限られた時間の中で、画面にめいっぱいに思いを乗せてくる若い役者さんたち。
あんたらすごいわ。




●『キアリス』


それから何日か経ち、あさやさんのお店に君枝、良子、明美の3人やってきました。

君枝ちゃんと良子ちゃんは、すみれへの協力を申し出ます。
が、そこについてきたのはお姑さん。



「私は、日本が勝つと信じていました。お国のために戦う兵隊さんだって辛抱しているんだ、がんばってくれてるんだと、思ったから…何の意味もなかった、まるで抜け殻です」

お国のために頑張ってきたが報われなかった。
今はどん底だ。

でもあとは這い上がるだけだ、自分を変えていくんだ。
息子には頑張ってる母親を見てほしいから。

顔を上げた君ちゃんの明るい表情よ。
この子は、強い。

女学校のときの君ちゃんの造形がフルに生きてる。





次いでやってきた明美ちゃん。


「思いだけでうまくいく世の中やないよ」
「ほんでも思いがあらへんかったら、それはそれでうまくいかんのやろな。手伝うわ」


明美ちゃんが現れたとき正直ドキリとした。
彼女が身を置いている世界は思いだけじゃ回らないシビアな世界。

でも。
でも、まずは、そこから。


「何も見えない未来に、一筋の明るい光が見えた瞬間でした」


観てる側は初回アバンで知ってる。
4人が揃えばキアリスがはじまる。
ここからまたはじまっていく。

あの初回アバンは2段階で一瞬戸惑ったけど、うまい見せ方だなあ。






●笑い声が帰ってきた


あとホント細かいことだけど潔が明美ちゃんのこと覚えててくれて良かった。流石少女漫画のヒーロー(劇画調)


「オートバイの君よ、相変わらず素敵~」
「良子ちゃん、もう人妻でしょ」
「初恋を思い出してただけやわ~」


おまえらは何を言っているんだwww



明美ちゃんの笑顔も見られた。


そういやお子はどうしてる?って思った矢先に、喜世さんベビーシッターやってます、大変だけどやってます、って出てくるのうまいなあと。



絶妙な感じで一歩ひいてる明美ちゃん。
明美ちゃんは副業だし、アドバイザー的な立ち位置だし、まだまだ何かありそう。




●ベビーショップあさや


 

そしてベビーショップあさやが開店します。



最初のお客さんは……

 

お客さん第1号が五十八パパンだとわかった瞬間に緊張が解けて満面の笑みになるの。
こういう物語が動き出す瞬間、いいよなあって。






●現色の町が動きだす。


 

パステルカラーな神戸の様子とはうってかわって。
カーキ色や原色の大阪闇市。



高良健吾だけじゃなくて、ほんとに大阪全体が作画が違うみたい。






若い女性がやりたいことして頑張ってるのはいいですね。

「現実そんなにうまくいかないよ」とはわかっていても、後ろから石を投げたりするのは現実世界で十分。
せめてドラマの中だけでも、理不尽ないじめにあったりすることのないよう、前を向いt
って来週どうなるの。








※コメントの公開処理が遅れる場合があります。ご了承下さい。






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