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『夏目漱石の妻』が色々と本気を出してきた件。【最終回追記】

2016-10-18 21:38:50 | テレビ
2016年秋のNHK土曜ドラマ『夏目漱石の妻』の緩い感じのまとめ。


怖いくらいに美しかった。

※最終回(4回)追記しました



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第1回「夢みる夫婦」

◆レッツ高等遊民


見慣れた俳優さんを見るとつい役を重ねてしまうのは「あるある」なのですが。
オノマチといえば『カーネーション』の糸子。
ハセヒロといえばいろいろとあるんですが、ここでは『デート ~恋とはどんなものかしら~』の谷口巧。


「ニートじゃなくて高等遊民だ!」
「教養のないバカ女と付き合っているくらいなら本を読んでいる方がはるかに有意義だ」
「バイ竹久夢二」


などなど、数々の迷言を残してきた谷口巧を演じたハセヒロ。
そのハセヒロが今度は文豪の役と来た。



そりゃ思い出しますよ、あの本棚を思い出しますよ。







◆リアルすぎる、音


劇伴のレトロでコミカルな優雅さもさることながら、特筆したいのはSE。

蝉や鳩、コオロギ、鈴虫の鳴き声。
竹林を揺らす風の音。
時を刻む柱時計。
大雨が鏡子さんの心を削っていく音。

雨上がりの空気の音。


明治の日本ってこんなに音が豊かだったのか、と聞きほれてしまいました。
季節感のあるドラマっていい。



第1回の終盤、猫が鳴くシーンがあるのですが。
この再現度というかリアルさがとにかくすごい。

……えっ?

これ、ドラマの中の音?
それとも本当に庭で猫鳴いた?


庭に面した和室で視聴しているんですが、これがわからないんですよ。
まだ残暑の厳しい季節なので窓を開けて視聴していました。

そこに飛び込んできた夜の猫のSE。

ドラマの中の音なのか、現実の音なのかわかりませんでした。
それくらいのリアルさを伴っていたので、観ていて(聴いていて)とても不思議な気分になる。




◆名作の予感




これは名作の予感。

衣装や小道具、音楽も照明もカメラも。
ハセヒロ&オノマチの役と物語を全力で引き立ててて。

全部計算されてるんだろうけどすごい。
これは名作な気がする。


近年に初見(本放送)で「NHKの本気」を感じたのは
あさが来た
ちかえもん
精霊の守り人
トットてれび

他NスペやBSものなど多くあるのですが、その中に入る作品だなあと。









第2回「吾輩は猫である」

◆仕事が丁寧過ぎるよ


  



正岡子規がこの窓、布団の配置。
この太陽光の差し込み方で読む漱石さんのお手紙。
そこに映る指の影。
顔に映る紙の影。

けしからん、細かすぎるぞ。もっとやれ。




◆スクラップアンドビルド


この回は漱石先生が壊れていって再生する回です。
レッツ、スクラップアンドビルド。


死んだ蒲田くんの目ぇしとる。


表情筋どうなってんの( ゚д゚)



この左右非対称の漱石先生の顔が、心情の二面性を暗示してるのか。





◆ただひたすらに、潔く


暴力を振るい暴言を浴びせる夫。
いくらそれが病気だとはいえ見ているほうは辛いもの。

しかし劇中の鏡子さんは、視聴者ではなくあくまでも「夏目漱石の妻」。

追跡妄想、神経症、漱石先生のDVは病気。
心身ボロボロになりつつ、しかし病気であると告げられて
「病気なら家族は看病しなくちゃ」
「私家帰ります」


笑顔の姿に思わず目頭が熱くなりました。

このころ、ロンドン留学から神経衰弱らへんの漱石先生って、池田菊苗やら小泉八雲アレコレやら教え子入水自殺やら色々あるのですが。
これはあくまで『夏目漱石の妻』。
ひたすら鏡子さんの話に焦点あてる潔さが気持ちいい。





◆猫に歓喜


とはいえ、ですよ。
やはり辛辣な描写は、あまりに胃が辛くなる。



そんな待っていた猫がやってきた。


猫キタ━━━(゚∀゚)━━━!!


猫と出会った━━(゚∀゚)━━!!


 
にゃー。


にゃーにゃー。




漱石先生にも笑顔がこぼれます。

この猫が出てくるのは第2回の中でも終盤。
そこまでは辛辣な話が中心だったのですが、猫の登場でドラマも見ている方も一気に明るくなった気がします。
気が付いたら笑ってた。




◆この人はこれで成功する



「吾輩は猫である。名前はまだない」


実在の人物を扱う物語全般に言えることなのですが。
「この人はこれで成功する」とわかっているとき、その予兆が出始めたときのワクワク感が楽しくてたまらない。






第3回「やっかいな客」

◆散りばめられた漱石作品




今日も照明さんがプロフェッショナルのお仕事なさってる。
瓦や葉の絶妙な映り込みも計算上なんだろうな。

おまけにこの構図、まさに『格子戸の中』。
うーんお見事。





◆画面に感じる湿度


厄介な客、養父である塩原がやってきた。



外雨降ってんのかと思うくらい自然な雨音。
画面に湿度を感じる。

 

雨の降らし方に魅入ってしまいました。
第1話のゲリラ豪雨、それからこの話の中のしとしと降る雨。
季節感と同時に鏡子さんの心模様が空模様。




第4回「たたかう夫婦」
◆照明のテクが凄い



文鳥ぅ……

 
ミルクホール。
なんとも不思議なステンドグラスの映り込み。



 
画面奥からさしこむ光が圧倒的に美しい。




◆猫が死にました



「その年の秋、猫が死にました。名前がないまま逝ってしまいました。私たちは猫の墓を裏庭に作り、その死を悼みました」

日本語もきれいだなあ……



◆目力がすごい


わかっちゃいましたがハセヒロ・オノマチの目力対決。

 
画面からの圧力が凄くて、もう怖いレベルです。




◆白


 
広い病室の個室、カラフルな花、綺麗な服。
でもどこか幸せには見えない。


 
むしろ映える白さが、虚しさを強調しているように見えて。

そのせいか、吐血の赤にとても驚いた。




◆君はいつまでも君だね


修善寺の大患を乗り越えた漱石先生と鏡子さん。

 
「君はどこまでも君だね。そういうことにしておこう」

 

美しかった。
ふたりはこの世にいるんだろうかって一瞬考えるくらいに美しかった。






いやあ非常に良かったです。
実況の手も止まってしまうのは久しぶり。

楽しみ方は人それぞれなのですが、私は照明や音楽など「スタッフの仕事」のほうに目を奪われることが多かったです。
もちろん脚本や役者さんの手腕もお見事なのですが、ドラマはそれだけではないのだなあと実感しました。

ハセヒロのNHK次回作はスーパープレミアム『獄門島』の予定。
放送は、11月19日(土)[BSプレミアム]後8:00~10:00で、地上波じゃないし少し先なのですが、今から楽しみです。









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