湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

世界一の坂

2008年04月03日 | 日常生活
 「世界一の坂、上って来た?」

 そう訊ねられたのは、以前ちょろっとエントリーしたことがあるけれども、はじめて自転車を持って海外に出かけたニュージーランドのどこかのユースホステルでだった。MTBで旅していたそのサイクリストいわく、NZのダニーデンという街に世界一勾配のきつい坂としてギネスブックに認定されている通りがあるのだと言う。そして彼はわざわざダニーデンまで出かけ、すべての装備を外してその坂にチャレンジして来たのだと言う。

 その話を聞いて、そのとき僕は「なんて物好きなんだ」と思った。ダニーデンは自然に恵まれたNZの南島のなかではかなり地味な街である(ように思えた)。とくに走って面白いとは思えないそんな街まで、わざわざ世界一の坂を上るためだけに出かけるなんてまったく理解できないと当時の僕は心から思ったものだった。もっともそれなりに興味は持って、「どうでしたか?上れましたか?」と訊ねはしたのだけれども。「上りも下りも、死ぬかと思った」というのが彼のこたえだった。

 しかし、あのときはそんな捉え方しかできなかったけれども、今になってみると、日程的に難しかったので現実的には無理だったのだけれども、「せっかくだからチャレンジしてみたかったなぁ」と思う。世界一の勾配の坂がいったいどんなものか味わっておけば良かったと思う。時がたち、まったく理解できなかったものへの興味が僕のなかで生まれてきたのだ。

 激坂といえば、暗峠なんかも関西に住んでいるあいだにチャレンジしておけば良かったと思う。あの頃は山登りのほうが楽しくて、自転車にはほとんど乗っていなかったのだ。うぅ、なんともったいない。そんなわけで自転車でのチャレンジはなかったのだけれども、一度だけ夜に同僚の先輩の車で偵察に向かったときのことは今でもすごく良く覚えている。坂の途中で一度車から降りて、どんな勾配かを体で確かめてから再び車に戻り、エンジンをかけてサイドブレーキを外した瞬間に「ガガガ!」とものすごい音をたてて車がずり下がっていったときの驚きは強烈だった。ギアが壊れなくて本当に良かったといまでも思う。



 上の写真はダニーデンの世界一勾配のきつい坂。なんでも最大勾配は38%もあるらしい。こんな坂、ロードじゃ間違いなく無理だな。MTBでだってわからないと思う。踏み込んでひとりバックドロップなんてことになったら、ルー・テーズや全盛期のジャンボ鶴田の“ヘソで投げる”バックドロップの比じゃない破壊力に違いないと思う。絶対にただではすまないと思う。そして、乗車して下れるのかもかなりあやしいと思う。ブレーキングには細心の注意が必要だろうし、前から車がやってきたら・・・とか想像しただけで怖ろしくなる。うぅ、やっぱり行かなくて正解だったのかもしれない。。。



 世界一の坂がある街。ニュージーランドのダニーデン。是非とも覚えておいてください。誰か行ってレポートしてくれいないかなぁ~