2011年(平成23年)3月に電気通信事業法第172条により意見の申出を行っていたところ、左記の通知が2011年11月に総務大臣よりありました。(クリックすると別ページで拡大します)
申出の内容は、
下記の事柄について、電気通信事業者の業務の方法の改善について適切な指導すること
1.ソフトバンクモバイル株式会社のホームアンテナFTと称するフェムトセル機器の設置作業において指定業者とは認められない者が工事を実施しており、指定業者による確実な実施をすること
2.フェムトセル機器の障害に対して、速やかな修理その他の処置を行うこと
ホームアンテナFTと称するフェムトセル機器の設置作業において指定業者とは認められない者が工事を実施しており、指定業者による確実な実施をすること
ソフトバンクモバイルは、電波状況の悪い地域向けにホームアンテナFTの設置を案内しています。ブロードバンド回線の端末として超小型の基地局を設置するイメージです。
ここで、ブロードバンド回線がソフトバンクモバイルの推奨する回線以外の場合は、ホームアンテナFTの保守管理のために、ソフトバンクモバイルの指定業者によるホームアンテナFTの固定工事が必要とされています。
即ち、左図のように、ワイヤーコードでホームアンテナFTの本体と壁面などに連結する工事(固定工事と呼ばれています)が必要となります。(クリックすると別ページで拡大します)
ソフトバンクモバイルの推奨する回線以外の回線にホームアンテナFTを設置したり、故障によりホームアンテナFTの本体の交換が必要となった場合は、ソフトバンクモバイルの指定業者による宅内での機器の設置(交換)と固定工事が必須となります。
ソフトバンクモバイルは、宅内でのホームアンテナFTの設置(交換)にあたり、"フェムトセル機器のご送付とご利用のご案内" と称する案内文書を利用者に送付しています。
この案内文書には、工事は、宅内工事となりますので、事前に指定業者であることを示す、「工事従事者証」を提示いたします。とした上で工事従事者証の見本を掲示しています。
ところが、実際に工事に訪問した業者は、「工事従事者証」の提示が無いまま作業を始めようとするので、案内文書の該当ページを示し、「工事従事者証」の提示を求めたところ、なんと、提示されたものは、元請け会社の実施したセキュリティ受講カードであった。
このようなカードを見せられたのでは、ソフトバンクモバイルの指定業者であると認めることは、はなはだ困難と言わざるを得ません。指定業者とは認められない者が工事を実施していると考えるのが妥当でしょう。
通知書の中で、ソフトバンクモバイルは、平成23年6月30日までに "フェムトセル機器のご送付とご利用のご案内" に示している「工事従事者証」の発行を完了し、同年7月1日以降全ての本工事においてお客様宅訪問時に「工事従事者証」の提示が可能となった。としています。
しかし、"フェムトセル機器のご送付とご利用のご案内" は、この案内の末尾を見ると、平成22年9月には作成されており、長期に渡り「工事従事者証」の提示ができない業者が多数いたと思われる、ずさんな対応ぶりが窺われます。
フェムトセル機器の障害に対して、速やかな修理その他の処置を行うこと
ソフトバンクモバイルの推奨する回線以外の回線に設置されているホームアンテナFTにおいて、ホームアンテナFTの本体の交換を伴う保守に、おおむね、1ヶ月から1ヶ月半程度の期間を必要としていました。
当初(2011年3月8日)、ソフトバンクモバイルが示した日程によれば、
障害告知後、
遠隔操作による確認作業に、1週間~10日
交換機器発送に、1週間~10日
機器到着後、 ソフトバンクモバイルから業者へ宅内工事の指示に、数日
業者からの連絡待ちに、1週間程度
業者による機器交換は、業者からの連絡後1週間以上後
ここで、各工程は事前の行程が完了後でなければ、次の工程へ進むことはできないものとなっていました。即ち、遠隔操作による確認作業が終らなければ、交換機器は発送されず、交換機器が到着後でなければ、ソフトバンクモバイルから業者へ宅内工事の指示はなされません。
もともと、通話状況(電波事情)が悪いから、その改善のためにやむを得ずホームアンテナFTを設置している訳ですが、それなのに、このような長期間不具合を強いる事に、ソフトバンクモバイルはあまりにも鈍感であったようです。
総務省からの通知書によれば、時間を要する場合であっても数日で障害対応するとの事で、申出を行った成果はあったものと思われます。
左は、意見申出書の全文です。(クリックすると別ページで拡大します)