ブログ・クロウキョウ

文京の働く愉快な仲間たち

労働法で

2011年03月09日 14時13分34秒 | レポート
 3月7日(月)夜、文京区民センターで文京春闘、出版情報関連ユニオン、CU東京文京支部の共催で、労働法の基礎講座を開きました。
 CU東京文京支部の山田事務局長の司会で進行し,文京春闘共闘の遠藤議長が主催者挨拶を行いました。その話の中で、最近の労働相談は、本人の親からの相談が多いと聞いた。そこで、「自分たちの子供が解雇された時、助言するためにも労働法を学ぶ必要があると感じた。」と話しておられました。
 講演に入る前に、労働相談の事例紹介ということで、最近、CU文京で残業代不払い問題を解決させたAさん(20代女性)に登場してもらい、司会の山田さんとAさんのトークで、問題の解決と感想などが語られました。
 そのうえで笹山尚人弁護士が「― 労働法に学ぶ ― 『ブラック企業の蔓延』に労働法で立ち向かおう」というタイトルで講演しました。

(講演内容の骨子は以下の通り)
1 日本の企業はどれくらい「ブラック」なのか?
2 私が遭遇してきた「ブラック企業」の様相
 (1) すき家事件
 (2) パワハラ、退職強要事件1
 (3) パワハラ事件2
3 なぜ日本の企業にはブラックが蔓延しているのか
4 ブラック企業には法の力で対抗できる
(1) 憲法の人権
 個人の尊重(13条)、思想信条の自由(19条)、表現の自由(21条)、
 生存権(25条)、勤労の権利(27条)、労働三権(28条)
(2) 「労働法はぼくらの味方!」
① 労働法が誕生したのはなぜか
② 具体的に労働法とは何を指すか( 基本は,憲法27条と28条)
 労働基準法,労働組合法、労働契約法を中心に,労働法が多数出来ている
③ 事例にひきつけて各論でみると
   残業代の請求。   管理監督者の意義。 損害賠償責任における公平の論理。
   意に反して退職させられない権利。 労働者の人格権の保護。
   解雇に対する規制。
(3) 労働法の保護を受けるにあたっては、正規か非正規かは関係ない
  労働法上、「正社員」の定義は存在しない
 「アルバイト」「フリーター」「契約社員」についても定義はない
 パートタイム労働者についてはある。
 =1週間の所定労働時間が、同じ事業所で働いている通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い者(パートタイム労働法第2条)
 労働者派遣についても、考え方は法定されている
 「労働者派遣契約」(一方が,自分の雇用する労働者を,相手方の指揮命令に服させるために派遣することを約し,相手方が,それに対し何らかの報酬,対価を提供する契約),「派遣先の就労に関する指揮命令」「派遣元の従業員(つまり,派遣元と労働者との間に労働契約がある)」

 労働法にとって重要なことは、「労働者」であること
労働者とは「事業または事務所に使用され、賃金の支払いを受ける者」(労基法第9条)
 「労働者」は、等しく労働法の保護を受ける

5 ブラック企業に対する対処としての労働組合
(1) 労働基準法第1条2項「労働関係の当事者は」
 労働者の生活と人権を保障する主体として中心的に期待されているのは労働組合。
これは労働法自身が定めていること。
 労働協約の効力 労基法92条、労働組合法第16条
 労組法による刑事免責、民事免責 労組法第8条
 労組法による使用者の行動制限(=不当労働行為) 労組法第7条
(2) 労働組合の役割
    ア、法が保障しない労働条件の獲得
    イ、社会に大きな影響を与える
ウ、職場で人権侵害が起こらないように監視、交流、議論する
    エ、法による最低限度の労働基準の実現
    オ、組合を通じ、「わたし」の問題を、「わたしたち」の問題とすることを学び、たたかえば条件改善を勝ち取れる、一人で出来ないことが団結の力でならできる、ということを学び、自己の開放の場を得る
(3) 労働組合が奮闘した最近の事例【資料参照】
  洋麺屋五右衛門事件で会社から変形労働時間制度の撤廃を勝ち取る

6 労働法を活用するとは
(1) 労働法を学ぶ
(2) 「わたし」の問題を「わたしたち」の問題にして行動する