ロシア NATOとは防衛協力の歴史的転換

　「NATOロシア理事会」で、ロシアがNATOのミサイル防衛(MD)システム構築に協力することで合意しました。
　'07年 2月には、ブッシュ政権の米国が主導し、敵国の弾道ミサイルを追尾するレーダー施設をチェコに、敵ミサイルを迎撃するミサイル発射基地をポーランドに建設するMDシステム構築構想に、ロシアが強く反発していました。ところが、'09年 9月に、オバマ政権の米国は、イランの脅威は予期したほど大きくないとの理由で、一旦、構想を取り下げていたのでした。理由は、国力が低下した米国の財政逼迫と、イラク・ロシア関係分断を狙ったためと言われていました。

　それが今回、欧州全域を守るNATOのMDシステム構築にロシアが協力することで合意したのです。かつて敵対したNATOとロシアが、ミサイル防衛システムを共同で構築するとは、歴史的な出来事ですね。

　アフガニスタンからの麻薬流入に手を焼くロシアは、グルジア紛争で各国が投資を引き揚げ冷却したままの欧米各国との関係を修復したいとの理由もあり、対露包囲網のMDではないとのオバマ政権の歩み寄りもあり協力に踏み切ったとされています。
　NATO側は、資金難とアフガニスタンへの物資輸送にロシア領を経由したいなどの理由があるようです。

　今回は、アフガン問題で双方の利害が一致し歩み寄りが見られましたが、基本的信頼関係には至っておらず、東欧諸国のロシアの覇権拡大に対する警戒心も残っているなど、今後の紆余曲折も想定されるようですね。

　日本への歴史的強硬姿勢への転換と比べると、NATOへの真逆の歴史的姿勢転換を展開するメドベージェフ氏。大統領選を意識したものとの評論も聞こえますが、大統領選はプーチン氏が無投票で確定していてすでにその新体制での動きが始まったのだとする見方もあり、なんとも言えませんが、日本とすればこの態度の差別は何故なのか、民主党の政権に携わった方々は胸に手をあてて反省していただかねばなりません。

　NATOのアフガン協議には、日本も韓国、豪州とともに参加したのだそうですが、NATOとでロシアを挟み撃ちで牽制するために、NATOに露の極東での暴走振りをPRし、連携を深めていくことが望まれます。
　医療チームのアフガン派遣での協力を表明していますが、各国からの評価の高かった、インド洋での自衛艦での補給の復活などで信頼を回復することは、日米同盟、インドとのインド洋での対中けん制にも効果が大きいと考えます。

　

露、欧州MDに協力　NATOと合意　初めて互いを防衛　（11/22 読売朝刊）

　【リスボン＝工藤武人】北大西洋条約機構(NATO)とロシアは20日、リスボンで「NATOロシア理事会」を開き、ロシアが欧州全域を守るNATOのミサイル防衛(MD)システム構築に協力することで合意した。安全保障上の脅威に関する評価などをNATOとロシアが共同で進めようというもので、ロシアは欧州MDへの参加に向け一歩踏み出した。
　NATOのラスムセン事務総長は理事会後の記者会見で、「NATOとロシアは初めて、互いを防衛するために協力する」と述べ、歴史的意義を強調した。
　理事会閉会後に発表された共同声明によると、欧州MDについては、どのような協力が可能かどうかを探るため分析を進め、来年6月のNATOとロシアの国防相級協議で検討する。
　ただ、ロシア側は協力にあたって「対等な発言権」や「核戦力の均衡維持」などの条件を提示している。
　また、共同声明では、NATO加盟28か国とロシアが、「互いに脅威を与えず武力行使も自制する」ことを確認。アフガニスタン支援でもロシアの協力拡大で合意した。双方の関係は2008年のグルジア紛争で悪化したが、メドベージェフ大統領は「緊張関係は克服された」と語った。
　リスボンでのNATO首脳会議は同日、閉幕した。

　ロシア：ＮＡＴＯとの協調鮮明に　ＭＤは交渉材料に活用か - 毎日ｊｐ(毎日新聞)

　「露、中央アジア照準　反体制組織撲滅へ“共闘”」：イザ！





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