遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日露首脳会談 露の強気姿勢は変わらない

2017-09-08 23:58:58 | ロシア全般
 ウラジオストクでの日露首脳会談は、プーチン大統領が来日し、萩、東京で行われた経済開発の話と、北朝鮮の核とミサイル開発への対処が注目されていました。
 プーチン大統領の来日では、北方領土問題に向けた期待が日本国内で広がりましたが、プーチン大統領によって冷や水を欠けられ、むしろ後退したプーチン大統領の姿勢が見えました。一方、経済協力推進の協定セレモニーが延々と行われるなど、完全にロシアペースでした。
 今回の会談では、北朝鮮の暴走への対応に向け、米露が対立するなかで、両首脳と対話の出来る安倍首相が、北を支援するロシアとこまで差を詰められるかが注目さりました。
 しかし、プーチン大統領の来日時に潮目が変わった、ロシア側強気の攻勢の流れは健在で、日本側の自国に好都合な期待は、見透かされていて粉砕された結果となったと感じていますが、どうなのでしょう。
 

対北、露韓に再考促す 安倍首相、最大限の圧力 韓国と一致 (9/8 産経)

 
安倍晋三首相が7日にロシア極東ウラジオストクで行った首脳会談は、核実験を実施した北朝鮮をめぐり、日本の立場とは必ずしも一致していなかった首脳2人に再考を促す場となった。1人はロシアのプーチン大統領、もう1人は韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領だ。2人は圧力強化を求める首相に対照的な反応を見せた。

 
日露首脳会談でプーチン氏の振る舞いが一変したのは、首相が北朝鮮の話題を取り上げた瞬間だった。

 「北朝鮮の問題を含め、地域の平和と安定に貢献するために話し合いたい」
 首相がこう語りかけると、プーチン氏は頬に手を当てて無表情になった。経済協力などの進展を評価する首相の言葉には、うなずいて賛意を示したのとは正反対だった。
北朝鮮をめぐる日露の溝は大きい。さらなる対北圧力を求める日本に対し、ロシアは制裁強化に消極的な姿勢を示す。
 日本とともに追加制裁を求める
トランプ米政権は、ロシアにサンフランシスコ総領事館の閉鎖を通告するなど関係が悪化しており、ロシアとの対話に乗り出しにくい。首相はプーチン、トランプ両氏と関係を構築しているため、7日の会談では米露の橋渡し役を果たすことも狙った

 
しかし、北朝鮮に関してロシアが交渉相手とみなすのは米国であり、首相の説得には限界がある
のも事実だ。日本外務省の幹部は「対北制裁を受け入れる代わりにサンフランシスコ総領事館を返せと言い出しかねない」と語る。

 首相は会談に先立つ東方経済フォーラムで、核実験がウラジオストクから約300キロの地点で実施されたことを指摘し、ロシアにとっても脅威であることを強調して翻意を促した。だが、
プーチン氏は会談後の共同記者発表で「核問題の解決は政治・外交的手段によってのみ可能だ」と言い放った


 一方、首相は文氏との会談で「タイムリーに話し合うことができる関係を構築できてうれしい」と笑顔を向けるなど友好ムードの演出に腐心した。徴用工や慰安婦などに関しても原則的立場を伝えるだけで追い込むことはしなかった。
 文氏は「韓国は北朝鮮と国境を接しており、国民の不安が大きい」と述べ、圧力強化が北朝鮮の暴発につながる懸念をにじませた。とはいえ「最大限の圧力」をかけることでは一致し、対北対話を重視する韓国を日米韓の連携に引き込むことに一定の成果を得た。 (ウラジオストク 大橋拓史、黒川信雄)


 「火星12」とみられるミサイルを、連絡なく日本の上空を通過させた北朝鮮。更に、水爆実験も敢行しました。
 繰り返しになりますが、日米は、国連に石油製品を含めた更なる制裁強化を求めていますが、中露は制裁強化には否定的態度です。
 そこで注目された、安倍、プーチン両首脳会談。勿論、プーチン大統領も、身構えています。
 安倍首相が北朝鮮の話題を取り上げた瞬間、プーチン大統領の振る舞いが一変し、頬に手を当てて無表情になったのだそうです。
 さらなる対北圧力を求める日本に対し、ロシアは制裁強化に消極的な姿勢。更に、北朝鮮に関してロシアが交渉相手とみなすのは米国であり、安倍首相がいかにプーチン大統領と緊密に話し合えると言えども、米露の間に立ち入る隙はないとの拒否反応のプーチン大統領。米露の綱引きの最中ですが、プーチン大統領側では、未だ第三国の仲介を必要としていない展開との読みなのでしょう。実際に対北支援策を推進し、中国が石油製品の絞り込みをしいもその分ロシアが供給するとして、北朝鮮取り込み策を推進しています。金正恩にすれば、中国一辺倒の支援に頼る危険が緩和され、ロシアや米国も加えて牽制させることで、優位な展開が出来る環境が整っています。

 プーチン氏は会談後の共同記者発表で「核問題の解決は政治・外交的手段によってのみ可能だ」と言い放ったそうで、エスカレートする北の暴走に対し、制裁を強めるべきとする安倍首相の説得を拒否したのです。

 来日時に合意された、経済協力。ロシアの法の下ではなく、「特別な制度」との合意でしたが、ロシア側は一方的に「特区」として進める枠組みを設定し、推進しています。
 更に、2ヶ月以内に日本側の具体的な提案を口頭ではなく公式文書にまとめるよう求め、2か月間は待つが、その後はロシア国内や全世界から投資家を探していくとつきつけてきました。
 

北方領「特区」 日本の参入「2か月待つ」…露副首相 早期事業化迫る : 読売プレミアム・夕刊

 【ウラジオストク=花田吉雄】ロシアの極東開発を統括するトルトネフ副首相は7日夜、ロシアが8月に一方的に指定した北方領土の色丹島の経済特区について、2か月間は日本の投資家の参加を待つが、それ以降は第三国の投資家の参加を募ると表明した。極東ウラジオストクで開催された「東方経済フォーラム」の記者会見で語った。

 7日の日露首脳会談では、北方4島での共同経済活動として、養殖など五つの事業の具体化を目指すことで合意した。
経済特区ではロシアの国内法が適用される。日本はロシアが実効支配する北方領土でロシアの法律の下で活動することは受け入れられない立場。日露双方の法的立場を害さない「特別な制度」を強く求める日本側に対し、ロシア側が自国の法律の下で早期に事業を始めるよう、早くも揺さぶりをかけてきた


 トルトネフ氏は「共同経済活動に関する日本側の提案を尊重するが、それを文書で見てみたい」と述べ、具体的な提案を口頭ではなく公式文書にまとめるよう求めた。そのうえで「政治レベルでの交渉がどこまで進むかわからないが、経済活動のレベルでは
2か月間は待つ。その後はロシアや(日露以外の)全世界から投資家を探していく
」と述べた。
 ロシア政府は8月、色丹島の斜古丹(マロクリリスク)地区をロシアの経済特区に指定。進出企業には税制面などで優遇するとしている。ロシアは韓国や中国などからの投資に関心を示しており
、外国資本が参入すれば、領土交渉にも大きな影響が出る
のは必至だ。

 菅官房長官は8日午前の記者会見で、トルトネフ露副首相の発言について「首脳会談の一致がすべてだ」と述べるにとどめ、2か月間の期限設定に関する論評は避けた。



 現行ガス田の枯渇を控え、極東や北極圏のガス田開発を迫られているロシア。資源輸出に依存するロシア経済ですが、資源価格が低迷し台所が火の車のロシア。ウクライナへの武力侵入で主要国から経済制裁で追い打ちをかけられているロシア。
 極東開発で、アジア市場との交易を拡大するのは、死活的重要課題なのです。
 日米同盟と地位協定で、独立性の強い米軍基地がある日本。北方領土に日本が進出すれば、米軍基地が付いてこない保証は信じることは出来ません。ソ連自身、太平洋戦争末期に平和条約がありながら、日本に攻め込んだ実績(北方四島もその戦果)があり、日米に対しても油断しないのは当然とも言えます。

 安倍、プーチンの親密と言われてきた(12月の来日でその限界が見え始めてきていましたが)関係での、北朝鮮の暴走を止める協力関係構築は、見事拒否・粉砕されました。
 安倍首相は粘り強く交渉を重ねていくとのことですが、プーチン大統領の対日接近の限界が顕わになってきた様にも見えます。中国、韓国の起業の極東や四島開発参入で日本と競わせて足元を見てきてもいます。 
 大統領選挙を控えていること、台所が苦しく、日本の支援を急いで得たいことの反動で強気にでているとの見方もありますが、それは日本側の自分に好都合な勝手な解釈とも言えます。
 それでも、ロシアの戦術に載せられてはいけません。終戦間近に、ロシアに終戦の仲介を依頼しようと、自分の好都合な勝手な判断を優先し、ロシア参戦の情報がありながら、逆の対応を練っていた日本軍。
 プーチンの来日時以降の、強気に転じたロシアの姿勢は、今も変わらないのはなぜか。
 台所は火の車で、北の支援などの余力はないとの説もありますが、それは逆に、火の車なので対北輸出を増やしたいのではないのか。
 強気で時間を切るのは、火の車の程度が切羽詰っている証ではないのか。北は雑草を食べてでも制裁を凌ぐとプーチン大統領はいうが、それは同じ様に制裁にあっているロシア自身の現状(ロシア国民は貧しさにたえるのに強いといわれている)でもあるでしょう。

 日本がロシアと日本の国益に沿って付き合うには、ふがいなかった岸田氏から変わった、河野新外務省の情報収集の責任が問われる局面です。


 ロシア訪問-平成29年9月7日(現地時間)




 # 冒頭の画像は、ウラジオストクで会談した安倍、プーチン両首脳




  イロハモミジの紅葉


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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)





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