米政府は5月31日、カナダ、メキシコ、欧州連合(EU)に対し鉄鋼・アルミニウムの輸入品に対する追加関税を導入すると発表していました。
これに対し、EUやカナダは、WTOへ提訴するとともに、報復関税の検討も始めました。
米中の攻防も始まっていて、世界貿易戦争の気配が濃厚ですが、G7の主要議題としてとりあげられ、どのような展開になるのか。同盟国日本はどう対応するのか。
世界経済は、風雲急を告げています。
米国、鉄鋼・アルミニウム追加関税発動 主要同盟国に - BBCニュース
中国や日本への適用発表時には言及されていなかった、トランプ米政権による欧州連合(EU)やカナダ、メキシコに対する鉄鋼とアルミニウムの関税上乗せは、素早いEUやカナダの反撃にあっています。
EUの執行機関・欧州委員会のユンカー委員長は、「世界の貿易にとって最悪の日だ。我々は国際貿易のルールにのっとって利益を守る」とツイッターへの投稿で憤りをあらわにし、仏・マクロン大統領は、トランプ大統領と電話で会談し「EUは断固とした姿勢で対抗する」と伝えたのだそうです。
NAFTA再交渉中のカナダやメキシコも、EUと同様、即座に対抗措置を表明。カナダはWTOの紛争解決手続きに沿って、まず米国との協議を求めたのだそうです。
麻生太郎財務相も、「(他国の)流れを見てから検討しなければならない。今の段階で決まっていないが準備はしている」と語ったのだとか。
【米輸入制限】カナダ、米をWTO提訴 麻生太郎氏「日本も準備」 - 産経ニュース
米朝首脳会談を控え、核・ミサイル問題や拉致問題を抱える日本としては、米国を必要以上に刺激したくないとの考えで、「粘り強く除外を働きかけていく」(世耕経済産業相)として、対抗措置に踏み切ることは自制してきています。
ただ、トランプ氏は日本からの輸入車にも照準を定め、新たな関税措置の検討を始めたとのことで、「米国はある意味、やりたい放題だ。対応策をしっかり考えておかないといけない」(政府関係者)との声もあるのだと。
G7財務相・中央銀行総裁会議では、米国を除く6カ国から鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限措置に対する批判が相次いだのだそうで、米国のムニューシン財務長官は、貿易担当閣僚ではないことを理由に反論を避けたのだと。議長国カナダは今回共同声明を出さず、直後の首脳会議(サミット)に照準を絞ることにしたと。
G7で米批判相次ぐ 麻生氏、WTO提訴「流れみて検討」:日本経済新聞
トランプ大統領の基本姿勢のアメリカファーストでの貿易赤字削減政策。選挙公約で掲げて当選したのですから、11月の中間選挙に向け実績を示さねばならないのは、民主主義国では当然のことです。
しかし、世界中を貿易戦争の渦に巻き込んだのでは、米国にとっても不利益をこうむることとなります。
G7首脳会議迄に妥協案が生み出されるのか、議長国カナダのトルドー首相の手腕が注目されますね。
そして北朝鮮問題ではスクラムを組んでいる日米。貿易関係はどう展開するのかは、悩ましい局面を迎えています。ここは、麻生さんの肩にかかっています。
# 冒頭の画像は、G7財務相・中央銀行総裁会議の2日目の討議を終えた記念撮影
この花の名前は、ホトトギス
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これに対し、EUやカナダは、WTOへ提訴するとともに、報復関税の検討も始めました。
米中の攻防も始まっていて、世界貿易戦争の気配が濃厚ですが、G7の主要議題としてとりあげられ、どのような展開になるのか。同盟国日本はどう対応するのか。
世界経済は、風雲急を告げています。
米国、鉄鋼・アルミニウム追加関税発動 主要同盟国に - BBCニュース
米へ即座に対抗 追加関税 各国、雇用に影響 日本、車へ拡大警戒 (6/2 読売朝刊)
【ウィスラー(カナダ西部)=山本貴徳、パリ=戸田雄】トランプ米政権による欧州連合(EU)やカナダ、メキシコに対する鉄鋼とアルミニウムの関税上乗せは、激しい反発を招いている。トランプ政権は輸入車への高関税もちらつかせ、貿易赤字削減に向けて、さらに揺さぶりをかける構えだ。トランプ政権と親密な関係を築いてきた日本も対応に苦慮しそうだ。
■「最悪の日」
「世界の貿易にとって最悪の日だ。我々は国際貿易のルールにのっとって利益を守る」。鉄鋼・アルミへの関税上乗せの発動を受け、EUの執行機関・欧州委員会のユンカー委員長はツイッターへの投稿で憤りをあらわにした。
仏大統領府によると、マクロン大統領は31日、トランプ大統領と電話で会談し、米国の輸入制限の発動について「違法で誤った措置だ」と指摘し、「EUは断固とした姿勢で対抗する」と伝えた。
EUには、米国の輸入制限で、域内の鉄鋼業界などが深刻な打撃を受けるとの懸念がある。欧州鉄鋼協会によると、2017年のEUから米国への鉄鋼輸出は約500万トンで、輸入制限で輸出が急減し、将来数万人の雇用が失われる可能性があるとしている。
■圧力強化
カナダやメキシコは、米国との北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉が自動車や農業、エネルギーなどの分野で難航している。米国に安易に妥協しない姿勢を示すため、EUと同様、即座に対抗措置を表明したとみられる。
メキシコでは7月に大統領選、米国は11月に連邦議会などの中間選挙がある。各国とも通商交渉で国民の痛みを伴う妥協は難しくなる。米国は鉄鋼やアルミに関税を課す一方、交渉は続ける考えを示しており、圧力を一段と強めることで、カナダ、メキシコ両国に譲歩を促す狙いだ。
■自動車も
日本はこれまで、「粘り強く除外を働きかけていく」(世耕経済産業相)として、対抗措置に踏み切ることは自制してきた。米国に輸出する鉄鋼やアルミは高品質な製品が主体で、関税が上乗せされても、米企業が調達先をすぐに変更することは難しいとの判断が背景にある。
米朝首脳会談を控え、核・ミサイル問題や拉致問題を抱える日本としては、米国を必要以上に刺激したくないとの考えもある。
ただ、トランプ氏は日本からの輸入車にも照準を定め、新たな関税措置の検討を始めた。日本は輸入車への関税をゼロにしているにもかかわらず、日本の自動車市場が閉鎖的だとの不満も表明している。
政府内では警戒感が強まり、「米国はある意味、やりたい放題だ。対応策をしっかり考えておかないといけない」(政府関係者)との声も漏れる。日本は、米国との新たな貿易協議も控えている。米国が市場開放の圧力を強めれば、難しい対応を迫られそうだ。
G7 主要議題に
【ウィスラー=鷲尾龍一】先進7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は5月31日(日本時間6月1日)、カナダ西部のウィスラーで開幕した。トランプ米政権が欧州連合(EU)やカナダ、メキシコに発動した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置など、米国の通商政策が主要議題となりそうだ。
トランプ氏は31日の声明で、「米国は何十年も貿易で(他国に)利用されてきた。こうした日々は終わった」と主張し、一方的な輸入制限の正当性を強調した。
ムニューシン米財務長官は、トランプ政権の通商政策について、改めて正当性を訴える見込みだ。
各国は反発を強めている。カナダのトルドー首相は31日の記者会見で「全く受け入れられない。カナダ国民への侮辱だ」と述べ、G7財務相・中央銀行総裁会議の議長国として、自国優先の政策を続ける米国をけん制した。
会議は6月2日まで行われる。日本からは麻生財務相と黒田東彦はるひこ・日本銀行総裁が出席する。
【ウィスラー(カナダ西部)=山本貴徳、パリ=戸田雄】トランプ米政権による欧州連合(EU)やカナダ、メキシコに対する鉄鋼とアルミニウムの関税上乗せは、激しい反発を招いている。トランプ政権は輸入車への高関税もちらつかせ、貿易赤字削減に向けて、さらに揺さぶりをかける構えだ。トランプ政権と親密な関係を築いてきた日本も対応に苦慮しそうだ。
■「最悪の日」
「世界の貿易にとって最悪の日だ。我々は国際貿易のルールにのっとって利益を守る」。鉄鋼・アルミへの関税上乗せの発動を受け、EUの執行機関・欧州委員会のユンカー委員長はツイッターへの投稿で憤りをあらわにした。
仏大統領府によると、マクロン大統領は31日、トランプ大統領と電話で会談し、米国の輸入制限の発動について「違法で誤った措置だ」と指摘し、「EUは断固とした姿勢で対抗する」と伝えた。
EUには、米国の輸入制限で、域内の鉄鋼業界などが深刻な打撃を受けるとの懸念がある。欧州鉄鋼協会によると、2017年のEUから米国への鉄鋼輸出は約500万トンで、輸入制限で輸出が急減し、将来数万人の雇用が失われる可能性があるとしている。
■圧力強化
カナダやメキシコは、米国との北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉が自動車や農業、エネルギーなどの分野で難航している。米国に安易に妥協しない姿勢を示すため、EUと同様、即座に対抗措置を表明したとみられる。
メキシコでは7月に大統領選、米国は11月に連邦議会などの中間選挙がある。各国とも通商交渉で国民の痛みを伴う妥協は難しくなる。米国は鉄鋼やアルミに関税を課す一方、交渉は続ける考えを示しており、圧力を一段と強めることで、カナダ、メキシコ両国に譲歩を促す狙いだ。
■自動車も
日本はこれまで、「粘り強く除外を働きかけていく」(世耕経済産業相)として、対抗措置に踏み切ることは自制してきた。米国に輸出する鉄鋼やアルミは高品質な製品が主体で、関税が上乗せされても、米企業が調達先をすぐに変更することは難しいとの判断が背景にある。
米朝首脳会談を控え、核・ミサイル問題や拉致問題を抱える日本としては、米国を必要以上に刺激したくないとの考えもある。
ただ、トランプ氏は日本からの輸入車にも照準を定め、新たな関税措置の検討を始めた。日本は輸入車への関税をゼロにしているにもかかわらず、日本の自動車市場が閉鎖的だとの不満も表明している。
政府内では警戒感が強まり、「米国はある意味、やりたい放題だ。対応策をしっかり考えておかないといけない」(政府関係者)との声も漏れる。日本は、米国との新たな貿易協議も控えている。米国が市場開放の圧力を強めれば、難しい対応を迫られそうだ。
G7 主要議題に
【ウィスラー=鷲尾龍一】先進7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は5月31日(日本時間6月1日)、カナダ西部のウィスラーで開幕した。トランプ米政権が欧州連合(EU)やカナダ、メキシコに発動した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置など、米国の通商政策が主要議題となりそうだ。
トランプ氏は31日の声明で、「米国は何十年も貿易で(他国に)利用されてきた。こうした日々は終わった」と主張し、一方的な輸入制限の正当性を強調した。
ムニューシン米財務長官は、トランプ政権の通商政策について、改めて正当性を訴える見込みだ。
各国は反発を強めている。カナダのトルドー首相は31日の記者会見で「全く受け入れられない。カナダ国民への侮辱だ」と述べ、G7財務相・中央銀行総裁会議の議長国として、自国優先の政策を続ける米国をけん制した。
会議は6月2日まで行われる。日本からは麻生財務相と黒田東彦はるひこ・日本銀行総裁が出席する。
中国や日本への適用発表時には言及されていなかった、トランプ米政権による欧州連合(EU)やカナダ、メキシコに対する鉄鋼とアルミニウムの関税上乗せは、素早いEUやカナダの反撃にあっています。
EUの執行機関・欧州委員会のユンカー委員長は、「世界の貿易にとって最悪の日だ。我々は国際貿易のルールにのっとって利益を守る」とツイッターへの投稿で憤りをあらわにし、仏・マクロン大統領は、トランプ大統領と電話で会談し「EUは断固とした姿勢で対抗する」と伝えたのだそうです。
NAFTA再交渉中のカナダやメキシコも、EUと同様、即座に対抗措置を表明。カナダはWTOの紛争解決手続きに沿って、まず米国との協議を求めたのだそうです。
麻生太郎財務相も、「(他国の)流れを見てから検討しなければならない。今の段階で決まっていないが準備はしている」と語ったのだとか。
【米輸入制限】カナダ、米をWTO提訴 麻生太郎氏「日本も準備」 - 産経ニュース
米朝首脳会談を控え、核・ミサイル問題や拉致問題を抱える日本としては、米国を必要以上に刺激したくないとの考えで、「粘り強く除外を働きかけていく」(世耕経済産業相)として、対抗措置に踏み切ることは自制してきています。
ただ、トランプ氏は日本からの輸入車にも照準を定め、新たな関税措置の検討を始めたとのことで、「米国はある意味、やりたい放題だ。対応策をしっかり考えておかないといけない」(政府関係者)との声もあるのだと。
G7財務相・中央銀行総裁会議では、米国を除く6カ国から鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限措置に対する批判が相次いだのだそうで、米国のムニューシン財務長官は、貿易担当閣僚ではないことを理由に反論を避けたのだと。議長国カナダは今回共同声明を出さず、直後の首脳会議(サミット)に照準を絞ることにしたと。
G7で米批判相次ぐ 麻生氏、WTO提訴「流れみて検討」:日本経済新聞
トランプ大統領の基本姿勢のアメリカファーストでの貿易赤字削減政策。選挙公約で掲げて当選したのですから、11月の中間選挙に向け実績を示さねばならないのは、民主主義国では当然のことです。
しかし、世界中を貿易戦争の渦に巻き込んだのでは、米国にとっても不利益をこうむることとなります。
G7首脳会議迄に妥協案が生み出されるのか、議長国カナダのトルドー首相の手腕が注目されますね。
そして北朝鮮問題ではスクラムを組んでいる日米。貿易関係はどう展開するのかは、悩ましい局面を迎えています。ここは、麻生さんの肩にかかっています。
# 冒頭の画像は、G7財務相・中央銀行総裁会議の2日目の討議を終えた記念撮影
この花の名前は、ホトトギス
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