書評「精神世界の本ベスト100」

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● [60] 第七感──運命を変える不思議な力/さだじぃ(晋遊舎)

2016年06月06日 | 書評
 世の中には、メカニズムは解明されていないが、何か不思議な力によって、病気が治癒したり運気が上ったという話は数多くあります。じつは、若い頃にはそうした力に強い関心を持っていたのですが、最近は以前ほど興味が持てなくなっておりました。
 私は20代から30代にかけて、精神世界の雑誌(『The Meditation』)の編集に携わっていたので、当時、そうした「不思議な力」を持った人たちに出会う機会が多かったのです。今から考えると、その頃は毎日が「非日常的な体験」ばかりでしたので、私にとって不思議現象は、ごく当たり前のものとして捉えておりました。いわゆる「シンクロニティ(共時性)」が次々と起こり、見るもの聞くもの、出会う人が私にとって、すべて「意味のある必然」でした。

 あれから40年近く経った今でも「不思議な力」の存在については当然あり得ることだと思っています。しかし、最近はそうした能力よりも、その人物が「どんな心情を持って、どういう生き方をしているのか」ということに関心が移ってきました。だから、一見スピリチュアルとは無縁な人の中にも、存在感のある「心ある」人がいると共感してしまいます。

 今回、紹介する著者は、ある日突然「不思議な力」に目覚め、病気で苦しむ人々を治癒しているという宮崎在住のヒーラーです。なぜ、私がこの著者に興味を持ったのかといいますと、彼の「心情と生き方」が信頼できると思ったからです。
 私は「能力者」と言われるヒーラーが信頼できるかどうかの基準を次のように考えています。
 まず、経済的に困窮している患者さんでも施術を受けられる料金なのかということです。だから、その人が必要以上のお金を得たい、贅沢をしたいという欲望を強く持っていないか気になります。

 それについて、彼は次のように述べています。
「施術で旅に出るようになってからしばらくの間、ずっと赤字が続いても、歯をくいしばってがんばりました。全国あちこちに出かけると、交通費と宿泊費、会場費だけでも結構な金額になります。その上、1回の施術料は誰もが受けられるような価格に設定していますから、途中で旅費がなくなってしまったこともあります。
 ホテルの朝食の無料のおにぎりをポケットに入れて、食費を節約したこともあります。それでもこの旅をやめなかったのは、自分の使命をはっきり感じていたからです。
 私はこの力でお金儲けをしようなどとは、これっぽっちも考えたことはありません。家族が何とか食べていかれて、私自身は1日の終わりに、ちょっとだけビールが飲めればそれでいい。ほかには何もいりません」

 もちろん、料金以外についても、いくつかのチェックポイントがあります。自分の能力に対して、つねに謙虚さを持っている人なのかです。人間の力を超えたものに対する畏敬の念、あるいは人知を越えた存在に対する謙虚な姿勢があるかです。「私は仏陀だ」「私は神だ」というカリスマ志向の人は要注意です。また、裏表のない、心が開いている人なのかも大切な要素だと思っています。
 以上のチェックポイントは、あくまでも私の独断なので、あまり参考にはならないかも知れません。いずれにしても、本当に信頼できる人なのかどうか、その判断は非常に難しいと思います。実際に施術を受けた人から直接話を聞くのも一つの判断材料になるでしょう。できれば、あなた自身の目で直接確かめるのが一番です。

 私が危惧するのは、彼のような「能力者」が現れると、必ず彼をビジネスに利用しようとする人たちが群がってくることです。高塚光氏のようにメディアで大きく取り上げられ、いつの間にか、そうした人たちの「思惑」に巻き込まれるようになります。
 いまは「無欲」といわれる人でも、状況がまったく変わったりすると、その欲求が再び活性化する可能性があります。だから、この著者も、そうした波にのみ込まれないように、最後まで初心を貫いてほしいと思います。

【おすすめ度 ★★★】(5つ星評価)


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