中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

百生やつるひとすじの心より

2018年07月20日 | 工芸・アート


暑中お見舞い申し上げます

西日本を中心とする豪雨で多くの方が亡くなられました。
また被災して今も困難な状況の中におられる方々、ご関係の皆様にお見舞いを心より申し上げます。
東京も今年ほど厳しい夏はなかったように思います。暑さには強いほうですが、梅雨明け後も湿度がとても高く身体に応えました。
海水温の上昇、温暖化をなんとか食い止めてほしいものです。

この酷暑の中、工房では秋の展示会向けの作品制作をしていますが、涼しくなりましたらアップいたします。
さて、工房内のささやかな床の間スペースに一服の“涼”を求めて加賀千代女、小川郁子、中野みどり、古いものと新しいものを取合せてみました。(^_^;) 



掛け軸は江戸期の俳人、加賀千代尼の句幅。
取合せとして、「江戸切子矢来紋蓋物」(小川郁子作)
敷布は紬織り藍染格子縞「「秋雨」(中野みどり作)

掛軸は10年近く前に古美術店で求めました。
「百生(ひゃくなり)やつるひとすじの心より」 加賀千代尼(1703-1775)


たくさんなっている瓢箪を詠んだ句です。瓢箪の季語は秋に分類されますが、来月になれば立秋ですから盛夏に掛けておく軸かと思います。
句の意味はなんとなくいいなぁ、、、でしたが、表装の裂地にもとても惹かれました。
当時のままの表具と思いますが、天、地は透ける生地に緑色の和紙で裏打ちがされています。それが生成りの絹を通して薄緑に浮かび上がっています。キビソ糸で織られていて表具に多く使われたと思います。糸の太細の落差の表情がたまりません。


中廻しと一文字の裂地は繊細な組織の織りでキビソとのギャップが大きい取合せもすごくいいです。地の目が通ったとても良い表具です。薄くて扱いにくい生地だと思いますが、手織りしかなかった時代の地の目を見れる職人技です。

千代女の「朝顔に釣瓶とられてもらい水」は有名な句ですが、この句も千代女のやさしさが感じられて味わい深くとても好きになりました。


取合せの小川さんの蓋物は2~3年前の個展会場でいただきました。
カットも色も他にも何点かありましたが、この透明な生地に伝統的な矢来紋の深い切込みが私にはむしろ斬新で力強く、小川さんの力量を象徴しているものに思えました。
木の蓋は外注するそうですが、身と蓋の取合せには苦労もあるとのことでした。
先日サボア・ヴィーブルでの個展を終えられたばかりですが、その時、工芸評論「かたち」の笹山さんが『人は日々』シリーズとして会場でインタビューした時の様子を動画にしたものが下記よりご覧いただけます。
敷布は10年ほど前の仕事ですが、同じ経てで縞帯を3本織った時のものです。そのうちの一本を私も半幅帯にしてよく使っています。
もう一本は、少し前の「和楽」記事に、森田空実さんが名古屋帯で締めてくださっていました。
私の半幅帯の着姿はこちらで。 

小川さんの個展会場での動画はこちらから。他の方も含めご覧ください。
「個展会場の臨場感と作家の「素(日々)の語り」を聴いていただくことを主眼としています」ということです。




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