中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第2回紬きもの塾  蚕が吐き出す糸のかたち

2011年05月24日 | 紬塾 '9~'12

中野みどりのHP



  蚕が繭を作るために吐き出した一本の糸

今回は糸の話を中心にしましたが、その一部をご紹介します。

紬織りといっても現在使われている糸はさまざまです。もちろん経糸、緯(よこ)糸でも違うのですが。
それは「紬とは何か」ということでもあります。
私がたどりついた糸は、蚕が吐き出した糸のかたちをそのまま残しながら、
繭からゆっくりと引き出された糸です。
そのことを少しでもわかっていただきたく、
繭1個から糸を解き出すワークショップをしました。



お湯で煮た繭から一本の糸を引き出しているところ


蚕は頭を8の字を描くように振りながら糸を吐くのですが、
繭から引き離されていく感触は、手編みのセーターをほどくときの感じによく似ています。
ほどいた毛糸はウエーブがかかっていますが、そのように蚕の糸にも波状形が残るのです。
お湯で少し煮ると糸はほぐれます。


糸の波状形を殺さないためには、糸は強くハタかない、引っ張らないことが必要ですが、
効率を求めようとすると引っ張らざるをえず、
ピカピカ、ツルツルの糸で織ることになり、
ペタッとした風合いにしか織れません。



真綿からも糸を引き出す「ずりだし」も試してもらいました

手織りといいながらモーターを使って糸巻きをしてしまうと、
その風合いを生かすことができません。
また節のある糸は指のハラを使ってネップを感知し、手入れをしながら巻く必要があり、
私は糸巻きのときも糸の形を見ながら、ふんわりと手で巻いています。


コメント
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