ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

きょうこそ「ここ倫」です

2021-02-21 11:39:45 | 日記
先週は地震報道のため、「ここ倫」(NHKの夜ドラ「ここは今から倫理です」)は、残念なことに休止になった。きょうは待ちに待った「ここ倫(5)」のビデオ鑑賞だが、正直、この番組はよく解らなかった。倫理教師・高柳先生の問いかけは、「あなたはどうやって”心”を癒していますか?」というものだが、高柳先生はどういう意図からこの問いを投げかけたのか、まずもってそれが解らない。

番組のホームページから抜き書きをすると、きょうのドラマは次のようなあらすじだった。
「自傷行為をやめられない高崎由梨(吉柳咲良)は、ゲームという同じ趣味を持つ保健室登校の都幾川幸人(板垣李光人)と仲良くなる。都幾川は普段の授業にはほぼ出ることはないが、高柳(山田裕貴)を慕って倫理の授業には出ていた。手を握ったり腕を組んだりと高柳との触れ合いを求める都幾川のことを大目に見て欲しいと頼む養護教諭の藤川(梅舟惟永)に、高柳はできないと答える。ある日、由梨が授業で突然カッターを出し…。」

ここには、リストカット(自傷行為)やボディタッチ(触れ合い)によって心を癒やそうとする生徒たちが出てくる。リストカットに対する高柳先生の態度はイマイチ明確ではないが、ボディタッチに対する彼の姿勢ははっきりしている。ボディタッチによって心を癒やそうとする生徒の振る舞いを断固拒否するのが、彼の基本姿勢なのである。
「女性から助けを求められたら、おまえはどうする?愛が欲しいと訴えられたら、おまえはどうする?抱いてしまうのがいちばん手っ取り早い解決だ。でもそんなのは、金に困っている奴に500円玉を与えるのと同じことなのだ。」
そんなふうに説く先輩教師に、高柳先生は影響を受けているらしい。リストカットによって心を癒やそうとする女子生徒の振る舞いに対しても、高柳先生の姿勢はたぶん同じで、彼はこれを断固否定するに違いない。

そうしたことから考えれば、高柳先生の問いかけ、ーー「あなたはどうやって”心”を癒していますか?」という問いかけに対する答えは、明白であるように思える。リストカットやボディタッチといった身体への働きかけによって”心”を癒やそうとするのは、間違っている、ーーそういう答えを引き出すために、高柳先生はこの問いを投げかけているのだろうか。

とすれば、きょうの「ここ倫」は拍子抜けするような、手抜きを思わせるあっさり味の作りだと言わなければならない。ホントにそうなのだろうか。

ドラマでは、高柳先生は生徒たちの前でデカルトの心身二元論について教えを垂れていた。そのことがきょうの先生の問いかけとどう関係するのか、きょうのドラマ全体のテーマは一体、何なのか、私にはそのあたりがよく解らないのである。

おそらくドラマの作者も、よく解っていなかったのではないか。リストカットやボディタッチの是非の問題に、(ふとした思いつきから)デカルト思想を持ち込んではみたものの、その2つをどう関連づけるかが、よく解っていなかったのではないか。そんなふうに思えて仕方がない。
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