ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

役人なんて

2018-04-04 11:29:27 | 日記
春うらら。このところそんな陽気が続いている。有難いことである。何がと
いって、今年の冬はことのほか寒さが厳しかった。寒さのため、麻痺している
左側の脚が強ばり、突っ張ってしまって、歩行に支障をきたすほどだった。待
ちに待った暖かい春が来て、その支障がなくなったのは、とにかく有難いこと
である。

ただ、人生万事良いことばかりではない。私の場合、好事とともに姿を現すの
が、花粉症である。暖かい日ほど花粉の飛散数が増え、咳や鼻水、目の痒みな
どの症状がひどくなる。スギの季節がやっと過ぎたと思ったら、今度はヒノキ
である。同じ花粉症でも、ヒノキの場合は症状の出方がスギの場合とは違って
いる。ヒノキの場合は、目の痒みがひどく、気管支のあたりにからみつく粘液
の感覚がある。毎年のことだ。これはただただ耐え忍ぶしかない。ここ1ヶ月
ほど、乳酸菌飲料を飲み続けたせいか、スギ花粉の症状は多少緩和された感じ
だが、これはヒノキにはあまり効かないようだ。

身体の動きが良くなってきたので、生活のスタイルをすこし変えてみることに
した。車イスにたよっていた部分を少なくし、杖での歩行に切り替えてみた。
まずはリビングで、車イスを降りてから、食卓までの杖歩行の距離を伸ばして
みる。トイレまでの行き返りも、車イスを使わず、杖だけで試してみる。これ
だけでも運動量は倍になり、精神の緊張度も3倍近くになった気がする。スト
レスが募るが、訓練だと思って、これらの動作を毎日繰り返し、これに慣れて
くれば、そのうち健常者と同じように日々を過ごせるようになる・・・のだろう
か?

若い人たちにとっては、春は進学や就職のシーズンである。夕方、テレビの
ニュース番組を見ていたら、官僚志望だという東大生の若者が数人、インタ
ビューに答えて、こんなことを言っていた。「官僚というと、いろいろありま
すからね。仕事も忙しいでしょうし、世間からヘンな目で見られることもある
だろうと思います。でも、なんといっても国を動かせますからね。国を動かす
というのは、ヤッパリやり甲斐があります。」

若者のこの言葉を聞いて、天邪鬼爺の私はカチンときた。官僚が国を動かす、
だって?!バカも休み休み言え!たしかに役人は許認可の権限を持ち、保育園
や幼稚園や老人ホームを作ったり潰したりすることができるが、それを行うの
は法令であって、役人ではない。役人はたかだか法令の運用者に過ぎないので
はないか。法令を作るのは役人ではなく、議員たちだから、「国を動かす」な
どとほざくのであれば、それが言えるのは議員たちだろう。役人なんて、議員
のセンセ方に指示されて、文書を作成したり、いったん作成した文書を改ざん
したりシュレッダーに掛けたりする、ーーせいぜいその程度ではないのか。

私が大学生だった頃、地方の木っ端・下級役人だった父親は、私が国家公務員
の試験にパスして、中央の上級公務員の職に就くことをつよく望んでいた。私
の周りの先輩や同級生にも、官僚の志望者は少なくなかった。だが、私は官僚
とか役人とかにはまったく魅力を感じなかった。「しょせん役人なんて」とい
う、上のような思いを、私は大学生の頃から持っていた。魅力を感じていたの
は、唯一「作家」という職業だったが、私がその才に恵まれなかったことは、
本ブログですでに書いたとおりである。

しょせん役人なんて・・・。その思いは間違っていなかったと、私は今でも思っ
ている。

春は人生の岐路。歳のせいか、目の前の岐路がかすんですっかり見えなくなっ
た、老いぼれの天邪鬼爺である。
コメント
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