ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

金満家と老子

2016-01-18 11:43:58 | 日記
おカネで苦労したことって、あります?

いえ、金欠で困ったことではなく、

ありすぎて困ったことが、です。

「金玉滿堂、莫之能守」

(金や玉が部屋一杯になれば,どうしてそれを守るのだ)。

9章で老子はそう言うのですが、

たしか、カントも同じようなことを言っていたと思います。

おカネが有り余るほどあれば、

それを泥棒に盗られないように、

なんとか悪人の魔の手から守ろうと、

かえって心労が増すだけだ、と。

おカネに縁のない私には、老子やカントの言説は、

どうしても、実感の湧かない、

机上の言いぐさに聞こえてしまうのですが、

そういえば、

リーマンショックのとき、

お金持ちたちの落ち込みようは、

目も当てられませんでしたね。

このとき彼らは、泥棒や強盗よりもタチの悪い、

株式相場という魔のシステムと戦っていたのです。

ならば、と、老子は言います。

「持而盈之、不如其已」

(持(じ)してこれを盈(み)たすは、その已(や)むるに如(し)かず;

手にもつ器に水を満たし,零すまいと心配するくらいなら,はじめから満杯にすることはないのだ)。

金欠で困っているくらいが、

精神衛生のためにはちょうど良いというのです。

富もそう、名声もそうです。

成り上がって名声を博するようになったために、

成り上がる途上で行った過去の悪事が暴かれ、

せっかくの苦労も水の泡、というのは、

週刊誌などでよく目にする話ですし、

社会派ミステリーの大家・松本清張の作品にも、

何度か取り上げられている話です。

だから、「功成名遂身退、天之道」

(功成り名遂げて身退くは、天の道なり)

と老子は言うのですが、いかがでしょうか。

SMAPだって有名にならなければ、

解散がこれほどの騒動にはならなかったはず。

「天の道」からすれば、彼らはそろそろ潮時、解散の時期なのでしょうか。

スキャンダルが追い打ちをかける前にね。
コメント
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