「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

「月夜野純愛物語」(ラブ・クリスマス2)(15)

2013年12月12日 | 今の物語
「ま、主任就任は来月になるだろう・・・それまでに、エマちゃんとは、メールをやりあえる間柄になっておけ」

と、カズキに言われた・・・その言葉が耳元にまだ残っていたサトルだった。


月曜日の夜、独身寮に帰ると、サトルはシャワーを浴び、缶ビールを買って部屋に戻った。

パソコンを立ち上げ・・・今後どうするか、考えていた。


「エマさんと、メールをやりあえる間柄か・・・どういう理由をつけて・・・それを相手に納得させるか・・・だよな・・・」


と、サトルは難しい難題を与えられたサルのように考えていた。


「こういうの・・・苦手なんだよな・・・だいたい、僕は相手に考えてもらう方が得意だし・・・」


と、サトルは、頭を抱えていた・・・。


「うーん・・・要は相手が僕とメールしたいって、思わせることが先決ってことかな・・・」


と、とりあえず考えてみる、サトルだった。


「で、それって、どうしたらいいの?・・・わっからないよ・・・」


と、頭を抱えるサトルだった。


「えーと、とりあえず、わかってることを整理するか・・・とりあえず、わかってることは・・・」


と、ビールを飲みながら、ノートを開いたサトルは・・・ノートにボールペンで文字を書いていく。


「エマさんが、僕のブログの写真に食いついた事・・・これだけは確かだな」


と、サトルは言葉にし、ノートに書いてみる。


「そうか・・・食いついたのは、エマさんの方なんだ・・・」


と、サトルは改めて言葉にする。


「うーん、ということは・・・弱みはエマさんの方にあって、強みは、僕の方にあるってこと?」


と、サトルはノートにボールペンで言葉を書きながら、自問自答している。


「その強みを活かして交渉していけば・・・いいってことなのかなー」


と、サトルは頭の中を????にしながら、言葉にしている。


「こういうの・・・苦手なんだよなー。シンプルに言葉にする方が楽だし・・・」


と、サトルは言葉にしている。


「にしても・・・何事も経験かー・・・ミクが言ってたな」


と、サトルはミクの言葉を思い出す。


「サトルは・・・相手の気持ちを考えて行動するのが、苦手なようね・・・でも、それが出来るようになると、相手の笑顔も増えるわよ」


と、ミクは言ってくれた。あれは逗子海岸で、二人で海を見ていた時だった。


「僕はまだ、子供だ・・・ミクに比べれば、全然なんの経験もしていないし・・・」


と、サトルが言うと、


「それは素敵な事でもあるのよ・・・わたしは・・・いろいろな事があった・・・サトルに今は言えないような事も経験してるの。でも、時期が来たら、もちろん、言うわ」


と、ミクはそんな風に話した。


「僕に、今は言えない事・・・そんな経験したの?ミク」


と、サトルが言う。


「順番よ。私もいろいろ考えて行動しているの・・・わたしが考えて・・・サトルに言っていいい日が来たら、ちゃんと言うから・・・それまで待ってて」


と、ミクは笑顔で言った。


「うん・・・まあ、ミクがその・・・僕の成長を見ていてくれて・・・いろいろ考えてくれてるのは、わかってるから・・・その時を待つよ」


と、サトルは言葉にする。


「ごめんね。ありがとう・・・サトルは、そういう素直なところが、本当の宝物だわ」


と、ミクは笑顔で言った。


「そんなこともあったな・・・」


と、サトルは遠い思い出に・・・なんとなく納得していた。


「そうか・・・カズキさんが言ってたっけ・・・エマさんは、僕の肩甲骨の写真に食いついた・・・ミカさんの意見だけど」


と、サトルは考える。


「となれば・・・要は同じモノが好き同士って、ことかな・・・」


と、サトルは考える。


「美しい肩甲骨や、プリっとした筋肉が光るお尻や、綺麗なラインの出ている、腰からヒップへのボディライン・・・そういうのが好きってこと、だよね?」


と、サトルは考える。


「そこに食いついたのなら・・・食いついたのなら?・・・あれ、そっからどう考えればいいんだろ?」


と、サトルは少しよくわからない。


「ま、今日のところは、エマさんに向けて、とりあえず、もうひとつコメントを出しておこう・・・」


と、サトルはどう書こうか悩む・・・。


「そう言えば、エマさんは、月の美しく見える街に住んでいるんですよね?どんな街なんですか?興味があります//ニコラ」


と、コメントを書いたサトルは、

「ま、僕がエマさんに興味を持った・・・ということを伝えれば・・・どうにか、なるだろう・・・」

と、あまり女性を口説いたことの無いサトルだった。


「どっちかって言うと、ただストレートなだけだもんな。僕って・・・」


と、サトルは言葉にする。


高校時代に初めて女の子と、つきあって・・・その子とはキス止まりだったけれど、大学時代、同じテニスサークルの女子と恋人同士となって、

初めてエッチも経験したけど・・・就職してすぐに別れていた。


「だから、女性の事、あんまり理解していないんだよな、僕・・・」


そして、次につきあったのが、4歳年上のミクだった・・・。


「確かに、僕・・・年上の方が圧倒的に楽かもしれない・・・大学時代、年下の女の子リードするの・・・結構大変だったし」


と、その頃を思い出す、サトルだった。


「なんで、おんなごころがわからないのよ!」


といきなりキレられて、物を投げつけられたこともあった。


「確かに・・・そういうところ、僕は、鈍感なのかもしれないな・・・」


と、サトルは思っていた。


「エマさんとメールでやりとり・・・主任になったら、平日だって時間取れるか、わからないぜ・・・人生のピンチだ、確実に・・・」


と、サトルは言葉にしていた。


「まあいい・・・今日出来ることは、これだけだ・・・えーと、あとは・・・サークル仲間にメールでもしておくか」


と、サトルはメールをさらさらと書くと、推敲して、送信した。ものの5分とかからなかった。


「しかし、メールだけは、俺早いんだよな・・・文章書くの得意だし、大好きだし・・・これが俺の仕事になったら、どんなに良いことか・・・」


と、思いながら、サトルはパソコンを立ち下げ、ビールを飲んで寝てしまった。



同じ頃、ミウは「カーペンターズ」を聞きながら、白ワインを飲んでいた・・・月夜野の街の真実を知り、自分がどういう目で見られていたかも知ったミウは、


少しショックだった。


「皆、考えることは同じ・・・・そういうことね・・・」


と、ミウは思った・・・自分の黒い闇・・・それは・・・決して語りたくない闇だった。


「でも、考えてみたら・・・皆わたしを白い目で見てるって現実があるってことじゃない・・・言っても言わなくても、どうせ同じってことじゃない・・・」


と、ミウは愚痴った。


誰かに話を聞いてもらいたかった。


「ユカに電話かける?愚痴を聞いてもらう・・・ううん。この時間は編集者にとっては仕事のメインの時間だもの・・・かけるわけにはいかないわ・・・」


と、ミウは思い留まった。


「こんな時に彼氏がいてくれたら・・・愚痴を聞いてもらうくらい・・・でも、無理だわ・・・だってあの話、彼氏になるような人に言えないもの・・・」


と、ミウは言った。


「人生って、こういうものだった?いつもそう・・・夢を持って歩き出そうとすると・・・壁にぶち当たる・・・もう何回そういう壁にぶつかってきたのかしら、わたし」


と、ミウは言葉にする。


「ふふ・・・いいわ。ニコラくん・・・あの肩甲骨の美しい年下のスポーツマン・・・彼と電話でしゃべれる間柄になりたいわ・・・」


と、ミウは思う。


「できれば・・・ねー・・・」


と、ミウは言葉にする。


「そうなれないかしら・・・わたしの愚痴聞いてくれるだけでもいい・・・それだけでも・・・日々が潤うわ」


と、ミウは言葉にする。


と、ミウは思い出したようにパソコンを立ち上げる・・・今日はまだニコラのブログを見ていなかった事に気づいた。


ミウはニコラのブログを見る・・・コメントが・・・ニコラのコメントが珍しいことに2つもあった。


「やっと今、その月の写真をアップしました。その月を見ながら缶ビールを飲んでいたら、酔っ払ってしまって、だから、アップが今日になったんです(笑)//ニコラ」


「そう言えば、エマさんは、月の美しく見える街に住んでいるんですよね?どんな街なんですか?興味があります//ニコラ」


ミウは、ニコラのくれた2つのコメントに、つい、嬉しくなっていた。


白ワインをグラスに注ぎ、ぐっと飲み干す。いっぱいの笑顔になる。しあわせな瞬間だった。


「この男性・・・すごく繊細で、やさしい・・・」


と、ミウは感じていた。


「多分・・・最初のコメントは、土曜日にコメントを返せなかった事を謝っている・・・そういう風に見えるわ」


と、ミウは思った。


「それに・・・わたしが月の写真を楽しみにしてるって言葉・・・彼は覚えていたんだ・・・わたしの言葉が彼の胸にあった・・・それって嬉しい事よね」


と、ミウは感じる。


自分の言葉が誰かの胸に残っていて・・・その言葉の為に男性が行動してくれる・・・そのことがすごく嬉しいミウだった。


「この男性は・・・信用出来る・・・信頼出来る男性だわ・・・」


と、ミウは感じていた。


「わたしの言葉を大切にしてくれる・・・そういう男性だわ・・・そういう男性こそ・・・」


と、ミウは笑顔になりながら、その言葉を反芻した。


「2つ目のコメントは・・・わたしに興味を持ったって、ことでしょう?わたしに食いついたって事?わかりやすい・・・シンプルな男性なのかも」


と、ミウは笑顔でそのコメントを読む。


「まだ、幼い感じがあるわね・・・年下の幼いところがある男性・・・思ったことをシンプルに言える・・・正直な男性・・・それがニコラくんね」


と、ミウは笑顔でそのコメントを楽しんでいる。


「そっか・・・いろいろな事がわかったわ・・・大事なことは・・・ニコラは、私に興味を持った・・・シンプルな言葉で、わたしに向かってきている・・・そういうこと」


と、ミウは理解した。


「だったら・・・ニコラと電話で話せる仲に・・・なる事も不可能じゃ、ないわね」


と、ミウは結論づけた。


「明日の朝、コメントを書こう・・・今日は酔ってるし・・・相手が求めている時は、少し引く・・・そうすれば、もう少し、相手の本音が引き出せるかも、よね」


と、ミウは年上の女性らしく、恋のかけひきに、少しだけ賢いところを見せる。


ミウはグラスいっぱいに白ワインを注いだ・・・それを笑顔で飲み干し、もう一度、ニコラの書いたコメント読み返す。


「私の為に、男が出した言葉・・・いつ見ても嬉しい・・・わたしに興味がある・・・そういう男性が好き・・・」


と、ミウは言葉にして・・・思い切りの笑顔になる・・・。


「これが、恋の始まり、かも・・・」


ミウは言葉にした・・・。


ミウはいい気分のまま、パソコンを立ち下げ、眠りに落ちる。


笑顔のミウは、気持ちよく眠りについていた。


ミウは今、しあわせだった。



火曜日の朝方、午前4時を過ぎたあたり・・・。


サトルの携帯に電話がかかってきた。


「はい・・・もしもし・・・」


とサトルが半分眠りながら、電話に出ると、


「鈴木、メインフレームの調子がおかしい。CPUの負荷が200%に上がったままなんだ。他の処理にも影響が出始めている・・・対応してくれないか?」


と、関空現地の主任システムエンジニア、多岐川からのエマージェンシーコールだった。


「わかりました。会社には10分でいきますから、すぐ折り返し、連絡いれます」


と、サトルはしゃっきりしながら、服を着替え、しゃっきりして、部屋を出て行った。


つづく


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