蟋蟀庵便り

山野草、旅、昆虫、日常のつれづれなどに関するミニエッセイ。

感動のメッセージ

2008年12月15日 | つれづれに

 師が走る。寒暖慌しく取り混ぜながら、2008年が逝く……。

 すっかり葉を落としたハナミズキの梢にびっしりと春の花芽が着き、木蓮やキブシ、蝋梅の落葉頻りである。いつになく八朔の色づきが遅い。冬日の当たる縁先に戻した鉢では、ヤマシャクヤクの新芽がツンと土を持ち上げ始めた。イロハカエデの赤い新芽が美しい。音もなく、季節がゆっくりと歩いている。
 心身定まらない中で久しくブログを叩く気持の高揚もなく、10月で途絶えたままだった。古稀まで35日、60代最後の越年が迫る夕べ、子供会のナツミちゃんがお母さんと訪れた。「子供達からのお礼のメッセージです。」という。クリスマスを先取りする、思いがけないサプライズだった。包みを開くと『みんなからのメッセージです』と題した、可愛いアルバムが出てきた。腕白たちがHalloween の宵の思い思いの扮装をした写真に、ひとりひとりの心の篭ったメッセージが添えられていた。思わず胸が熱くなった。年寄りの涙腺直撃のサプライズである。
 「おもしろ塾、楽しかったです。ありがとうございました。」
 「いつもやさしくして下さったり、私たちのお世話をして下さってありがとうございます。へいせいおもしろじゅくでは、虫のことやヘビなどいろんなことをおしえてもらえて楽しかったです。これからもよろしくお願いします。」
 幼稚園年少組のサララちゃんからの「あいしてる」に、思わず頬が緩む。
 
 小学生を対象に始めた「夏休み平成おもしろ塾」も7年の歴史を刻んだ。ボランティアの塾長として入学から卒業まで見守った子供達もいる。地域の子供達とのふれあいは、ともすれば中学進学と共に途切れてしまうのに、この塾の卒業生達は今でも塾の手伝いや子供会の行事に参加してくれる。メッセージには、中学生達の写真と言葉もあった。
 「今までありがとうございました。私は平成おもしろ塾をきっかけに茶道をはじめ、もう習いはじめてから、いつの間にか5年以上もたちました。平成おもしろ塾でお点前までさせてもらって、とてもいい経験ができました。これからもよろしくお願いします。」
 「新体操に、ミキなりに頑張っています!少しは成長したかな?」
 「先日のハロウィンパーティーはお世話になりました。ひさしぶりに子供会の行事に参加したので、とても楽しかったです!」
 「お久し振りです。最近急に寒くなってきて、私は少し風邪気味ですが、お元気ですか?私は最近吹奏楽部に入り、チューバを吹いています。少し前の合唱コンクールではクラスで金賞をとったり、英語でディベートをしたり、学校で毎日とても楽しく過ごしています。また会ってお話ししましょう。良いクリスマスを!」(既に近郊に越して行った卒業生である。)

 自治会活動の傍ら、家内の提案で始めた夏休み3日間だけの塾である。時には帰省中の孫達も参加させた。見返りを求めないささやかなボランティアは、思いがけない感動を返してくれる。子供達は、道端で見かけると必ず声を掛けてくれる。何故か「区長さん」でも「塾長先生」でも「おじちゃん」「おじいちゃん」でもなく、必ず名前で呼び掛けてくる……不思議な現象である。
 ほのぼのとした温もりに浸りながら、心鎮めて波乱の一年を送り、もう決して稀れではなくなった古稀を迎える覚悟を決めることにしよう。
     (2008年12月:写真:ひと足早いクリスマス・プレゼント)
 

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