蟋蟀庵便り

山野草、旅、昆虫、日常のつれづれなどに関するミニエッセイ。

賀状往来

2016年01月03日 | つれづれに

   Happy New Year!
   Wishing you good health,happiness,and peace always.
   Thank you for everything last year

 横浜の長女一家から、こんな年賀状が届いた。多摩美に通う上の孫の見事な切り絵に、含蓄ある英文が添えられといる。
 「星の王子様」が二匹の猿の頭に手を添え、下には去っていく羊を送る女の子の絵の吹き出しに、こんな言葉がある。
   See you again 12 years later.
 娘や孫たちの暖かいメッセージだった。葉書の裏に小さく「表の羊の謎かけ、分かりますか?」と娘の字で添え書きされていた。

   「12年後に、又会おうね!」
 次に未年を迎えるときは、我が家は88歳と87歳、もう見えないほど遥か遠くに霞む里程標である。昨夜交わした年賀の電話の中で、孫たちから「その次の100歳まで頑張ってよ!」と励まされた。叶うにはあまりにも遠い老いの旅だが、娘や孫たちの励ましに支えられて、精一杯一里塚を立てながら生きて行こうと思う。

 アメリカの次女からも、昨日の午後(向こうでは元日の夜)PCの呼び出し音が鳴って年賀のSkypeが届いた。仕事を終え、クリスマスにフロリダからカリフォルニアのコンドミニアムに帰ってきた婿と、手作りのお正月料理を楽しんだようでホッとする。
 仔ニャンコズの海沙(ミーシャ)と咲蘭(セーラ)は、「此処に住んで初めて!」というカリフォルニアの寒さに加え、年末ぎりぎりに暖房が壊れ、暖炉の前のホットカーペットにべったり貼りついて動かない。育ち盛りの悪戯盛りだから、昼間は飽きることなく駆け回り転げまわり、時折窓の外にやってくる栗鼠とガラス越しのバトルを繰り広げているらしい。
 小一時間話して、これでようやく電話越し、Skype越しで、わが家一家の新年の顔合わせが終わった。

 濃霧の中、朧月のような初日の出を迎え、二人だけで太宰府天満宮の初詣渋滞で「陸の孤島」となったお正月を、静かに穏やかに過ごしている。
 今年の年賀状には、初夏に咲いた二輪のサギソウの写真に「飛翔という言葉を添えた。実は、50年前の結婚式の案内状に添えた文字が「翔」の一字である。金婚式を越えても、「まだまだ翔び続けます!」という思いを込めた。
 この一年は「春風駘蕩、あるがままの今と向き合う日々」としたい。

 飲んで喰って転寝して、また飲んで喰って転寝して……一日中ほろ酔いと満腹感が消えない三が日も今日で終わる。また体重計で溜息を吐くことになりそうな、そんな暖かいお正月である。
 気温は3月下旬並み、草花も慌てふためく異常な冬であり、年の瀬29日の太宰府天満宮裏山散策の途中で、白梅の開花も見た。我が家の庭のユキヤナギも狂い咲いて玄関脇では赤いツツジが一輪、蕾を膨らませている。

 なにはともあれ、今年もいい年でありますように!
             (2015年1月:写真:孫からの年賀状)