私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

隊長 キム・チャンス

2017-10-27 20:27:37 | ソン・スンホン(宋承憲)
見終わった後、改めて恨(ハン)という感情が韓国人のメンタリティの中でどれだけ優先順位が高いのかということを考えずにはいられなかった。

キム・チャンスは、日本人に惨殺された明成皇后の恨(ハン)を晴らすべく、一人で皇后殺害犯を殺し、仁川刑務所に送られる。
「素手だった私に日本刀を向けて殺そうとしたことが、彼が犯人である証」と言い、判決前はもちろん、死刑判決後も自分は単なる殺人犯でなく、意味のあることを成し遂げたと言い続ける。

皇后の恨(ハン)を晴らしたことで自分のやるべき事は終わったと思っていた彼が、刑務所の中で自分の名前さえも読み書きできず、もちろん陳情書など書くこともかなわない囚人らを助けることに自分の進むべき道を見出す。
自らの国が自分たちの手の中にないということに恨みを感じていた彼は、囚人たちに学ぶ機会を与えることで自分の恨みを晴らす術を見つける。
判決を受けた自分に残された時間がどれほどあるかわからないが、自分が何遂げられなかったことを後進に引き継ぐ喜びを見出すのだ。
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キム・チャンスが収監されるう仁川刑務所の所長カン・ヒョンシク(演:ソン・スンホン)は、未来の見えない母国を捨てて、日本側に自らを置くことを選んだ人物。
同胞の部下たちに手を挙げることを躊躇することなどない彼は、日本とアメリカが計画した鉄道網整備の計画に協力すべく、雪が降り十分な装備もない作業現場に囚人たちを送り込む。
ただ、彼も日本人に同化することを望んだ人物でもない。日本人が同胞を卑下する言葉を並べると、突然灰皿を投げ激高する姿を見せる。日本側につくことでしか権力を得ることができない時代や世の中に対する恨(ハン)を、暴力をふるうことや裏帳簿を作り私服を肥やすことでバランスを取ろうとしている人物だ。

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映画は、キム・チャンスという人物が単なる殺人犯でなく、国が自分たちの手の中になく、さらには自分たちの明成皇后が日本人に殺害されたという恨(ハン)を晴らすべく偉大な行為をした英雄であることを称えることに終始する。その思いには一点の曇りもない。

「自分がしたことは、消す事の出来ない歴史になる」と言うキム・チャンス。
ここで言う歴史は、自分たちにとっての正しい歴史だ。
他人に牛耳られている母国の恨(ハン)を晴らすべく素手で立ち向かったその行為は、正しく、その正しさは受けつがれ無ければならず、その行為を誰も否定することは出来ないという絶対的な正しさ。
彼が囚人たちに「自らの手で悔しさを晴らす」という術を教えたことで、王の元には多数の多数の嘆願書が送られ、死刑執行に署名を行うはずの王の気持ちさえも動かすのだ。

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実話を映画にするのはいい。映画は面白くてなんぼだから、盛り上げるべく、悪役をどこまでも悪者に描くのもいい。
ただ、エンドロールでは、彼の偉業をたたえる新聞記事や、現存する写真が次々と紹介される。とにかくどこまでもどこまでも実話押し。
「今、なんで改めてここまで実話押しの映画を作る必要があるんだろう?」という私の疑問など、パワー溢れる実話押しの前には成す術もない。

映画云々というより、その実話押しのマインドにやっぱり何か違和感を感じる・・・

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10/25  ソウル 江南 COEXモールで鑑賞 チケット代金 10000ウォン
10/26  同じ劇場で鑑賞 チケット代金 11000ウォン

この劇場は、試写会場のような@ブティックと呼ばれるおしゃれな小劇場も完備しており、特別なロビーと綺麗なトイレなどが使えるようになっている。
それがよくて予約する人もあれば、たまたま見たい映画がその劇場でやっているおり、チケットが余っているとその劇場の上映チケットを勧めてくれるようで、二度目に見た際のチケットが1000ウォン高かったのはそのブティックと呼ばれる劇場だったからだ。

1000ウォンであのゴージャスな雰囲気が味わえるなら、満足度は高いだろう。






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