ディクスン・カー 不可能犯罪捜査課

短編のいいところは、すぐに結末が分るところだ。
通勤の友にするには丁度いい。

不可能犯罪捜査課というタイトル通り、死体が無くなってしまったり、凶器が無くなってしまったりと、ちょっと見た限りは、確かに不可能犯罪に思えるところもあるが、今のこの時代に読むと、それは不可能というより非常にシンプルなものに思えてくる。しかしシンプルだからと言って後味までさっぱりというわけではない。芳しい香りのするミステリーといったらいいのか。
不可能犯罪を犯すに至った人の心は時代を経ても一緒だ。その心は古くなることなく伝わってくるし、不可能犯罪というにはあまりにもシンプルなトリックも多いが、舞台設定に雰囲気があるので、そちらに心奪われることも多く、そのシンプルなトリックさえも雰囲気があるように思えるのだ。

あるキャバレーが舞台の＠楽屋の死や、フランスのカジノが舞台の銀色のカーテンは、なんとなく古畑任三郎を思い出させる話だった。どこがというのは上手く説明できないが、こういうストーリー展開は三谷幸喜が好きな展開なのではないかなと思う。この筋立てを更に軽くしたら、古畑任三郎にぴったりなのではないかと思う。あくまでも軽くすることがポイントだが。。。。。

不可能犯罪捜査課 (創元推理文庫―カー短編全集 (118‐1)) ディクスン・カー 東京創元社 このアイテムの詳細を見る