「パティシエになりたーい!」ブログ。

元パティシエ・オペラのお菓子の話やらオタクっぽい話やらのごちゃ混ぜブログ。

「羊をめぐる冒険」、再読

2012-05-26 17:51:59 | きょうのできごと
何年ぶりだろう。とりあえず最初に読んだのは中学生の時で、もしかしなくてもその時以来「羊」は読んでないので…(「ノルウェイの森」とか「スプートニクの恋人」は手元にあるので何度も読み返してるんだけど…)、うわっ、15年以上経ってる!?

とりあえず一回通して読んで、思った。
「全く意味が分からん…。」って(えー)。
よく、…よくこれを、読み切ったなあ!中学生の私よ!!頑張ったなあ…!
そしてこれで村上春樹さんを好きになっただなんて…!
…背伸びしすぎじゃね?(自分に対してひでえ)

いや、…当時もさすがに、「わかるわかる!おもしろい!」…とかは一切なかったと思うんだけどねえ…。
それにしたって、大人になった今なら…ちょっとは色々理解できるかなって思ってたんだけど、…本当に謎だらけで、読みながらも「??」だったし、ラストまで読んでも「?????」だった…。
もちろん、描かれる情景とかはずっと想像しやすくなってるだろうから、読むスピード自体は速かったとは思うんだけどな…。
今、じっくり二周目してるところです…。でもこれ、この周回でも「なるほどそういうことか!!」って思える自信が全くないんですけど…。どういうことなの…。

今までも何度か書いてきたけど、私は本当に、村上さんの小説の雰囲気「だけ」が好きでたまらないんだなあ…。
部分部分の登場人物の言葉とか、心情とかはわかるとこもあるけど、その小説の主題とか…謎の事とか…読んでてわかんなくても何っとも思わないんだなあ…。
で、ここまで考えるといつも思ってしまう。「こんなんで、本当に村上春樹さんが好きって言っていいんだろうか。」って。
でも好きなんだよねえ…。

私は昔、「自分でもよくわからないけど」っていう言葉が嫌いでたまらなかった。
自分のことなのに、自分でわからないってなんだよ!じゃあ誰がわかるんだよ!責任持てよ!…と思ってた。
だから好きと思うならその理由を、逆に嫌いに思うのならその理由を、自分自身で言葉にしたがってた。ずっと。
言葉にして、確信したかったし、安心したかった。自分が、納得したかった。
でも最近は、…そんな全部をはっきりさせなくてもいいんでないの、とも思うようになった。
理由を言葉にできなければ、好きとも言っちゃいけないような変なこだわりをやめた…というか、許してあげられるようになった、のかな。
(もちろん言葉にできる分はした方がいいんだけど…うちには。言葉にしとけば記憶にも残るしね。)
今、村上春樹さんが好きな理由を、私はまだはっきりと言葉にはできない。
けど、
好きです。
自分でもよくわからないけど、好きです。


最初に読んだのは昔過ぎて、中学生の自分が一体どんな感想をあの本に持ったのか、正確には思い出せない。
でも、すごく惹かれた部分は覚えてる。
この部分だけは覚えてた。15年以上、忘れたこともない(きちんと全部を記憶してたわけじゃないけど)。

ページは356ページ。…もう、かなり終盤ですね。
第八章の8、「風の特殊なとおり道」。主人公の「僕」が、北海道のとある人里離れた牧場にある別荘で一人、本を見てパンを焼くところから始まる段落のとこ、の最後の部分。

「僕は夕方にパンとサラダとハム・エッグを食べ、食後に桃の缶詰を食べた。
翌朝僕は米を炊き、鮭の缶詰とわかめとマッシュルームを使ってピラフを作った。
昼には冷凍してあったチーズ・ケーキを食べ、濃いミルク・ティーを飲んだ。
三時にはヘイゼルナッツ・アイスクリームにコアントロをかけて食べた。
夕方には骨つきの鶏肉をオーブンで焼き、キャンベルのスープを飲んだ。」


そこでこの小説で大段落の区切りとして使われている指矢印のマークが挟まれて、次が。

「僕は再び太りつつある。」

その一行で、また指矢印。
…ここ、最初読んだ時、ふっと笑ってしまったんですよね。
ものすごいおかしいことが書いてあるわけじゃないけど、笑ってしまった。その瞬間に、なんとなくいい感じに力が抜けたんだと思うんです。
…覚えてるんです、これだけははっきりと。
「ああ、小説ってそんなに怖いものじゃないんだな。」って思ったんです、ここで。
家に何十冊もあった世界名作童話集ばっかり繰り返して読んでいた私が、初めてまともに読んだ小説が「羊をめぐる冒険」だった。字もちっちゃくてページの密度も濃いし、なんだか書いてあることも難しくて読み進めるのも大変だったけど…、でも。ここで、一瞬でも心からそんな風に思えたから、これを読み終わった後に「もっとこの人の小説を読んでみたい」って思えたんだと思う。
そしてなにより、…おいしそうですよね!淡々と、食べたもの並べてるだけなのに!(ちなみに当然ですが、こんな一行ずつぶつぶつ切って文章が並んでるのはこの小説でこの部分だけです。だからこそインパクトある!)
ものすごいもの食べてるわけじゃないのに…。ああ、だからこそ想像しやすくて、「いいな…!おいしそう…!」って思えるのかな?
ちなみに村上作品で描写される食べ物がおいしそうすぎる…!って思う人は世の中にいっぱいいるらしい、とか知るのはもっとずっと後でした。「村上レシピ」の本、欲しいな…。買おうかな…。

…って、こんな風に書くと、「羊」の私の印象のすべてが食べ物シーンだけみたいだな…!
ほっ、他にも覚えてたシーンありましたよ!ほんとに冒頭の、「誰とでも寝る女の子」との会話のとことか…!
つーか読んでて思ったけど、私が「ピクニック」という言葉自体に憧れてる傾向があるのって、まさかこの小説の影響じゃなかろうか…。いや、さ、さすがにそれはないか…。比喩だとしてもちょっと、楽しいだけのものって感じは受けないしなー…。

ああ、あと一ヶ所あるな。これもかなり終盤、というか実質のクライマックスのあたりの描写。
ネタバレになるかな。これくらいなら大丈夫かな。ちなみに「鼠」というのは「僕」の友人のあだ名です。
「鼠が闇の中を慣れた足取りで台所まで歩き、冷蔵庫から缶ビールをひとかかえ取り出している音を聞きながら、僕は目を閉じたり開けたりしていた。部屋の暗闇と目を閉じた時の暗闇とでは暗闇の色が少し違う。」
私はこれを読んで以来ずっと、真っ暗な部屋を手さぐりで歩く場面になると(家で、電灯のスイッチを探してる間とか)、目を閉じたり開けたりして、「ああ確かにちょっと違うな。」って毎度確認してしまいます。15年以上、ほんとに毎度です。…すごいよね、影響の受けっぷりが…。
書いたものを読むだけで、…作ったものを観るだけで、影響を受けたり好きになったりってよく考えたら不思議な事のような気がする。知らない人なのにね。
でもすでに実際、エッセイ読んでビビるくらいには考え方にまで影響を受けてるしな、うちは…。
それもまたよし、って思ってるってことだろうか。
うん…、これも、自分ではよくわかりません!





おまけ。シンデマスの話。
CDデビュー、まさかの!まさかのしまむらさん!!
…………………いえ、おめでとう!!よかったね!!
pixivとか見てても祝われまくってて、ああ、みんなしまむらさん好きなんだなってすごい思ったよ!
それよか大丈夫かな、次…。第3弾でノーマルキュート枠、あるんかいな…(←法子の心配しかしてねえ…)
弟はきらりんのCDを買うっぽいです。多分2枚買うから、言ったらCDは一枚くれるかも。CDは。
…く、くそう…、先に法子を無理矢理にでも押しつけたかった…!(嫌な姉だな!)
あとで返したら、お礼みたいじゃん…!!

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