「パティシエになりたーい!」ブログ。

元パティシエ・オペラのお菓子の話やらオタクっぽい話やらのごちゃ混ぜブログ。

本屋さん、卒業

2006-03-31 23:04:21 | きょうのできごと

今日で最後でした。

なんと、丸2年もいた本屋さんのアルバイト。

すごく楽しかった。人がめっちゃ多いのに、いい人ばっかりで、助けられてばかりでした。

最初は、覚えることが多くて、大変だった。本の場所を覚えなくちゃいけない。話題の商品の正確なタイトルと、置いてる場所を覚えなくちゃいけない。雑誌の発売日を覚えなくちゃいけない。取り寄せの仕組みを理解して、お客様に何日くらいかかるかを伝えなくちゃいけない。予約を切っていいものと悪いものを覚えなくちゃいけない。

ケーキ屋にいた頃は、接客は多かったものの、お客さんに何か聞かれて、調べて答えて…というのはほとんどなかった。聞かれるとしてもおすすめは?とか、ケーキの日持ちとか、そのくらい。怒られるにしても、ケーキに髪の毛が入ってたとか、そのくらい(もちろんこれは大変なことだけれど。今は頻度の話ね)。

本屋さんではもう、しょっちゅう怒られる。お客さんに。「店員のくせに何にも知らんのやな!」とか、おっちゃんに何度も言われたことがある。言いたいことはいろいろあるが(全部の本把握してろって言うんかボケ!とか)、確かにおっしゃるとおりで、お客さんからしたら、名前だけ言われただけでは注文品を探しにくいとか、時刻表の後ろにホテルとか宿泊施設の電話番号が載ってるなんて知らんとか、そんなことは関係なく、わからない店員は怒っていい対象なんだろう。テレビで紹介されて予想外に売れて、その人が来たときにもうなかったとかね、怒鳴っていいんだろうね、そのひと的には。

そんなふうに怒られるとうちは、すぐへこんでしまうので(ふざけんなよコラ!とは思うものの)、そういう意味で、大変なお仕事だった。

 

何冊もリストに書いてきて「調べてほしいんやけど~」っていうおじいちゃんが来たら、30分以上その人につきっきり、ということもままある。図書券50組とかだと、総出で包装したりとかする。そうそう、クリスマスには、絵本とかほとんどがラッピングと言われるので、ひたすら包んだり。私はラッピングが苦手だから、泣きながら倉庫で練習したっけ。

本屋さんって…大変なんですよ?うちも入るまで知らなかった。

 

本って、流行がすべて!みたいな面が強いから、売れるときはがっと売れ、売れないときはぜんぜん売れない。その見極めがすごく難しくて、発注は緊張する。注文しても入ってこないときもあるし。

もちろんいい本が、ずっと売れていく…っていうのは理想だけど、それよりなにより、テレビで紹介された、とか、新聞に載った、とか、映画化・アニメ化・ドラマ化……それゆえお客さんはうちに来ている。旬を逃してはいけない。メディアというものが、こんなに影響があるものなのか、と、初めて知った。(本もメディアか?)

逆に、そうやって紹介されない本は、書店員さんがPOPをつけたりしない限り、お客さんに見つけてもらえる確立はぐんと低くなる。毎日毎日、たくさんの本が出る。本屋さんの棚には限りがあるから、それを出そうと思ったら、何かを返さなくてはいけない。売れない本に価値はない、のだ。たとえ自分が大好きでおすすめしたくても、売れないのなら涙を飲んで返すしかない。つらい。しかも返したとたん「あのう、ここにあった本は…」みたいに聞かれる。…お願いだからあるうちに買ってくれ!!そんな葛藤もあり、接客だけでなく、棚の維持は大変。

 

だけどそんな大変なお仕事も、やっぱり大好きな本に囲まれて、なにより本が安く買えるってことで…楽しかった。接客も、だいぶここで鍛えられた。ここで覚えたことは、無駄にしない。自分が本を作るときの、重要な参考になるだろう。

皆さんにいろいろプレゼントをいただいてしまった。ありがたい。お花もいただいた。私をイメージして、黄色を中心につくってもらった、と、私の大好きなお姉さんが言っていた。この人とも、もうお仕事をすることはないのか。コミックの大好きなお姉さんとも。だけど私は自分の意思で辞めることを決めたので、そして皆さんには自分の夢のためだと伝えていたので、寂しがりすぎるのも変かなと、笑ってお別れを言った。私がそんなんだから、泣く人はいなかったけれど。

さびしくなる、と言われて、うれしかった。

光栄です、と言おうかと思ったけど、なんか卑屈っぽいか?とやめといた。

 

さびしくはない。うちにとっての本屋さんは、うちがここで働く前から、ここだけで、これからもそうだ。

うちが大好きな本を選びにいく場所もここだ。

願わくば、遠い未来、本当に私の本を並べることができますように。

 

無駄にしない、この2年間を。

というか、ますます後戻りができなくなった、みたいな?(笑)