連れ添いバトル

なにかと夢さんを指図したがるオバサンだった。
そんな彼女は3年間の闘病を経て他界した。

雨の午後

2014-04-03 | 6人の孫
降りしきる雨に、押し込められるかのように自室に籠る夢さん。
窓越しに見上げる空はどんよりとした鉛色。まだまだ雨は止みそうもない。

玄関の開く音がして、オバサンが買い物から戻ってきたようだ。
程なくしてオバサンが階段を上がってくる気配。

トントントントンと軽やかにとは、ずっとずっと以前の話で。
今はそれなりの、貫禄有る足音をさせてオバサンが上がってくる。

「よっこらしょよっこらしょ」オーバーだな夢さんそりゃ悪いよ。
「チョコ買ってきたわよ食べる?」手にはオバサンの好きなチョコボール。

「この間あの子達が全部食べちゃったのよ」孫達のことらしい。
「今忙しいの?」いやそんな事ないよと、パソコンを閉じる。

「あれ見せてくれない?」それだけで意味は通じる。あーいいよ。
いくつも有るDVDファイルの中から、オバサンが選んだのは「 三人組 」

2孫が2歳、4孫が1歳、犬のマリが5歳の頃のもの。
当時ビデオに凝っていた夢さん。DVDも沢山作ったし、あの頃が懐かしい。

「ちょっと待っててね」お茶を淹れてオバサンが戻ってきた。
「おとうさんコーヒーは駄目よね?」最近はもっぱらお茶がいい夢さん。

サイドテーブルを真ん中に、椅子に並んでビデオに見入る。カリッポリッカリッ
幸せそうなオバサンの横顔。作っておいて良かったな夢さん。