黙っとこ・・・・・ ふふ

さて寝るか・・・その前にトイレだな。ん？階段から階下の灯りが漏れている。

あれれ？オバサンまだ起きているのか？そんな筈はないな。

「おやすみなさい」って、声がしたのはかなり前だぞ。階下に降りてみる。

なんだ和室の電気が点けっ放しだ。数日前にも同じような事が有った。

まさかオバサン・・・呆けたわけじゃ？

あの口煩いオバサンが「呆けた」なんて日にゃ天地がひっくり返るぞ。

勿体ないから、やれ電気を消せ、居ない時にはエアコンを消せ、普段から叱られっ放しの夢さん。

ふふ自分だって忘れるくせに。ついでに冷蔵庫からアイスを失敬。

足音を忍ばせ自室に戻る。今夜もまだ蒸し暑い。机に足を投げ出し扇風機を回す。

開け放った窓からかすかに虫の音。秋か・・・名残りの夏これもまた好し。

さばさば・・・・

ガランとして人っ気のないリビング。昨日は孫達が来てあんなに賑やかだったのに。

キッチンのカウンターの上にお盆が乗っている。オバサン今日は早くからお出掛け。

まだ早いけど昼にするか・・「温めてね」ってオバサン言ってたけどまぁいいや。

急須の蓋を開けると既に葉が入っている。お茶を入れろって事かな？用意がいいな。

おにぎりの具はたらこと昆布。海苔の感触が手に冷たい。やっぱりチンすれば良かった。

沢庵を指先でつまみ口に放り込む。ポリッポリッポリッ何となく空しい音。

どしたい夢さんテレビも見ないのかよ？もう一人の夢さんが耳元で囁く。大きなお世話だ。

ただボンヤリしてる訳じゃないぜ。これがいいんだよ分かってないねオマエさんは。　　

こういうのをな・・・・男の至福の時間って言うんだよ・・・・

お気に入りのセルフ

セルフのガソリンスタンドにすっかり慣れてしまった夢さん。今日はいそいそと給油のチャンス。

セルフに通いだしてからは、タイヤの空気圧を見てもらったことが無いので気になっている。

給油を終わり事務所の前を見ると「タイヤチェックコーナー」と書いてある、ははぁこれだな。

ところで空気の量は？仕方なく店員さんに聞いてみる。「あっそれはねドアを開けると書いてありますよ」

おっこんなところにか。キャップを外し空気口を押しつける。ん？針が上がらないぞ？

このプラスマイナスってのはなんだ？レバーが付いている。試しにプラスの方へ押してみる。

おっ！針が動いた、なんだこんな事かい。自転車より簡単だ上手く出来てるな。　

４輪とも指定の目盛まで入れた。念の為もう一度チェックして回る。

今日もまたひとつ自信がついた。何でもやってみなきゃな。人任せはいけないよ、夢さんご機嫌。

プライベートタイム

土曜の午後８時、さてとやおら立ち上がり自室に引き上げる夢さん。

背中にオバサンの声。「面白かったわねパートⅢもやるのかしら？」さぁどうかな。

時代劇の最終回を見終わった後、今日はそれぞれ見たい番組がある。

テレビを自分の部屋に持っていけば？と前から言っているのだが、オバサン首を横に振る。

どうせ余ってるんだし使えばいいのにと思うのだが、それがそうではないらしい。

どうやら遅くまで見る癖がつくのを恐れているようだ、あれば見ちゃうしね。

居間でテレビを見ながらなんやかや。オバサンにとってはそれも至福の時間なのだろう。

午後１０時を回った頃、決まって戸締りの音がして、階段にオバサンの足音。　

夢さんはまだまだこれから。カーテンを開け夜空を見上げる、今夜も蒸し暑い。

いたずら盛り

オバサンが出掛けたのを見計らって、トイレの掃除を始めた夢さん。
ネットで見つけた水垢を取る専用洗剤。これを試して見ようという訳だ。

男のくせに家事の真似事なんか、とは思えども暇つぶしには丁度いい。
ここのところネットで便利グッズを探しては、何かと家事に貢献（笑）している。

オバサンは嫌がるんじゃないかと思ったが、案外そうでもないらしい。
「あらっこれいいわね」なんて褒められる事もある。

オバサンもやっとその辺のところに理解が向き始めたようだ。
早くしないとオバサン帰って来ちゃうぞ、急いで仕事に掛かる。

洗剤を振りかけ付属の布タワシでこする。ゴシゴシゴシゴシ、結構きついな。
たちまち汗が噴き出してきたぞ。そりゃそうだよな、せまいトイレの中だもの。

ついでに雑巾掛けもしちゃうか。例によって思いついたら何でもやっちゃう夢さん。
あっという間に上も下も完了。う～ん我ながら見事、ピッカピカのツルツルだ。

手早く後始末を済ませて知らん顔。さすが夢さん手際がいい。

へへオバサン気がつくかな？

留守を狙って風呂掃除

朝から快晴。暑くなるといけないのでマリの散歩は早々と済ませた。

今日はオバサンお出掛け。なぜかオバサンが居ないと夢さんやる気になる。

風呂場の掃除でもするか。最近は風呂掃除は夢さんの担当、させられたって感じかな。

風呂に入るのは夢さんが後。後始末をするのが日課になった。ふふ世の中変わったな。　

綺麗になりだすと一層やる気になるから不思議だ。夜はざっとしかしないからね。

今日は徹底的にやるぞ。Ｔシャツに半ズボン。ゴシゴシゴシゴシ、どうって事ぁないやね。

ひとりシネマ

「行かないわひとりで行ってきなさい」オバサンを映画に誘ったら断わられた。

昼飯も食べ終わって暇な夢さん。しょうがないなひとりで行ってもつまんないし。　

だけど孫達が来ると行けなくなっちゃうし、今日の内に見ちゃった方がいいかな迷う夢さん。　

よしよかろう、ひとりで行くぞ。どうしても見たいんだこれ“グラン・トリノ”。

さっそくシネマのサイトで調べる。次は１５時４０分だってさ・・・惜しかったな。

「いいわよあたしが行くから」夕方のマリの散歩はオバサンにお任せ。シメシメこれでＯＫだ。

何か買って来ようか？「いいわよ～気を使わなくても」お見通しだねオバサン。　

退屈しのぎに掃除する

「行ってきまーす」ウキウキとオバサン朝からお出掛け。はいはい行ってらっしゃい。

さてとマリの散歩も済ませたし何をしようか・・手持ち無沙汰な夢さん。

そうだ換気扇の掃除でもするか。オバサンが見てるとどうもやる気がしないからね。

まず網目のカバーを外す。うゎ！ベトベトだな。羽も外して洗おうやるとなったらトコトンやるさ。

洗剤をつけてゴシゴシ案外簡単に綺麗になった。ついでにコンセントの周り、次はレンジフード。　

だんだん範囲が広がっていく。おいおい夢さん切りがないぞ。　

そんなにやったってオバサン気がつかないかもよ。　

いいんだよ別に。褒めてもらおうなんて思っちゃいないよ。退屈だからやってるだけさ。　

こだわりチョコ

 

パキッ。この歯ごたえがたまらない。冷えたチョコを齧りながらお気に入りの角を飲る。

なに遊んでんだい夢さん。ハハハ、チョコはこれ。昔ながらの板チョコレートに限る。

ハイカラなやつはどうも性に合わない。ノスタルジーってのかい、これが好きだな。

以前とは包み紙が変わっちゃってちょっと寂しい。銀紙も薄くなった、時代なんだろうな。

泣き虫夢太郎

土曜日の午後１時５分。待ち焦がれていた大河ドラマの再放送。

１話２話は主人公の少年時代の話。今日はその第２話の再放送。

主人公の少年時代の名は与六、この子がなんとも可愛い。あだ名は泣き虫与六。

一緒に見るのかと思ったオバサン、出掛けると言う、さては気を使ったな。

本放送の時、泣いてるのをオバサンに見られてるしな。嫌だなぁって思っていた所だ。

自室に移動。日が差し込んでポカポカと暖かい。ここなら誰にも気兼ねは要らない。

同じ年頃の孫が居るせいか、どうも子供の涙には弱い。最近とみに涙もろくなったな夢さん。