今年もあと数日で終わりという昨年末、原田マハ著「まぐだら屋のマリア」を読みました。
その前に林真理子の「下流の宴」を読み、今年の読書は終わりにし、年末の用事に専念するつもりでした。
しかし図書館から届いたとの連絡がきて、とりあえず手元に置いて年明けに読むつもりが・・・・。
兎に角魅了され、読み進むことを止めることができず、年内に完読。
原田マハさんの本を始めて読んだのは数年前の「楽園のカンバス」!
確か本屋大賞2位だったと思います。
それから彼女に興味を持ち、読んだ本は「本日はお日柄もよく」「総理の夫」「暗幕のゲルニカ」「異邦人」などなど。
私にとってはどれ一つとっても外れはなく、引き込まれるように読み進みました。
原田マハさんはキュレーターであり、美術に関してはプロ。造詣も深く、その分野の作品も多いです。
しかし彼女の素晴らしさはカテゴリーが広いこと。
作家によっては似たり寄ったりの小説の組み立てになり、同じ作家のものばかり読んでいると、
飽きる場合がありますが、彼女の作品に限ってはそれはありません。
読むたびにとても同じ作家の小説とは思えない新鮮さと感動を覚えます。
この「まぐだら屋のマリア」は題名からしてとてもユニークです。
マグダラは新約聖書中の福音書に登場するイエスに従った女性で、「罪深い女」の代名詞のように言われています。
(私はクリスチャンではありません。解釈が間違っていましたらお許しください)。
「まぐだら屋のマリア」も悔いを改めなければならない罪深い女かも(これは読まれる方へのヒント)?
小説中の「まぐだら」はまぐろとたらを掛け合わせたような怪魚を意味するとありますが、
原田マハさんは聖書の中の「マグダラとのマリア」と「まぐだら屋にマリア」を重ね合わせたように見えます。
このマリアの元に居場所を無くし死に場所を求め無一文になったひとりの青年がて流れ着きます。
そしてここでの生活を通して生きることに目覚め「終点」から「希望の道」へ引き返す勇気を得て、
人間として大きく成長していく青年の物語です。
その過程でいろいろな出来事に遭遇し、それらがまた何ともミステリアス!
一瞬、これは推理小説かと思い違う程です。
「まぐだら屋のマリア」という女性に何か大きな秘密があることは読んでいて何となくわかりますが、
最後驚きの展開に、後半の3分の一は一気に読み、激しく胸が高鳴り感動しました。
まだまだこれからも彼女の作品をたくさん読んでいきたいと思います。