リタイアした「から」、あれがやりたい。これもやりたい。

人生のセカンドステージに、もう一度夢を描き直す。
「夢翔庵」の気ままなひとり言です。

薬師寺の堂宇に泊まった思い出

2022年05月05日 | 懐かしむ

唐招提寺への小径を思い浮かべていたら思い出したことがありました。大学に入学したその夏のことか、翌年のことかちょっと記憶に自信がありませんが・・・。

サークルの夏の全体合宿(日吉館泊)の前に分科会(彫刻班)で西ノ京・薬師寺の堂宇のひとつに泊めてもらって何泊かであちこちを巡りました。今思えばどういう伝手があったのか、貴重な体験でした。今更ながら先輩たちに感謝です。

当時薬師寺は高田好胤師が金堂復興で走り回っておられた頃で、境内は相当荒れており、築地塀など穴が空いていたり崩れかけていたりするほどでした。東塔のみがいにしえの姿を凛と現わしており、あとは講堂や聖観音の居ます東院堂ぐらいで、本尊の薬師三尊はシンプルな建物の仮金堂に移っていらっしゃったと思います(そのおかげで薬師如来の宣字形の台座も四方から鑑賞できました)。

われわれの泊まったのは北側の唐招提寺への小径に面した塔頭のようなところで、早朝、決まった時間に起きて講堂まで歩いて般若心経や薬師如来本願功徳経のお勤め、宿舎のまわりの草取りなどして食事は別のところでいただくようになっていました。朝夕の食事のときには「食作法(じきさほう)」というものを皆で唱えて、一粒の米粒も残さない作法でいただきました。

精進料理かと思っていたら、いきなりの夕食に苦手なトリのホネ付き肉が出たりして面食らったことも覚えています。なにしろ少しも残してはいけないのですから・・・(あれは、どう処分?したことか)。

今、ストリートビューであの小径を辿ってみると、意外に変わっていないな、という感じもしました。奈良の田舎じみた風景が残っているのはありがたいものです。
また訪れることができる日を思って――。