大学教員活動ブログ

大学及び私自身が取り組んでいる教育改革、学生のキャリア支援
活動、及び社会連携を推進する活動等について紹介します。

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広島大学マジメント専攻主催のシンポジウム「地域と大学との新しい関係」に出席

2012年03月17日 | 大学院課程の教育改革
 広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻とマネジメント研究センター主催で開催された下記のシンポジウムに出席させていただいた。シンポジウムの概要について紹介します。

 日時:平成24年3月17日(土)13時30分~16時30分
 場所:中国新聞ビル7階 大ホール
 プログラム:
  13:30-13:40 開会の辞         村松潤一(マネジメント専攻長)
         学長挨拶         浅原利正(広島大学長)        
  13:40-14:25 基調講演
   「大学に期待すること」       湯英彦(広島県知事)  
  14:25-15:10 パネルディスカッションへの問題提起
   「地域の活性化と大学の役割」   細谷祐二 (経済産業省地域政策研究官)
  15:15-16:30 パネルディスカッション
   「地域と大学との新しい関係-都市型大学の役割と期待ー」
                 パネリスト  細谷祐二(経済産業省地域政策研究官)
                         竹内 雄司氏(マツダ(株)グローバル人事部長)
                          中村 憲文氏(リョービ(株)人事部長)
                          北村 浩司氏((株)中国新聞社 執行役員総合編集本部長)
             コーディネーター  村松潤一(マジメント専攻長)
  16:30-16:35 閉会の辞         戸田常一(マネジメント専攻教授)

  

 上掲の左の写真は開会の辞を述べられる村松専攻長、右の写真は学長挨拶中の浅原学長の写真である。

 開会にあたり、村松専攻長はマネジメント専攻は、開会の辞の中で「開設以来12年が経過していますが、この間に230名を超える大学院生が修了し、30名が研究者になっています。昨年、マネジメント研究センターを立ち上げ、修了生に再び学ぶ機会を提供するために、本シンポジウムを開催することにしました。広島大学東千田キャンパスは広島市の中心部に位置し、その立地条件を最大限に活かして、行政や企業、住民との連携を深めています。本シンポジウムでは、大学と地域との新たな関係作りのために、大学に求められている役割と期待についてご提言いただきたい。」と、シンポジウム開催の意図を述べられました。

 浅原学長は、挨拶の中で「グローバル化で社会環境の変化が進み、大企業だけでなく中小企業も海外展開をされています。モノに対する投資より、ヒトに対する投資の方が経済波及効果が大きいと言われており、国際的視野を持ちながら地域的に評価される人材の育成が求められています。本シンポジウムにより、本学が中心となって進めています東千田キャンパスの「知の拠点」構想の発展の契機になることを期待したい。」と述べられました。

  

 上掲の左の写真は基調講演をされた湯崎広島県知事、右の写真はパネルディスカッションの風景である。

〔湯崎広島県知事の基調講演の概要〕
 地域の資源の活用が大切であるが、大学は地域における知の資源とみなされます。グローバルな大学でも地域に立脚していない大学は、長続きしないのではないかと考えられます。アメリカのシリコンバレーはスタンフォード大学と一体化して発展したと考えられますが、日本の大学は地域との一体化をこれまであまり意識してこなかったのではないかと思います。

 広島県では、人口減少・少子高齢化や経済活動を始めとするグローバル化に対処するために、「広島未来チャレンジビジョン」を作成していますが、世界を視野に(Globalization)、多様な人材の集積(Diversity)、新しい価値の創造(Innovation)という3つのキーワードを掲げて、人づくりや新たな経済成長を重点分野として力を入れています。これらの政策を進めるために、広島県はイノベーション立県を目指していますが、豊富な知的資源・人材を有する大学には、地域社会の一員としてますます「知の拠点」としての存在意義を発揮してほしいと思います。県内大学の連携だけでなく、行政や経済界とも連携して、「強み」を生かして、「挑戦」を行い、広島県を変えていくカギを大学は握っておられると考えますので、県民主体の新たな広島県づくりのために大学がリードしていただくことを期待します。 

〔細谷氏の問題提起の概要〕
 産業や経済の発展のために大学は役立ってほしいと考えていますが、これまでの産学連携はなかなか成果に結びついていないように思われます。地域開発政策に関する世界的な流れは、都市を魅力的にし、地域経済の活性化のために必要な人材を都市に集めるために、これまではソフト面での支援が中心でしたが、これからは社会資本整備をして魅力ある地域を作ることが重要になってくると思います。

 都市が形成されると、近くに存在する大学からのスピルオーバーや、大学等を核に形成されるネットワークを通じてスピルオーバーが発生し、大学からの優れた人材の供給により地域に良い影響を与えると考えられます。しかしながら産学連携の受け手(需要者)の側から考えると、日々改良を続けることで生み出されるイノベーションにより新製品を提供しているグローバル・ニッチ・トップ企業と大学は連携すべきと考えます。

 今後大学に期待される役割は、(1)地元だけでなく広い地域と連携し、(2)地域の他の機関とも共創し、(3)地元企業の海外市場展開支援や優秀な留学生の人材を提供する、といったものが重要となると考えられます。マネジメント専攻には、先進モデルを創出する「企画力」、地域の大学の連携をリードする「提案力」、大学とともにそれを進める地域人材の「養成力」を期待したい。

〔パネルディスカッションの概要〕
 広島県を代表するマツダ、リョウビのグローバル戦略について紹介がありました。マツダの人事部長は、外国人と連携して成果を出せるグローバル人材を育成する必要があり、多くの留学生が学んでおられる広島大学で留学生と接触できるのであれば、社員を派遣したいと考えますと述べられた。タイに工場を持つリョウビの人事部長は、広島大学のマネジメント専攻がアジア・グローバル・マネジメント・プログラムをスタートさせ、タイのチュラーロンコーン大学と交流をしておられるとのことなので、是非とも知見を提供してほしいとのことでした。

 中国新聞の編集部長からは、最近都心部に回帰する大学が増えていますが、広島大学の場合には東千田に拠点があることで、広島大学全体の窓口機能を発揮してほしいとの要望を出されました。東千田キャンパスは、一般の人が相談しやすいような作りにはなっていないように思われるので、大学が経済界や住民と連携しやすいようなシステムを作ってほしいとの意見も出されました。

 産学連携に対するマネジメント専攻の役割として、企業が大学に社員を行かせることがメリットがあると理解できるような具体的な提案をすることが大切であるとの意見が出されました。企業からの派遣や応募を待つのではなく、大学の方からプログラムを提案して、企業や団体にメリットを感じてもらえるようにすることが必要ではないかとの意見も出されました。

 産学官の連携に関して、広島はグローバル・ニッチ・トップ企業が多いという極めて恵まれた地域であるということを認識して、単なるイベントの開催だけでなく、ターゲットを絞った連携が必要と考えられるという意見が出されました。

大学コンソーシアム京都主催の第17回FDフォーラムのシンポジウムに出席

2012年03月05日 | 教育方法の改善
 大学コンソーシアム京都主催の第17回FDフォーラムのシンポジウムが次のとおり開催されました。

 日時:平成24年3月3日(土)13時から17時10分まで
 場所:京都産業大学神山ホール
 参加申込者:1070名
 テーマ:「大学におけるキャリア教育を考える
       -企業が求める人材育成って、大学で教育しないとだめ?-」
 コーディネーター:村上正行(京都外国語大学マルチメディア教育研究センター准教授)
 シンポジスト:児美川孝一郎(法政大学キャリアデザイン学部教授)
        深澤昌久(株式会社資生堂 人事部人材開発室長)
        松高 政(京都産業大学経営学部准教授)
 指定討論者:松本 隆(株式会社ベネッセコーポレーション 大学事業部事業開発課長)

 

 上掲の写真は、フォーラム会場の京都産業大学神山ホールと、シンポジウムの会場風景です。会場が超満員となる1000名を超える参加者が全国から集まりました。シンポジウムの概要は次の通りです。

(テーマ設定の背景)
 今日、キャリア教育、社会人基礎力の育成の必要性が叫ばれ、産業界からも人材育成教育が大学教育に要望される一方で、大学では学力の低下、学習意欲の低下が問題になっていることで、人材育成について大学と企業の関係者で議論することが必要であるという観点から、このテーマが設定されたとのことです。

(シンポジストによる報告の概要)
 ●法政大学の児美川教授は、大学でキャリア教育が始められるようになってすでに10年以上経過しているが、大学の教育はこれでよかったのかを振り返られ、キャリア教育の肥大化が本来の大学教育を圧迫しているのではないかとの問題提起をされた。さらに児美川教授は、これまでのキャリア教育は、新卒採用や日本的雇用を前提とする正社員として就職するモデルを目標としたもので、現在増加している非正規社員になった場合の学生の自立できる方法について教育しているとは思えないとして、キャリア支援・教育を専門教育の中に「埋め込む」必要があるとの見解を示された。

 ●資生堂の人事部人材開発の深澤室長は、新入社員を迎えての研修において、自ら「考える、行動する、やりきる」という癖を身につける仕掛けを考え、そうした癖を習慣づけるために、インプット型の研修ではなく、アウトプット型の研修に変革し、学んだことをプレゼンテーションする社内研修を実施し、現場のリーダーとして活躍できる人材を育成することを目標としていると、同社の人材育成方針の一端を紹介された。

 ●京都産業大学の松高准教授は、同大学における産学協働教育(コープ教育)の事例について詳細に紹介され、社会が一丸となって若者の人材育成を目指すために、大学が企業と協力して取り組むコープ教育が必要なことを力説された。

(指定討論者による報告の概要)
 ベネッセコーポレーションの大学事業部事業開発課の松本課長は、「企業が求める人材=大学が育成したい人材」を前提にして、キャリア教育について考えると、日本の人材育成は待ったなしの状況にあり、キャリアセンターだけではキャリア教育は無理で、正課の授業の中での対応も必要とされる。さらに大学だけでもキャリア教育は無理で、産学協働とか、企業を巻き込むことが必要となっている。大学の教職員、企業の採用担当者、学生といった当事者の意識が求められるようになっていることを指摘された。

(フロアの参加者からの質問に対する質疑応答の概要)
 フロアからシンポジストに対して、キャリア教育を受けてほしい学生が授業に出てこない問題、企業は大学のキャリア教育に何を期待しているのか、アルバイトは企業で評価されるのかといった問題等が次々に出され、質疑応答がされたが、最後にシンポジウムのテーマとなった「企業が求める人材を大学で教育しないといけないか?」という問いかけが4人の報告者にコーディネーターから投げかけれた。大学人2人、企業人2人のうち、3人がYesという答えであったが、大学人1人がNoであった。しかしNoと答えた人は、スウェーデンの例を出されて、スウェーデンでは若者の職業訓練で成果を上げており、日本でも社会全体が若者の育成に責任を持つべきだという意味でNoと答えたとされ、大学も小・中・高校や企業と連携して、人材育成の役割を果たすべきと思われるというのが今回のシンポジウムの結論となったように思われる。