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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

時間外労働上限規制猶予後の取扱いについて

2022-05-15 20:50:48 | 労働法

時間外労働の上限規制についてのセミナーのご依頼があり、今週末はその準備をしました。大企業は2019年4月、中小企業は2020年の4月から新たな上限規制が適用されていますので、今後新たに勉強することとしては、適用猶予になっている事業等の猶予後の取り扱いについてということになります。

適用猶予となっている業務等は、①建設事業、②自動車運転の業務、③医師、④鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業です。いずれも猶予は2024年3月までということで、4月以降新たに上限規制が適用されますが、一般の事業と同じ上限規制が適用されるのは④のみです。①~③については各業務等の特質を考慮した上での上限規制が適用になります。簡単にまとめると以下のようになります。

①建設事業 災害復旧等の事業を除き(一般と同じ)上限規制が適用されます。つまり原則の時間外労働時間数は月45時間・年360時間、特別条項で時間外労働は年720時間、休日含む月100時間未満・2~6か月(複数月)平均80時間以内が適用になります。ただし、災害の復旧・復興の事業については時間外・休日労働の合計について、月100時間未満・複数月平均80時間以内は適用されません

②自動車運転の業務 原則の時間数を超える特別条項の上限時間は年960時間、平均特別条項は年6か月までとなります。ただし時間外労働と休日労働の合計である月100時・複数月平均80時間以内は適用されないということです。

③医師 医師については以下の通り複雑です。

・医療機関に適用する水準が大きくA~Cに区分されて、更に5区分に分類されます。まず年の上限時間としてA(一般の労働者と同等程度)については960時間連携B(医師を派遣する病院)・B(救急病院等)は1860時間ただし2035年度末を目標に終了しAと同様になり、C-1(臨床・専門研修)、C-2(高度技能の習得研修)は1860時間です。

・月の上限を超える場合の面接指導と就業上の措置はどの区分にも適用されます。

・連続勤務時間制限28時間・勤務インターバル9時間の確保、代償休息のセットはAが努力義務、B及びC区分は義務となっています(C-1の臨床・専門研修は代償休息は適用せず)。

根拠条文 

〇働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律 (労働基準法の一部改正)附則139条・140条
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/19620180706071.htm

○医療法第百二十八条の規定により読み替えて適用する労働基準法第百四十一条第二項の厚生労働省令で定める時間等を定める省令
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73ab8541&dataType=0&pageNo=1

医師の時間外労働の長さは極端だと感じますが、働き方改革に取り組んでおられる医師の先生に依頼されて以前試しに1か月単位の変形労働時間制を組んでみたところ、全くお話にならないということになった経緯からいっても現状これが仕方のないことなのかと感じてしまいます。

この2年間、顧問先に訪問することもめっきり減ってしまい事務所でひたすらzoomに明け暮れる日々でしたが、ここに来てだいぶ外出が増えてきました。やはりオンラインではなく、実際にお会いして話をすることで理解いただくことができることも多く、また信頼関係が作られていくような気がしますので、リアルでの打ち合わせができることは嬉しく感じます。かたや急ぎで30分だけ意見を聴きたいというご要望に対して、zoomで特に地方の顧問先様に対してもさっと対応できることについてはこれまた有難いと思います。リアルとオンラインの上手な使い分けがポイントだとつくづく感じています。

コロナ禍テレワークによる生産性の向上はどうなのかということが取り上げられることがありますが、テレワークにオンライン会議を含んでも良いのであれば、最大の生産性向上は在宅勤務よりオンライン会議なのではと思っています。

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