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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

リハビリ出勤と傷病手当金

2021-09-12 21:32:15 | 社会保険

先週のブログで「リハビリ勤務として会社で軽作業をするような場合」は原則として賃金を支払う必要があると書いたのですが、賃金を支払うと傷病手当金が止まってしまうので、軽作業をするのは休職期間を終え復職してからにすると顧問先からご連絡がありました。考えてみると復職が可能であるかどうかの判断をするためのリハビリ勤務で賃金が支払われたからといって、傷病手当金の要件である「労務に服することができない」という判断にはならないのではという疑問がわきました。調べてみたところ以下の通達がありました。

・「労務に服することができない」とは、その被保険者が従事している労務に就労できないような状態になっていることをいい、労務不能の判定は、医学的基準、労務の提供による報酬の有無等から一律に行われるのではなく、その被保険者の従事している業務、業務内容との関連における報酬額等の諸条件を考慮して保険者が判断することとされている(昭和31.1.19保文発340号)。

その他、「傷病手当金は支給するとした」以下の通達もありました。
・休業中に家事の副業に従事しても、その傷病の状態が勤務する事業所における労務不能の程度でもある場合(昭和3.12.27保規3176号)。
・現在労務に服しても差し支えない者であっても、療養上その症状が休業を要する場合(保険医が将来の病状悪化を恐れ、現在労務に服しても差し支えない者を、療養上その症状が休業を要するとして休業させた場合)(昭和8.2.18保規35号)。

しかし、「傷病手当金は支給されないとした」以下の通達もあります。
・医師の指示又は許可のもとに半日出勤し、従前の業務に服する場合(昭和29.12.9保文発14236号)。
・就業時間を短縮せず、配置転換により同一事業所内で従前に比しやや軽い労働に服する場合(昭和29.12.9保文発14236号)。

今や協会けんぽの傷病手当金の支給要因の3割を超えるというメンタル疾患においては、特にスムーズな復職は重要です。復職に向けて段階的にどのような仕事ができるかを試してみることでかなり復帰の可能性が高まるのではないかと考えるので、「リハビリ勤務において賃金が支払われるという理由で傷病手当金が打ち切られることはない」という保険者の判断を頂けると有難いと考えます。

ちなみに2、3問い合わせたところ、賃金が支払われるリハビリ勤務中の傷病手当金の支給は行わないというのがすべての保険者(健康保険組合)の回答でした。

なお、リハビリ勤務を復職後行うことはもちろん問題ないのですが、休職期間中の復職目前という時期も復職が可能かどうかの判断をするためのリハビリ勤務を行いたいという場合もあるかと思います。私はリハビリ勤務は休職期間中に行うほうが良いという考えです。休職期間中の業務指示は問題があるという筋論もあるかと思いますが、現実の運用としては休職期間という一定期間を明確に区切っている中で行えば、判断のタイミングも自ずから決まってきますが、休職期間後のリハビリ勤務は往々に終わりが見えず会社が悩むことが多いからです。

先月、お風呂とトイレの改装工事をしたのですが、やはり今どきのお風呂は優れモノだと感心します。ところで工事中の3日間自宅マンションの前にある銭湯に通ったのですが、これもとても楽しかったです。11時に終わってしまうので夕食をとったらすぐに出かけるのですが、これがいわゆるスーパー銭湯などではなく本当に昭和の中頃の銭湯なのです。いつも番台にはおばちゃんが座っており、お風呂に入った後コーヒー牛乳を買って飲むととてもうれしそうにしてくれるので毎日飲みました。ちなみに湯舟は一部ジャクジーになっているのですが、とてもじゃないけどお湯が熱くて数秒しか浸かれないのは玉に瑕でした。

先日美容院に行った際に、「お風呂屋さんの番台のおばちゃんがいつもテレビを見ているのは、あれはさぼっているのではなく、着替えたりする姿を直視しないためだろう」と話したところ、今時そんな番台は珍しい、普通着替える場所とは区切られているのでは、という答えでした。昔はやはりおおらかだったんですね。

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