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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

労働者名簿の記載事項

2018-05-27 23:16:18 | 労働基準法

先週、賃金台帳の記載事項というタイトルでブログを書いたところとてもたくさんの方に見て頂いたようなので、引き続き今週は法定3帳簿の一つである「労働者名簿の記載事項」を取り上げてみたいと思います。

労働者名簿は、労働基準法及び労働基準法施行規則に以下の通り定められています。

法第107条 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。(第2項略)

則第53条 法第107条第1項の労働者名簿に記入しなければならない事項は、同条同項に規定するもののほか、次に掲げるもの(●)とする。(第2項略)

労働者名簿法定記載事項

○法で定める事項 1労働者の氏名  2生年月日  3履歴

●則で定める事項 4性別  5住所  6従事する業務の種類  7雇入の年月日  8退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。) 9死亡の年月日及びその原因 

以前のブログにも書きましたが、平成9年の労基法施行規則の改正により、「本籍」は記載事項から削除されました。これは、個人情報保護法が施行される前の段階で当時労働省により発表された「労働者の個人情報に関する行動指針」(平成12年12月20日)にもある以下の記載事由によるものです。

2.個人情報の収集(3)使用者は、次に掲げる個人情報を収集してはならない。ただし、法令に定めがある場合及び特別な職業上の必要性があることその他業務の適正な実施に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合は、この限りでない。 (イ)  人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
(ロ)  思想、信条及び信仰 
とあり、「社会的差別の原因となる恐れがある事項」とされたためです。 

また、労働者名簿、賃金台帳等の保存と取扱いについての解釈(平成17年3月31日基発0331014号)では要件を満たせばデーターでの管理も認められるということで、以下のように示されています。

次の1及び2のいずれをも満たす場合には、労働基準法第107条及び第108条の要件を満たすものとして取り扱う。

1 電子機器を用いて磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク等により調製された労働者名簿、賃金台帳に法定必要記載事項を具備し、かつ、各事業場ごとにそれぞれ労働者名簿、賃金台帳を画面に表示し、及び印字するための装置を備えつける等の措置を講ずること。
2 労働基準監督官の臨検時等労働者名簿、賃金台帳の閲覧、提出等が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていること。

労働者名簿(先週取り上げた賃金台帳も同じ)は、法律でも「各事業場ごとに」と定められており、また上記通達の2にも示されているため、労働基準監督官が調査に来られた際には、本社でデーター一括管理している場合でも、各事業場で確認したい時にすぐに閲覧または提出できるようにしておかなければならないと指導がされます。会社さんによっては、その指導に従って事業場のトップの所長のみにログインパスワードを付与して本社の管理している労働者名簿・賃金台帳を閲覧できようにしたケースもあります。

なお、法定記載事項とされている「履歴」については特に通達等で示されたものはないようです。「学歴・職歴・入社後の職歴」を記載しておけば問題ないと考えます。

本当に良い季節になりましたね。毎日洋服も軽くなり気分が良いです。ところでやっと25日に衆院厚生労働委員で「働き方改革関連法案」が可決しました。与党は29日にも衆院本会議で可決し、参院に送付する方針ということです。この夏あたりは実務対応をじっくりと考えて、秋には情報提供がしっかりできるように準備をしようという意欲がわいてきました。

一方で、春学期の半分が過ぎたところで、読まなければならない本はかなり積みあがって来ており、また2つの授業で7月末までにレポートを作成する必要があり、ワクワク勉強しているばかりではだめで少しおしりに火が付いてきた感じです。来週からは、レポートの準備を兼ねて「年金」次に「医療」についての勉強したことを順次取り上げていきたいと思っています。こちらの都合で申し訳ないのですが少しお付き合いいただければと思います。

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