派遣先に対する出頭命令や立ち入り検査の権限を新設した内容が、改正労働者災害補償保険法において定められ改正労働者派遣法と併せて成立しました。
これは派遣労働者が働いている派遣先で労災事故が起こったとき、これまでの労災保険法では使用者である「派遣元」に対して必要な報告、文書の提出又は出頭命令ができることになっていましたが「派遣先」に対してはできないことになっていたため、そこを強化したことになります。
この出頭命令等を強化するということは、派遣元事業主と派遣労働者にとっては第三者となる派遣先に対して求償権の行使を強化するということにつながるようです。要するに、派遣労働者が被災したものである場合は、政府は派遣労働者に対して行った給付の価額の限度で、被災労働者が第三者である派遣先に対して有する損害賠償請求権を代位取得し、それに基づき第三者である派遣先に求償権を行使することができるのです。
この求償権の行使をすることを強化するということは、派遣先にも派遣労働者が労災事故に合わぬよう徹底して対策をして欲しいということでしょう。
これまで派遣労働者は派遣元で被保険者となっているということで派遣先はある意味気楽な面がありましたが、今後は派遣労働者の安全にも十分に配慮することがとても大切になってきます。
確かに派遣労働の場合派遣先で働いていて労災事故による被災をし、その状況は派遣元には正確に把握できないのも当然ということで、派遣先の役割は大きいわけです。しかし、改正派遣法もそうですが、「派遣労働者」に働いてもらうという派遣先の使用者としてある意味負担が軽減されるという利点は、どんどん薄れてくることになります。
なお、これまでも派遣先の責任もあるということで平成22年に以下の死傷病報告の改正が行われています(平成22年4月1日施行)。
平成22年4月1日より派遣元の事業者は、派遣先の事業場の郵便番号を記入することとなりました。
労働者が労働災害等により死亡又は休業したとき、事業者は所轄の労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出しなければなりません(労働安全衛生規則第97条)。派遣労働者が派遣中に労働災害等により死亡又は休業したときは、派遣先及び派遣元の事業者が、派遣先の事業場の名称等を記入の上、所轄労働基準監督に労働者死傷病報告を提出する必要があります。派遣労働者の労災ついては、派遣元及び派遣先双方の事業者がそれぞれ所轄の労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出する必要がありますので注意してください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei29/pdf/01a.pdf#search='
「国会原発事故調査委員会」が昨日第2回目の報告を発表しました。これまで地震・津波・全電源喪失の中での事故とその対処などマスコミに取り上げられてきた内容などできるだけよく目を通してきたのですが、報道よりもっと正確な内容が知りたいと思いHPで報告を読んでみました。これまでマスコミで語られ的な内容とはだいぶ異なる印象で、特に第6回の委員会の内容と6月9日現時点の論点はこれまでのストーリーがあらかじめ決まっているような内容の報道に比べ新鮮に感じました。http://www.naiic.jp/