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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

派遣労働者の同一労働同一賃金

2019-10-20 21:54:29 | 法改正

働き方改革関連法の中で、時間外労働の上限規制や年休5日取得義務に続き、今年の秋は同一労働同一賃金について、まず有期・短時間労働者の不合理な労働条件の相違についてや職務分析についてもセミナーでお話しできるよう準備が進んだのですが、昨日やっと時間が取れて派遣労働者の同一労働同一賃金についても勉強し、だいぶ理解が進んだと思います。もう少し研究してみようと思いますが、まずはポイントだけあげてみようと思います。

①同一労働同一賃金は、2020年4月1日施行とされていますが、中小企業については2021年4月1日施行になります。注意が必要なのは「労働者派遣契約」の同一労働同一賃金については中小企業も含めて2020年4月1日施行であることです。

②派遣労働者についての同一労働同一賃金は、(1)派遣先の労働者との均等・均衡待遇方式、(2)一定の要件を満たす労使協定による待遇決定方式、のいずれかを確保することが義務とされています。

一般的に(1)の方法である派遣先均等・均衡方式の場合「賃金等の待遇に関する情報」を派遣先は派遣元に提供しなければならなため、(2)の労使協定方式を選択するケースがほとんどであろう思います。

しかし、賃金の決定方法について労使協定方式をとっている場合であっても福利厚生3施設(食堂・休憩室・更衣室)や職務に関連する教育訓練※については、派遣先の通常の労働者と同一の利用を認めなければならないとされています。

また3施設以外の福利厚生である、転勤者用社宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除、病気休職、特別休暇、職務関連以外の教育訓練や安全管理に関する措置などは、派遣元の通常の労働者と同一の待遇としなければならないとされます。

③労使協定方式で定める各派遣労働者の賃金水準は、「賃金構造基本統計調査」又は「職業安定業務統計」などの統計をもとに示された一覧表に基準値に能力・経験調整指数を乗じた値が決められており、その値を基本として決めることになります。能力・経験調整指数は、基準値の0年~20年まで一定の区切りがありますが、例えば勤続5年の派遣労働者であっても5年の指数を使用する必要はなく、職務レベルであてはめてみることになります。

通勤手当は、原則として一般通勤手当(時給換算で72円)と同等以上であることとされます。

退職手当については、(1)退職手当制度を導入する場合は局長通達で示された額以上とする、(2)退職手当相当の時給換算額を賃金水準に上乗せし、一般労働者の賃金水準に退職費用分として6%を上乗せした額と比較する、(3)給与の6%以上の掛金で中退共に加入する、の3つの選択肢から選択することになります。

まだまだ色々実務対応についての疑問等が出てくるは思いますが、ともあれ上記を考えるとかなり派遣料金は上がると考えられます。上がった分は派遣労働者にきちんと渡ることを信じて・・・。

先週の大雨は各地で被害が出てしまい、テレビで被害の状況をみると心が痛みます。できるだけ早く日常が取り戻せることを祈ります。

ラグビーワールドカップは、南アフリカに負けてしまい残念でしたが、実力の差があったように思えましたので仕方がないですね。ここまで長い間楽しませてもらったことに感謝です。

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