先日スタッフが顧問先の社内セミナーでパワハラの話をしてくれました。最後番外編として私も話をすることになり準備をした中で、「パワハラ」が特に目立って言われるようになったことについて気がついたことがあります。
そもそも「パワーハラスメント」という言葉ができたのは2001年で、これは日本独特の用語だそうです。確かにそれまではセクハラの概念はあったので、就業規則の服務規律もセクハラ禁止規定がはありましたが、パワハラはその後就業規則の改定時に追加して行ったことを覚えています(その後マタハラなどほかのハラスメントも定義されて、今は「ハラスメント」と総称することも多くなりました)。とするとパワハラの歴史はまだ23年ほどしかたっていないということで、パワハラという言葉が定義される前の圧力的な上司をどのように表現していたのかは、思い出そうとしても思い出せない感じです。しかし昔から圧力的な人は職場にいたというより今と比較にならないくらい当たり前だったわけで、そういう圧力的な場面はある程度職場ではあり得ること受け流すというのが一般的な感覚ではなかったかと思います。
セミナーの準備をする中で、ここ30年で変わったこと、例えば職場ではタバコと吸ってはいけないことや、来客や社内でお茶を入れて出さなくなったこと、そもそもメールや当然CCの仕組みやチャットがなかったわけですから上司に状況を伝えるのは対面で話すことしか方法がなかったことなど、大きく変わったことを認識する中で、今職場の中心メンバーになりつつある30代から40代には「エ~そうだったの」ということは数えだせばキリがないのではないかと思います。働く場の環境がここ30年で激変してきており、その過程で年代により普通に経験してきたことが普通ではなく、そんなことがあったと驚きであることが沢山あるのだろうと思います。
職場の環境の激変だけでなく、高度経済成長を知らない、バブルを知らない、リーマンショックを知らない、今後はコロナの緊急事態宣言を知らないと世代ごとに経験してきたことが異なることを意識するのは、やはり重要なのだと思います。スタッフの話の中でハラスメントは「ギャップ」が問題と出てくるのですが、つくづく同感です。当たり前と思うことが当たり前ではないという点で、パワハラになってしまったり、パワハラを恐れて何も言えないということになってしまうのだと思います。
リクルートマネジメントソリューションズ社の「新入社員意識調査2024」で『上司に期待すること』の2トップは「相手の意見や考え方に耳を傾けること(50.3%)」「一人一人に対して丁寧に指導すること(45.9%)」であり、最下位は「部下に仕事を任せること(5.0%)」です。要するに丁寧に伴走して部下を育てていくというイメージでしょうか。『仕事観の特徴』でもトップは「成長(32.2%)」ですが最下位は「競争(2.6%)」です。高度経済成長からバブル世代までの競争の中で育ってきた世代にはしっくりこない意識かもしれません。
これらを考えると、「パワハラなどによる精神障害」ということで労災申請や健康保険の傷病手当金が非常に増加しているのも理解できるような気がします。今職場では様々な世代が働いておりそれぞれの経験を元に築いてきた価値観を持っており、自分の価値観を絶対に大事にするべきなのですが、それを職場の特に他の世代に押し付けてはいけないということなのだと思います。上の世代が想像する以上に今の職場で働く人たちは厳しさより丁寧なコミュニケーションを求めている、「ライオンは子を谷に投げ落として這い上がってくることにより(厳しく)育てる(ことが愛情)」とか「かわいい子には旅をさせろ」は通用しない、上記のような統計調査を時代ごとに参考にして、今であれば伴走型を意識してマネジメントしていく必要があるということですね。
だいぶ寒くなってきたのでおでんが美味しい季節になりました。今日はおでん種を沢山買ってきて夕食にしたのですが、結構人気が高くあっという間にほぼ食べきってしまいました。用事があり大きな商店街の近くに行ったのでネットで街のかまぼこ屋さんを探しておでん種を購入したのですが、その商店街は食べ歩きができるお店もあったりして、外国の観光客も多かったです。店先で売っている「おでんコロッケ」が人気で、紙に包んでもらって食べているのを見て試しに食べてみたのですが、やはり食べ歩きはまた格別のおいしさがありました。いよいよお布団に潜り込む瞬間の幸せも味わえる季節になってきましたし、美味しいものを頂き、気持ちよく街を散歩してという平凡な幸せは大事だと思っています。