セミナーの準備をしていて「特定理由離職者」について気になったので少し調べてみました。特定理由離職者とはそもそもいつ、何のためにできたのかはまだ鮮明に記憶にあります。まず特定理由離職者とはどのような人たちを言うかですが、簡単に記すと以下の2種類の区分があります。
➀期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
②体力の不足、心身の障害、疾病、妊娠、出産、育児、介護等により「正当な理由のある自己都合により離職」した者
特定理由離職者の区分が創設されたのは平成21年改正で、上記②の正当な自己都合離職の考え方はそれ以前からありました。正当な自己都合という言い回しは、転職による自己都合は正当な理由の離職ではないのかという点で、今となっては違和感がありますが、少なくとも私が社労士を開業した平成5年には特定理由離職者という区分はなかったですが、正当な自己都合離職はあり、正当な離職ということで給付制限がなかったと記憶しています。特定理由離職者の創設により➀の「期間満了で更新がなく離職」した区分ができたときに、正当な理由のある自己都合による離職は特定理由離職者の区分②になりました。
なぜ特定理由離職者の創設をよく記憶しているかというと、平成21年当時リーマンショック直後で年越し派遣村が大きな話題になるなど、期間雇用者が大量に雇止めされて、特に特定理由離職者➀はそれを救済するためにできた改正だからです。有期契約で3年以上の雇用保険の継続した被保険者期間があれば特定受給資格者になりますが、それより短い被保険者期間の人たちを救済するという目的で特定理由離職者➀の区分ができました。
ただ特定理由離職者は、特定受給資格者と同様に給付制限期間はないのですが、特定受給資格者のように全員が給付日数が増額されるのではありません。現在もハローワークインターネットサービスには「特定理由離職者のうち区分1に該当する方については、受給資格に係る離職の日が2009(平成21)年3月31日から2025(令和7年)年3月31日までの間にある方に限り、所定給付日数が特定受給資格者と同様となります。」という記載がありますが、この記載の理解が難しいと思います。特定受給資格者と同様といっても、給付日数が増えるのは特定理由離職者➀の区分(期間満了更新なし)の30歳以上の120日~180日(改正当初は45歳上の150~180日)の場合に限ることになります。というのも3年以上の被保険者期間がある雇止めについては特定受給資格者に該当するため、雇止めによる特定理由離職者は3年未満(給付日数表は5年未満)しか該当しないためです。この辺りを授業で説明するのに難しくて苦労した記憶があります。また、雇止め通知があったか、本人が更新を希望したかにより微妙に特定理由離職者に該当したりしなかったり、特定受給資格者に該当したりする場合もあり、フロー図を作って良く会社さんに説明していました。これは自分としては力作だったので今も大切に取ってあります。
ところで特定理由離職者区分➀は創設当初は暫定措置との考えであったようで、2年間の平成23年度末までとされています。雇用保険の改正の経緯を見るとその後も改正が重ねられており、平成23年、平成26年と2年ごとに延長され、平成29年改正では「雇止めされた有期雇用労働者の所定給付日数を倒産・解雇等並みにする暫定措置を5年間実施」とされ令和6年度末までとなっています。制度ができた当初とはだいぶ社会状況が変化してきており、そもそも本則ではなく法附則第4条に規定されていることもあり、以前のように特定理由離職者のことを調べる機会も減っている現状でもあり、来年3月で終了するのか気になっています。
今日は社労士本試験の日でした。うちの事務所の受験生には応援メッセージを昨日チャットしたのですが、今のところ結果については何の連絡もありません。きっと疲れ切ってしまったのかなと思います。年に1回だけの試験、全国の受験生の皆さんも本当にお疲れさまでした。やっとここから夏休みが取れますね。
夏祭りの季節で、1か月ほど前には恵比寿駅前で盆踊り大会があり、駅ビルからちらっと見かけたらもの凄い人が集まって踊っており仰天してしまいました。コロナ明けたからかお祭りや花火など行事を求めて以前より人の動きが激しいような気がします。今日は息子の家の近くの神社のお祭りで孫娘が山車を引くということで午前中つきあったのですが、すっかりバテました。なかなか子供が集まらず町内会の人たちは心配していましたが、出発の時間にはある程度形になるくらい集まってきてホッとしました。少子化で今後が心配ですが何とか続いて欲しいですね。