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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

時間単位年休の導入留意点

2024-06-23 21:37:02 | 労働法

時間単位年休は平成22年の労働基準法改正により同年4月から施行されました。当時は、仕事中に1時間や2時間抜けるのを認めるなど考えられない、といった反応の会社が非常に多かったと思います。ただ時は流れ、特にコロナ禍によりテレワークが普及した影響が大きかったと思いますが、労働時間を柔軟に考える会社が増え、最近時間単位年休を導入したいというご希望が多いと感じます。育児中のお迎えや、通院、また友人とのランチなどお昼休みの1時間では足りない場合、特にフレックスを導入していない場合は、確かに仕事とプライベートの両立には有用です。

元々導入時のリーフを見ると「仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるよう、時間単位で年次有給休暇を付与できるようになります。」とあり、時代が追い付いてきたということだと思います。

時間単位年休の導入については労使協定の締結が必要であり、労使協定には➀対象労働者の範囲、②時間単位年休の日数、③時間単位年休の1日の時間数、④1時間以外の時間を単位とする場合の時間数、を決めることで比較的簡単に導入することができます。なお労使協定の監督署への届出は不要です。また時間単位で付与するのは年5日の範囲内とされています。

上記③の意味は所定労働時間が7時間30分の会社が導入する場合は、(30分という概念が時間単位年休にはないので)切り上げて1日8時間分を付与することになるということです。また上記④の1時間以外を単位とするというのは、2時間単位等で取得するルールなどを決めておく場合です(実際はあまり見かけません)。

問題はその後の管理と翌年の繰り越しです。これはシステムで対応する方が良いと思いますが、かなり難儀する場合があります。考え方としては8時間の所定労働時間の場合で時間単位年休5日付与のうち20時間取得した場合残りが20時間(2日と4時間)になりますが、この時間を含めて翌年も最大5日までが時間単位年休として使えることになります。

その他留意点としては、年5日の範囲内と制限しているのは、やはり年次有給休暇の本来1日単位でまとまって休息をとるという本来の趣旨は変えていないということと考えます(従って労総者有利と考えたとしても付与した日数全て時間単位で取得できるとするのは法趣旨と異なる扱いになると考えます)。

また、時間単位年休の対象労働者の範囲は決めることができますが、対象外にするには正常な事業運営の必要性(班で交代作業のため中抜けができない)などから定めることができるとされており、育児を行なう社員に限る等の取得目的による制限は認められないとされています。

なお、時間単位年休は、平成31年施行の年5日の取得義務化による5日の対象外とされています。

社会の動きがとても早く、また法改正もそれにつれてあり、社労士として取り組むテーマに事欠かないことが本当に面白いと感じています。読みたい本が山積みなのでもう少し余裕が欲しいかなと思いますが・・・。