OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

帝王切開の場合の産前休業について

2022-05-01 23:08:55 | 産前産後・育児・介護休業

顧問先のお問い合わせをスタッフと一緒に調べていて、産前休業についての考え方に疑問を持ってしまいました。というのも、「産前休業は自然分娩予定日を基準として計算」するものであり、帝王切開した場合は自然分娩ではないため、自然分娩予定日の前に帝王切開した場合には労基法上の産前休業は発生しないという考え方をとる場合があるということなのです。この根拠になるのは、昭和26年に発せられた以下の通達です。これは「妊娠中絶と産前産後休業」についての通達です。

妊娠中絶とは、胎児が母体外において生存を続けることのできない時期に胎児及びその附属物を人工的に母体外に排出させることであり、産前6週間の休業の問題は発生しない。なお、産前6週間の期間は自然分娩予定日を基準として計算するものであり、産後8週間の期間は現実の出産日を基準として計算するものである(昭和26.4.2婦発113号)。

確かに「産前6週間の期間は自然分娩予定日を基準として計算するもの」とされていますが、昭和26年当時は今のように母体や胎児のことを考えて「帝王切開」を選択する頻度は高くなかったと思われ、またこの通達は人工妊娠中絶に関する通達でもあり、それを現在の「帝王切開」にあてはめてよいのだろうかと疑問を持ちました。昭和26年といえば70年前の通達ですから、その文言を今にあてはめるのはあまりに無理があると考えます。

一般的には帝王切開の場合であっても常識として産前休業を認める会社が多いとは思いますが、もし会社が認めたとして自然分娩ではないため上記通達により産前休業は発生しておらず、ゆえに産前の保険料免除を認めないという健康保険組合も稀にあるようです。ちなみに協会けんぽやお問い合わせした健保組合は例え帝王切開であったとしても産前休業の保険料免除は認めているとのことです。

自然分娩予定日に「帝王切開による出産(分娩)をした日を含む」とする通達の改正を是非望みたいところです。

ちなみに健康保険法では以前「出産育児一時金」を「分娩費」といっていた記憶があり調べてみたところ、1994年(平成6年)に分娩費と育児手当金を統合して「出産育児一時金」とした改正があったようです。その年はTAC社労士講座の講師になった年なのですが、労基法関係の文言もその年に改正されたのかどうかは悲しいかな記憶に残っていないのです。

連休に入り3日目です。OURSはカレンダー通りなので明日は出勤ですが、5月3日以降が本格的な連休といってよいと思います。4月は比較的仕事も楽だったのですが、連休明けにしましょうとお伝えしてある打合せや労務監査、セミナー準備がいくつかあり忙しくなりそうなので、ここはまとめて研修をオンライン受講したり本を読んだりしつつ少しゆっくり過ごしたいと思っています。旅行をはじめとしてお出かけの方も多いと思いますので、晴れると良いですね。

※来週はブログもお休みさせて頂きます。

ベランダの花もここに来て満開状態で毎日楽しんでいますが、昨年秋に購入したバラがかなり綺麗に咲いてくれて感激です。まだ1つだけですが蕾がいくつかありまだまだ楽しめそうです。昔は息子に「花、よく枯らすよね」といわれたもんですが、年のせいか花の育て方も少しわかってきたような気がします。