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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

リハビリ出社とリハビリ出勤

2021-09-05 23:09:15 | 労務管理

「リハビリ出社」と「リハビリ出勤」というのは法律上の定義ではなく、会社によってさまざまな言い方をされていると思いますが、このふたつの考え方の違いは明確に押さえておく方が良いと思います。

厚生労働省から出ている「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(P6)」には「試し出勤制度」として①模擬出勤、②通勤訓練、③試し出勤という区分で書かれており、①~③まで見ると、デイケアでの軽作業や図書館で時間を過ごす、また自宅から通勤経路で移動してみるなど、原則として会社の仕事はしていないと考えられます。これらをここでは「リハビリ出社」とした表記としたいと思います。それに対して、会社に出勤して軽い仕事であっても仕事を試しに行うことを「リハビリ出勤」と表記したいと思います。なぜいわゆる「リハビリ出社」と「リハビリ出勤」を明確にしなければならないかというと、やはり賃金の発生、労災の適用等について明確に運用することが必要であると考えるからです。

「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-1.pdf

裁判例としては以下のNHK名古屋放送局事件(名古屋高判平成30・6・26)の内容が実務的に指針となると思います。

「傷病休職期間の満了による解職を有効とした一審を不服として、元職員が控訴した事案。予備的に復職可否を判断するテスト出局中の賃金支払いを求めた。高裁は、作業が使用者の指示で行われその成果を享受している場合、指揮監督下の「労働」に当たると判断。制作に関与したニュース原稿は放映されていた。制度上無給でも、最低賃金法を適用し相当額の支払いを命じた。(労働新聞社のHPより)」作業が使用者の指示で行われその成果を享受している場合、指揮監督下の「労働」に当たると判断という部分がポイントになります。

また、以下厚労省のサイト「こころの耳(回答の8行目)」を確認頂くと良いと思います。
https://kokoro.mhlw.go.jp/mental-health-qa/mh-qa006/

仕事ができるかどうかを見るために業務を命じた場合には、「労働基準法」が適用され、その労働に対する賃金を支払う必要があります。業務に従事しながら賃金を支払わないことはお互いが合意をしたとしても許されませんので注意してください、とあります。

「リハビリ勤務」として、会社で軽作業をするような場合で、会社の指示ではなく本人の希望であるというような場合は、運用は難しいところではありますが、やはり判決にもある通り、会社がその作業等の成果を享受するということであれば、少なくとも最低賃金は支払っておきたいところです。

自民党の総裁選について目まぐるしい展開が報道されていますが、今回派閥の論理が通じなくなりそうであること、高市早苗さんもかなり有力であることなど、コロナ禍を経て世の中の動きや価値観がかなり変化してきたことをよく表しているような気がしてなりません。いよいよ女性総理大臣が出てくれば!という期待があります。