Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

恋人一日目

2013-10-13 01:00:00 | 雪3年2部(密会~再会)
天気予報では曇りのち雨。

空を見上げると灰色の雲が広がっていた。



淳は大学の事務室前で街灯にもたれながら、携帯電話を開いていた。



画面にはあの画像が、再び表示されている。



西条和夫のTwitterに上げられた、”河村亮とその女”の写真。

自分が贈った髪飾りをつけた彼女を、自分の物のように連れ去ろうとするその後ろ姿に苛立ちを覚え、

この写真を見るたびに感じる不愉快が、焦燥感となって淳を駆り立てる。


俺と付き合わない?




淳は昨夜、雪に交際を申し込んだのだ。胸の奥で燻るものに急かされて。

急かされた原因は幾つかあった。

書類を落とした彼女が見せた、怯えたようなその表情。



そして予想外に彼女に近付いていた亮への焦り。



嫉妬‥。

胸の中の炎が燻って、その煙が今日の灰色の空のように心を曇らせる。

淳は漠然とした焦燥と不安を拭うように、そっと携帯電話をポケットに仕舞った。




ふと声がしたので振り向くと、少し離れた所で目を丸くしている彼女が居た。



淳は波立つ心を悟られぬよう、笑顔を浮かべて見せた。



街灯から背を離し、彼女に向き直る。

淳が彼女の名前を呼ぶと、彼女は少し戸惑った。



今日も来てくれたんですかと言いながら、幾分慌てながら駆け寄ってくる。

淳は微笑み、彼女を真っ直ぐに見つめた。



彼女もつられて微笑んだが、ボサボサの髪の毛が気になったのか急いで手櫛で髪を直した。

そして少し照れたように、はにかみながら笑った。





先輩と共に事務室へ続く廊下を歩きながら、雪は彼に話しかけた。

「‥朝からずっと待っててくれたんですか?」  「うん」



雪はそんな彼の行動を嬉しく思うも、少し冷静に考えてみるとなんだか申し訳なくなってきた。

「あの、先輩‥事務所の仕事に時間取られて大丈夫なんですか?」



朝から雪に付き合ってくれる先輩に恐縮して雪がそう言うと、

先輩は「やるべきことはやって、暇が出来た上でのことだから」とさらりと答えた。

そう言われては雪も返す言葉がなく、そのまま黙り込んだ。淳はそんな雪を見て、彼女の気持ちを推し量る。

「にしても毎日タダ働きしてるようなもんだもんな?」



先輩の言葉に雪は恐縮しながら、彼の立場を考えて気を遣った。

「は、はい‥!先輩だって色々忙しいだろうに、事務所の仕事大変じゃないですか?

夏期講習だってあるのに‥」




そんな雪に、淳は笑って答えた。

「はは!大丈夫だって。夏期講習なんてとっくに終わってるしな」



その返事を聞いて、雪は目を丸くして固まった。

「俺が何しに事務所へ通ってると思ってるの」



「そ、それは‥」



答えを躊躇った雪に、先輩は笑みを浮かべた。

その答えをその笑顔に含みながら。



雪は心の中がこそばゆくて、恥ずかしくて、思わず下を向いた。

頬がみるみる染まっていく。



未だ付き合っているという事実が信じられないのと、こういう状況に慣れていないのとで、雪は赤面した。

その後無言で先輩と並んで廊下を歩き、ともに事務所に入った。




事務所に着くと、品川さんが二人を見て言った。

「あら?二人一緒に来たの?淳君、今日は定時出勤じゃない!」



先輩は「これからもそうするつもりです」と堂々と言ってみせた。

雪はなんだか嫌な予感がして、ソロ~っと席につこうとしたのだが、尚も品川さんと先輩の話は続く。



「まぁ~ ボランティアしてくれるの?」  「はい」

「雪ちゃんが居る間はずっと来ますので」



い、意味深‥。

品川さんと木口さんが、目を見開いて二人を窺った。先輩はニッコリと雪の方を見て笑っている。



雪は顔面蒼白になって遠藤の方を窺うと、彼はじっとりした目つきで雪を睨んでいた。

この目障り野郎共め ここをどこだと思ってやがんだ?? 

神聖なる事務所だぜ‥?ウゼーんだよ‥




もう針のむしろである。

雪は先輩と並んで座りながらも、なんでこうなるのと顔を引き攣らせたまま固まった。



しばし下を向いていた雪だが、

隣に座っている先輩が気になって、チラリとその表情を窺った。



先輩はすぐに彼女の視線に気づき、

ニコッと微笑んだ。

  

何か用があるのかと思った淳だったが、雪は誤魔化すように笑うだけだった。

淳の頭の上に「?」が浮かんだまま、雪はぎこちなく独り言のように言葉を続ける。

「あ~今日は暇だな~。帰りまで何しよっかな~? ははは!」



その不自然な雪の態度に、淳はようやく彼女の心情を悟った。

彼のイタズラ心が、不意に顔を出す。

淳は「ふぅん‥」と含みある表情を浮かべてから、



彼女の名前を呼んだ。

「雪ちゃん」



緊張の面持ちでこちらを向く雪に、憂いを含んだ表情で言葉を続ける。

「それじゃあ一緒に‥」



「い‥」



一緒に? 何をするというんだろう‥。

雪は幾分緊張してその続きを待った。





すると先輩はノートを持ちながら、ニッコリと雪の方を見て言った。

「勉強しよっか」  「!!」



先輩はノートを開きながら、塾で習ったことを予習復習しようと言い出した。

これからは厳しくチェックもすると言う先輩に、雪の目は飛び出るほどである。



「言っただろう、雪ちゃんの勉強の邪魔にならないようにするって」



雪は彼のいつも通り‥いやそれ以上にストイックな態度に、冷や汗が止まらない。

先輩は当然とばかりに「先輩」として彼女の横で、頼もしい笑みを湛えた。

「協力するよ」



呆気にとられている雪に構わず、淳は彼女の教材を開いて勉強を始めた。

そしてこの日は一日中、勉強に費やされたのだった‥。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<恋人一日目>でした。

この話の表面上は、ドギマギしている雪と、余裕で彼女をからかう先輩、という構図ですが、

心情面では、まだ何も始まっていない雪と、焦燥感に駆られる先輩、という感じがしました。

しかし先輩、亮と雪の写真、保存してるのかな‥。


次回は<仲直り攻撃>です。

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5 Comments

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Unknown (りんご)
2013-10-13 01:22:36
どうも…^ ^
「俺が何しに事務所へ通ってると思ってるの」こっちが原文に寄り添ってるのですね?こっちの方がシックリクル~というか、わかりやすいですね!

わたしは、こうストレートな言動に萌えてしまうんですが…これも策略…?引っかかってる~(勝手に)
チーズインザトラップて、青田淳が仕掛けるトラップの事なのです?もしかして。

例の画像、確かに~。先輩の画像フォルダすごいことになってそうですねぇ
返信する
おはようございます~ (Yukkanen)
2013-10-13 07:00:24
ちょっと早起きYukkanenです。おはようございます。

そうです!
「俺が何しに事務所へ通ってると思ってるの」が、原文に寄り添ってます。その後雪ちゃんが「それは‥」と言ってるのを見ても、こっちのが忠実かな?と思ってセリフ入れました。
こっちのがストレートですよね。
先輩、雪をからかって反応を見てるんですかね~。
きっとドギマギする雪を見たいんでしょう!(ということにしておきたい‥)

「チーズインザトラップ」は、特定の誰かに対してつけられたものではなく、その怪しい雰囲気が作品全体を表しているらしいですよ。
でも八割方先輩にかかってる気もしますが‥。

先輩の画像フォルダか‥雪との写メの隣に亮と雪の画像が並んでたりして‥(^^;)キツイですね~
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いや~ん♪ (ちょびこ)
2013-10-13 07:05:11
私も師匠の訳の方がシックリクル(←その後の雪ちゃんの戸惑い具合からして)どころかキューン!てなりましたよー!!きゃー!
ストレートに言われたいー!惜しみなく愛を伝えてー!
日本語版(「じゃなきゃ云々」)の方だと、私みたいに鈍感な女にゃ、夏期講習終わったから、としかとれませーん。
あー、私の方で記事にしたいくらい。こんな萌え台詞が隠されていたとはっ!
あー、でも今動画作成でアップアップだったんだ。何しろw集めた画像だけで100枚軽く超えてるから(笑)

あ~ん!萌えが戻ってきた~ん♪(←品川さんふう)
他にもピックアップしたいトコいっぱいあったけど、今はとりあえずこの辺でおいとま!
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姉様~ (Yukkanen)
2013-10-13 07:17:23
お早いコメントありがとうございますー(^▽^)!
そして萌えを共有出来て嬉しいです!
やっぱりストレートに限りますよね!惜しみなく愛を伝えて(笑)!!

私は動画作成したことないので、その大変さが忍ばれます!無理されないで下さいね、といいつつ楽しみにしているという‥(^^;)
ファイティンです~
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ありがとん (ちょびこ)
2013-10-15 08:20:08
今、ヘンな日本語を編集してるトコです。
今日中には完成かなー。むはは。
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