Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

手の楔(1)

2017-02-16 01:00:00 | 雪3年4部(本意と不本意〜因果)
雪の頭の中に、先程淳が言った言葉が何度もリフレインする。



「そして雪はその手を離せない」



手を離せない‥?



雪の脳裏に、様々な場面の記憶が蘇り始める。

最初に手を握られたのはあの日だった。



あの夏の日。



「雪ちゃん 俺と付き合わない?」



そう言われてぎゅっと手を握られた。

雪が戸惑えば戸惑うほど、強く。



「わ、私は‥大学に入ってから彼氏とか考えたことなくって‥

そういう余裕も無いし‥その‥」


「そっか。分かった」



先輩はそう言って、握った手の力を緩めた。

指先に伝わる体温が消えて行く。







離れて行く手。

何を考えるより先に、身体が動いていた。

「ま、待って下さい!」



彼を引き止めて、結果頷いた。

その後家に帰ってから、雪は暫く呆然とした。



「私ったら何考えてんの?!!

どうしてOKなんてしちゃったんだよー!しかも手まで握って!」






思い出してみるとあの時も手を握られた。

夏休みに先輩の紹介でやることになったボランティアで、二人きりになった時。



「やりづらい?」



平井和美との一件でギクシャクしていた雪を呼び止め、彼はそう聞いた。

先輩はいつも、手を握りながら雪の名を口にする。

「雪ちゃん」



溢れて来る記憶。

奨学金の為にレポートを捨てたことが詳らかになった時。

「雪ちゃん!」



河村氏と一緒に帰ったことがバレてしまった時。

「雪ちゃん‥」



彼女の異変を感じ取ると、すぐに彼は手を握る。



その名を呼びながら。

「雪ちゃん」



あの時もそうだった。下着泥棒を捕まえた時。

雪に向かって手を伸ばした。



あの時、先輩のことを恐ろしいと感じたのに、抗えなかった。

怖いのを押し込めて、平気なふりをしてその手を受け入れたのだ。






「あ‥緊張しちゃって‥」



初めてキスされそうになった時もそうだった。

緊張して固まってしまった雪から、先輩が手を離そうとすると、

「ごめん」



「ちょっと待って!」



飛びつくようにその手を引き止めた。

どうしてそうしたのか、自分でもよく分からない。

ただ衝動的に身体が動く。








先輩は柳瀬健太と会話した後、薄ら笑いを浮かべていた。

雪と目が合った途端、凍りつくように表情が消えて行った。



その後、音も無く近付いて来た彼は、強く雪の手を握る。

「もう行くんだよね?」



それ以上詮索するなと、手の楔がストップを掛ける。

実際、それ以上考えることは出来なかった。



「それじゃ、もう行くね」



束の間のデートの後、先輩から手を離した時も、

雪の方から追い縋るようにその手を引き止めた。



振り向いた彼が微笑む。

まるで雪がそうすることを、分かっていたかのように。









両親と大喧嘩して家を飛び出して来たあの夜。

握っていた雪の手を、彼がそっと離したあの時。

「そろそろ帰ろうか、雪ちゃん」



「離しちゃやだっ‥!」



恐怖にも似た感情が襲って来て、必死に縋り付いた。

どうして今まで気が付かなかったのだろう。

「先輩!」



離れて行く先輩を、その手を掴んで引き止めたあの時。



「今日はもういい」



初めてその手を払われた。

遠ざかって行く背中。



まるで身体中に穴が開いて、そこから風が吹き抜けていくような、寂しさを覚えた。

言い様のない哀しさが、指先から零れて行くようで‥。









雪は自身の手をじっと見つめていた。

先輩の言葉にショックを受けながらも、どこか納得している自分がいる。

そうだ、考えてみたらおかしかった



どうして私は離せないんだろう



手を‥



手を離すことが出来ないなんて、明らかにおかしい。

けれど今まで、そのことに気づきもしなかった。

一体どうしてこうなってしまったのかー‥。








突如、古い記憶の扉が開いた。

病院の匂い、並んだベッド、そこに横たわる祖母の、

骨ばった白い手‥。





祖母が伸ばしたその手を、思わず振り払ってしまった、幼い自分。





声が聴こえる。

泣きながら嗚咽を漏らす、小さな声が。


「あ‥たしが悪いの‥ごめんなさ‥」






”泣くんじゃない” ”悪い子め”







その手を引き止める冷たい楔が、ようやくその正体を現した。

雪はただただ、目を見開く‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<手の楔(1)>でした。

手に関する回想回でしたね〜。

ようやく雪ちゃんがそのトラウマに思い至ることに。

これをどう克服するのか‥先が楽しみですね。

次回は<手の楔(2)>です。


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4 Comments

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いつから知ってたか? (スヌーピー)
2017-02-16 14:06:48
ここの「雪の手のトラウマ」、本家では「淳はいつから知っていたのか?」で大盛り上がりでした。

1.「”付き合おう”と言った時に手のトラウマを利用したのか?」
2.「学祭準備の時に雪が握った手を離す時に手のトラウマに気がついた」<雪と淳>指先(LINE漫画222話)
3.「付き合って行くうちに、なんとなく手に何かあるとは思っていたけど、はっきりと確信したのは雪が入院したときに”ごめんなさい..おばぁちゃん..”と寝言で言った時」<握った手>(LINE漫画212話)

だいたいこんな意見が飛び交ってました。

私は3番かなぁと思っているのですが…。(勝手にナンバリングすんな!ですね
そう思う理由は、淳が予想した行動を雪がした時、「やっぱりね」「予想したとおり」のような表情をするカットが入っているからです。(これは私がその表情をそう感じ取っただけですが)
例えばここの<Everything's gonna be alright.>(LINE漫画173話)雪がプチ家出したときに淳が突然訪ねてきた時、雪が淳の胸に飛び込んだときの「待つって言っておいて、こうやって来るのはちょっと迷ったけど‥」の時の表情と「来て良かったよ」の時の表情。(他でもそんな表情を見た記憶があったと思うけど…)
あとは、告白の時も、車中の時も、他いろいろ、雪が淳の手をつかみ直すとき、淳は真剣にびっくりしてると思うから。

ただ、雪が入院した時に「分からなくなるよ。俺のことが好きなのか、それとも離せないのか‥?」と言ったあの時からは、雪を離すまいと手を握ることを意識的に(利用という言い方もありますが)してきたのかなぁと思います。

でも、日頃の淳の行いが?スンキさんのいつもの「あの時こうだった…」のカットが今後出てくるか?で、やっぱり告白するときは既にわかってて?なのかも…と疑っちゃう自分がいます。

日頃の行いは大事だぞ-?

ここ最近、淳にひどいコメしてますが、私は淳を応援してます。
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Unknown (うめやん)
2017-02-16 20:23:07
淳の賢いところはいち早く相手の弱点を見つけるところですが、、

雪の場合は本人すら自覚していない弱点、無意識下に押し込まれたトラウマといったところ、、

雪がこの結果淳の真意を見抜いた時、同じやり方で淳にリベンジしたらどうなるかしら?!

なあんて思っちゃいました。
他の誰かなら通用しないとしても、もし雪に同じ苦しみを与えられたら淳はどうするのかな?

ワクワク!
つくづく淳の成長記ですね、ちーとら。
返信する
Unknown (m)
2017-02-16 22:49:27
ふおおおおぉー!!!もうなんか、叫びたいです。笑

お久しぶりです!お子さん達みんな体調崩してないですか??私はインフルと胃腸炎やりました。インフルは、まんまと子供からうつりました…笑

雪ちゃん。どう動いていくんだろう。
なにこれ全然読めない。

もうお願い幸せになって。みんな。笑笑
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Unknown (Yukkanen)
2017-02-17 09:19:45
スヌーピーさん
へぇ〜本家ではそんな議論がされているのですね!
私も淳は徐々に知っていった派ですかね。
告白の時はたまたま手だったような気がしてます。亮と一緒に帰って来た時は肩に手ですし、それこそ「これからは気を付けろよ」の時からそうですからね〜。彼が相手を抗うことを制する手段なんじゃないですかね。相手の身体の一部に触って身動きとれなくするというか。

うめやんさん
それ、面白いですね。というかそれこそ雪が男だったとしたら、淳と雪男(笑)の心理戦はすごいものになりそうで、面白そうと思います。半沢的な。

mさん
もう叫んじゃって下さい!笑
インフル大変でしたねー
お陰様でうちは皆元気にやっております。ありがとうございます!
更新が止まったらインフルかノロだと思ってて下さい
皆幸せになってほしい、本当それに尽きます!
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