Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

この手に残るもの

2015-11-17 01:00:00 | 雪3年4部(鍵の行方~多大なる勘違い)
二人は日が暮れてから外へと繰り出した。近所をゆるゆると散歩する。



公園を歩いている最中、彼が言った。

「変わり無い?大学」



雪はニッコリと微笑んでこう返す。

「はい」



彼を見上げながら、雪は心の中で思った。

敢えて先輩にアレコレ話す必要はないと思った。

どうせ時間が経てば過ぎ去るだろう日常的ないざこざに過ぎないし、

私自身がちゃんと分かって行動すれば良い話だ。

それに前から思っていたけど、会社勤めの先輩にとってこんな話は、

子供のワガママと同じようなものだろうし




今学科で巻き起こっている”青田淳の過去問問題”について、雪は何も言わなかった。

代わりに彼からされた質問を、そのまま彼に返してみる。

「先輩は?」



そして彼もまた穏やかな表情を崩さず、こう言ったのだった。

「いつも同じだよ。いつでもね」



変わらない彼の答え。

以前は不満だったその答えが、今雪の心にピッタリと沿う気がした。

そうだ。疲れてるのはお互い様



淳は雪に向かって、「雪ちゃんが4年になったらすぐ、うちの会社に来てくれたら嬉しいな」と言った。

雪は拳を固めて強く頷く。

「めっちゃ頑張りますよ」「いいねいいね」



このまま同じ道を辿り、同じ方向を見て行きたい。

それを阻む余計な因子を、出来るだけ介入させないようにして。

会ってる間は楽しい話だけ



握った手の温もりが、口には出さない互いの気持ちを繋いだ。

二人はそのまま手を繋ぎながら、彼の車が停めてある駐車場まで歩く。




別れの前に、雪は彼に向かって深々と頭を垂れた。

「今日は本当にすみませんでした。ここまで来てもらっちゃって‥」

「分かったって。大丈夫」



すると淳は雪の肩を掴んで、彼女にこう言葉を掛ける。

「雪ちゃん、」



「会うの大変かもだけど‥努力してみよう」



彼はニッコリと笑顔を浮かべ、来週のデートプランを提案する。

「来週末は映画観に行こっか。ゼッタイだよ?」「はいはい!ゼッタイ~!」



楽しそうな先の約束に、心の中がフワフワと弾む。

こんな風に楽しく 笑いながら

 

二人は言葉なき気持ちを分かち合いながら、嬉しそうに笑い合った。

笑顔でいれば大抵のことは、きっと乗り越えて行ける‥。









週明け月曜日。

財務学会にて、代表の先輩は笑顔でこう言った。

「それでは期日までに必ず!発表の準備をして来て下さいね」



それを聞く雪も笑顔だ。隣にいる佐藤が口を開く。

「資料の準備進んでるか?まぁ赤山なら問題無いだろうけど」




その後授業に行くと、突然教授がこう言った。

「新しい課題があります」



学生達は顔を青くして「うわっ!前のもまだあるのに!」と言って騒いだが、雪はまだ笑顔である。

授業後廊下にて、女子学生達がこんな会話をしていた。

「期末まであとどのくらいだっけ?」

「マジで時間過ぎるの早すぎなんだけどー」



心の中で完全同意するも、雪の笑顔はまだ崩れない。

笑顔でいれば大抵のことは、きっと乗り越えて行ける‥。





‥か?

‥そうなのか?本当に??



人通りの少ない校舎の隅っこで、雪は一人震えていた。

次の週末までに全部コンプリート?絶対無理だと思うんだけど‥!



その仕事量たるや膨大である。

そもそもどうしてこんなにやることがあるのか?

私どうして財務学会通ってんだっけ‥なんでわざわざ仕事増やした?!私?!



頭の中に、財務学会に受かった時に嬉しくて小躍りしている自分が思い浮かんだ。

あの時は「きゃー!財務学会受かった!これで内定に一歩近付いた!」と思っていたが‥。

その上昨日は全く休めず‥課題も勉強も一つも進まず‥



路地裏のスパイごっこや先輩を実家でおもてなしする羽目になったなど、

週末は予期せぬ出来事が舞い込んでいっぱいいっぱいだった。

あぁ‥昨日は全部夢だったのかな‥



そんなことすら考えてしまう。

雪は今の自分の状況を省みながら、ふとこんなことに思いを馳せた。


”デキる人間は学業と恋愛を両立できる”と、一体誰が言ったのだろうか。



やるべきことが溜まって常にイライラしていても、



先輩から連絡が来た途端、まるで逃避するかのようにそれを受け入れてしまう。



頭ではこんなことしてる場合じゃないって分かっているのに、

先輩と一緒に居る瞬間だけは、現実から抜け出したような、フワフワ浮いているような気持ちになる。




最近は二人で歩いていると、周りの空気が違って見える気がしている。

そんなことあるはずないって、頭では分かっているけれど。

焦りから抜け出して余裕を感じたくて、私は意地になっているんだろうか。






並んで歩く先輩を見上げると、イルミネーションのせいだけじゃなく、キラキラ輝いて見えた。

どこか現実とは掛け離れた場所にいるような、そんな錯覚すら覚えながら。



だけど結局先輩が居なくなったら‥



あの時確かに握り締めていた、淡い光。






いつの間にか、消えてしまった。

この手に残るのは、窮屈な現実だけ










窮屈な現実を噛み締めながら、雪の心は重く沈んで行く。

気持ちが折れそうになる前に、立ち上がって己を鼓舞した。

「いやいや!やるぞっ!」



「勉強でも恋愛でも何でもござれのスーパーマンに‥俺はなる!!」



キラーン



拳を握り締めながら、目の前に広がる荒波を超えて行く決意を固める。

「出来ないことはない!」と声を上げながら、雪は立ち上がって進んで行った‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<この手に残るもの>でした。

今回記事の中ではカットしてますが、本家では雪と先輩の近所デートにこんな二コマがあります。

 

なんか滑り台のシーン、シュールですよね‥。先輩‥お父さんか‥!


そして去年は先輩に対してこんなだった雪ちゃんが‥↓



「先輩と一緒にいると気持ちがフワフワ浮いてるみたい」だなんて‥!!



いや~関係性変わり過ぎでビックリですよね‥。

恋愛に逃避しちゃうという雪ちゃんにもビックリですが‥。

恋は人を変えますね‥


次回は<多大なる勘違い>です。



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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
この回は・・・ (どんぐり)
2015-11-17 18:49:17
Yukkanen師匠のお好きなBNの、”こわいはなし” そのものな世界ではありませんか!? 
面倒な話は後回し、ただ笑顔でいられれば、って。
でもそれが災いのもと… なのですよね?!(ToT)/~~~ 

ここ最近の淳くんの気持ちというか目論見というか、どういうことなんでしょうか?
雪ちゃんが忙しいことも、過去問問題で面倒なことになっているのも、課題をいくつも抱えていることも、(そして亮の後をつけていたのも?)知っているはずですよね?
雪ちゃんがそれらよりも自分を優先してくれることがうれしいのでしょうか?
ワザと困らせていますよね? 多分・・・。

ハラハラドキドキ、先が楽しみです。
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くうが (Unknown)
2015-11-17 19:59:52
先輩ちょっと前は、辛いときはいつでも頼ってとか泣いてもいいよとか優しい事言ってたけど…いまはそこを越えて、
同じ会社に呼んで、自分の親に認めてもらうパートナーとして鍛えようとしてるのか?

でもなーもし雪ちゃんがもしそれが無理だったらどうするんかなー
返信する
恋愛も現実ですよ (CitT)
2015-11-18 09:21:08
いろいろかかります。お金、時間、体力・・・
返信する
Unknown (Yukkanen)
2015-11-18 11:57:59
どんぐりさん
おお‥!BNの「こわいはなし」!
あの歌、リアルで本当に怖いです。
そして今雪ちゃんと先輩が本当にそんな感じですね‥(T T)
先輩の目論見‥下のくうがさんが仰ってるように、ちょっと雪ちゃんを試してるというか、鍛えようとしてるのかもですね。
目の前のことにいちいち振り回されない、他人を利用して自分の被害を最小限に抑える‥ってそれまんま先輩やがな!(一人ツッコミ)
この二人の未来、暗雲漂ってまいりましたよ‥。

くうがさん
ここ最近の話は、先輩の雪に対する意図が見え隠れしてますよね~。
なんとなく‥先輩は、雪ちゃんが振り回されていることに一つ一つ応えるのが解決策ではないと思ってるのかな、と思いました。
だからその原因を解決出来るだろう課題に似た状況を与えて、根本的なとこを鍛えようとしてるのかな、と。
それが無理だったら‥どうするんでしょうね。雪ちゃんが自分には思いつかない方法でそれを乗り越えるのを、先輩は見たがってるのかもしれませんね。

CitTさん
ですね‥。恋愛も現実‥。
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