Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
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囚われた虎(4)ー道連れー

2017-03-22 01:00:00 | 雪3年4部(穴〜囚われた虎)
赤山雪、あんたを道連れにしてやるー‥。



静香はガラス戸の隙間から雪のことを窺っていた。

心の奥底にある彼女の良心が、一歩踏み出すことを躊躇わせる。



けれどこのままでは奈落の底へと落ちて行くのは自明であった。

胸の中で、静香は自分に言い聞かせるように唱える。

金借りて「今度返す」って約束するフリだけして行かせればいい!

それから今度淳に連絡してどうにかしてもらえば‥それで問題ないはず




それならいいでしょ?



言い訳と居直りの狭間で、心は決まった。

引き攣った笑顔を浮かべながら、静香は雪に向かって一歩踏み出す。



「来たのね」



「静香さん」



静香は上機嫌を装いながら、雪に向かって手を伸ばした。

「あたし携帯壊れちゃってて、アンタからの電話出れなくって!

慌てて出て来たからこんな格好なのよ。うーっ寒!」




「とりあえず‥中に‥」



冷たくなった彼女の手を握った途端、静香はそれ以上笑顔を繕えなくなった。

心の中にあるドス黒い暗闇が、ぽっかりと口を開け静香が転げ落ちるのを待っている。



けれど僅かながらに残った彼女の良心が、雪の手を引くことを拒んでいた。

白と黒の感情の狭間で、静香はただ揺れるだけー‥。







雪は強い力で握られた静香の手をじっと見ていた。

指先まで氷のように冷たいその手を。



「静香さん」



雪から名前を呼ばれ、静香は顔を上げた。

彼女は俯きながら神妙な面持ちをしている。



雪は静かに口を開き始めた。

「正直、もう誰を助けたところでただのおせっかいなんじゃないかって思ってたんです。

結局自分が傷つくことになるんだし‥」




「だからもう二度とそんなことしないって思ってたんです」

「はぁ?」



突如語られた彼女のその話に、静香は思わず疑問符を口にした。

若干の苛立ちが静香を焦れさせ、握った手に力を込める。

「何言ってんの?ほら早く‥」



「だけど‥」



それでも雪は動かない。

その場で立ち尽くす二人の姿を、吉川が怪訝そうに眺めている。

「アイツら何やってんだ?」







次の瞬間、音も無く手が伸びた。

「!」



雪は自身の左手を握る静香の右手を掴んで、もう一度彼女の名を口にする。

これは雪の賭けだった。

「静香さん」





「逃げるよっ!!!!」



「なんだぁ?!」



吉川がこの事態を目にして下りてくるまで概算三十秒弱。

雪はただ、がむしゃらに駆けた。

「うわああああああ!!!!」



静香の手を引っ張って。



オレンジ色の髪の毛が目の前で舞っていた。

突然の出来事に、静香はただ圧倒される‥。


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<囚われた虎(4)ー道連れー>でした。

おおーなんという展開!

最後の雪が静香の手を引いて走る場面は、以前健太から逃げる時の場面とあべこべですね。



「逃げるよ!」の場面は、



これは相当前ですが、ホームレスに絡んでいた平井和美の手を引いて逃げる場面と構図が一緒!



時が経って変わる関係性と、時が経っても変わらない性根が対比になっている感じですよね。

いや〜すごいな〜〜

<囚われた虎(5)ー連鎖ー>へ続きます。

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