Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

遠藤助手のアドバイス

2017-03-14 01:00:00 | 雪3年4部(穴〜囚われた虎)
空は、厚い雲に覆われていた。



雪は一人、鈍色の冬空を見上げている。

「‥‥‥」



冬休みなのになんで大学来てるんだろ‥?



ベンチに凭れながら、雪はぼんやりとそんなことを思っていた。

辺りはしんと静まり返っている。



静寂はいつも、考えないようにしていることばかり思い出させる。

「そして雪はその手を離せない」







先輩が言ったあの言葉ばかりが、ぐるぐると脳裏を巡っていた。

雪は一つ息を吐くと、ふと今座っているベンチに目を落とす。

「ん?」



そういえばこのベンチって‥



蘇って来たのは、忘れることの出来ないあの衝撃場面だ。

「メシでも食いに行こうよ」



それまで話すことはおろか自分と目も合わせなかった彼が、微笑んでそこに立っていた。

春風の中で、髪の毛をサラサラと揺らしながら。

あの時は、あまりにも現実感が無くて



からかわれてるんだと思ってた。







戸惑いながら彼を見上げたあの時から約一年。

二人の関係は随分と変わったけれど、雪は今でも戸惑い続けている。



立ち尽くす彼の口元が、僅かに動いた。



雪が言葉に出来ないその気持ちを、代わりに彼が口にするー‥。







目を見開いた雪の耳に、声が届いた。

「長い休憩だな」







瞬きをすると、そこに佇んでいたはずの彼は消え、代わりに遠藤助手が立っていた。

「遠藤さん」



遠藤はそのまま、無言で雪の隣に座ったのだった。





「ほら、風邪引くぞ」「ありがとうございます」



遠藤はそう言って、雪に温かい飲み物を手渡した。

手の平にじんわりと熱が伝わって行く。







遠藤は雪の横顔を見ながら話し出した。

「最近どうしてそんなに元気ないんだ?何かあったのか」



「‥‥‥‥」



そう言われて、雪はきまり悪そうに頭を掻いた。

普段あまり会うことのない遠藤にまで心配を掛けてしまうなんて、よっぽどなんだろう。

雪は視線を下に下げながら、ゆっくりと口を開く。

「ただ‥人間関係って悩みがつきものなんだなって。いつも感じてたことですけど、最近は特に‥」



「それでも以前はどうにか解決方法を探してましたけど、

おかしなことに、今は何をどうすべきか分からないんです」




雪の話を聞いて、遠藤はふぅと一つ息を吐くと、空を仰いだ。

「何があったのか詳しくは知らないが、恋愛なんて本来そういうものだろ」

「ひっ‥どうしてそれを‥」「バレバレだ」



まるでその厚い雲の向こうにある青空を見せるかのように、遠藤はこうアドバイスする。

「会いたきゃ会いに行けばいいし、会いたくないなら会わなくていい。

したいようにすれば良いんだよ」








意外なまでのストレートなその答えに、雪は思わず遠藤の方を見た。

遠藤は少し自嘲気味に、そんな自分を皮肉って笑う。

「まぁ、俺が言うのも変な話だけど‥」







その後二人は何も会話を交わさずに、ただそのままベンチに隣り合って座っていた。

そして雪は下を向いたまま、その遠藤の言葉を心の中で反芻している‥。





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<遠藤助手のアドバイス>でした。

久々のガッツリ登場遠藤さんですね^^

佐藤先輩といい遠藤さんといい、元気ない人にこうやってコーヒー渡せる人って素敵ですよね。

二人が並んじゃうと同族嫌悪になっちゃうけど 笑




そして雪ちゃんがベンチに凭れているこのコマは



4部31話で休学を決意し、現状が「虚しい」と感じていた雪ちゃんと同じ構図です。



奇しくもこれが先輩が「メシ行かない?」と声を掛けたのと同じベンチなんですね。

う〜んなんだか感慨深いです。


次回は<囚われた虎(1)ー来訪ー>です。


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