Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

音に乗せて

2017-03-02 01:00:00 | 雪3年4部(消えた兎〜河村亮)


大学を出た二人は地下鉄に乗った。

座席に座った雪の前に亮が立つ。

「店、休業中だって?」

「はい。お父さんの腰が良くないので、療養の為にも‥」



雪はずっと気になっていたことを聞いてみた。

「河村氏、高卒認定検定の方は‥」



「心配すんな。勉強は続けてるからよ」



亮がそう答え、雪は安心する。

そうして二人は、雪の叔父が経営するカフェへと向かった。



カフェの横にあるその倉庫には、電子ピアノが置いてある。

それを弾くきっかけをくれたのは、雪だった。






ゆっくりと音を出す。

雪は出入り口の辺りで立ち止まりながら、その調べに耳を澄ませた。






繊細ながらも音は色づき、いつしか亮の顔に笑顔が浮かんでいた。

弾むようなメロディが、彼の心まで躍らせる。















雪はずっと、亮の横顔を見ながらピアノを聴いていた。

普段の彼とは少し違う、シリアスな顔をした彼の横顔を。






やがて曲は終わり、音の余韻が去ると亮は真っ直ぐに両手を上に上げた。



パッと雪の方を見る。



「拍手は?」



その言葉にハッとした雪は、少しぎこちないながらも大きな拍手を彼に送った。

「わぁっ!本当に凄かったです。カンペキ!すばらしい!」

「それなりに完奏出来ただろ?」



「コンクールには出れずじまいだったけど、悲しむことなんて何もねぇっつーことだ」



力強くそう言う亮を見て、雪は穏やかに微笑んだ。

何かに焦れて苛立ちを抱えていたかつての亮は、もういない。



「実はよ、今日はこれを見せたかったんだ」



「はい、本当にすごかったです。何ていう曲なんですか?」



そう質問する雪に向かって、亮はニカッと笑ってこう言った。

「教えてやんねぇ」



「もう!何なんですか!からかって!」



亮に向かって怒る雪。

もう何度、この顔を見ただろう。もう何度、こんなやり取りを交わしただろう。

「今日お前に会ったら、伝えたい言葉が沢山あると思ってた」



「けど、違ったな。これで十分だ」



想いは全て、音に乗せた。

そして最後はこの言葉で、彼女へ伝える全てが終わる。

「ありがとな」







亮が口にする「ありがとう」を受け取りながら、雪は自分の胸がさわさわと騒ぐのを感じていた。

けれどその正体を確認する前に、亮は雪に背を向ける。

「今日のところはこの辺で」



「じゃーな」



亮はそう言って倉庫から出ると、

店の出入り口に居た雪の叔父と挨拶を交わした。



二言三言。

そしてここから去って行く。







雪はそんな亮のことを、その場に立ち尽くしたまま見送った。

胸のざわめきは、だんだんと強くなって行く‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<音に乗せて>でした。

亮さんは何を弾いたんだろうなぁ‥。シューベルトか、それともショパンか‥。

個人的にはもう一度「Maybe」弾いてほしかったなぁ‥

Yiruma, (이루마) - May Be


次回は<虫の知らせ>です。

☆ご注意☆ 
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
半角記号、ハングルなどは化けてしまうので、極力使われないようお願いします!

人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています〜!