Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<亮と静香>高校時代(22)ー境界線ー

2016-02-25 01:00:00 | 河村姉弟3<向けられた背中~後日録>
河村亮は上機嫌で青田家を出た。

鼻歌をハミングしながら、静かな秋の道を歩く。



すると突然、後方から声を掛けられた。

「亮」「ぅおっ!」



振り返ると、通用門の前に淳が立っている。

何の気配も無く現れた彼に向かって、亮は大声を上げた。

「あー!ビビったぁ!」



まるでお化けのように、いつの間にかそこに佇んでいた淳。

亮は心臓をドキドキ言わせながら、驚かされたことへの文句を口にした。

「何だよお前は!あービックリ‥」

「お前、」



しかし淳は亮のリアクションに何の反応もせず、低い声で話を続ける。

「本気で俺のこと親友だと思ってるのか?」



やにわに切り出されたその話。亮は思わず首を傾げる。

「はぁ?」







そこに佇んでいる淳の顔は、門の明かりが逆光になってよく見えなかった。

どこかで虫が鳴いている声が聞こえ、二人の間に沈黙が落ちる。

それきり何も言わない淳に向かって、亮は違和感を感じながらも口を開いた。

「‥んだよ」



それでも亮は、日々感じていたモヤモヤから一歩脱却出来たような気がしていた。

自身のことを避けていた淳が、ようやく自分から話し掛けて来たからだ。

亮はなんだか嬉しくなり、大きな口を開けて笑う。

「この~!ウケるじゃねーか!この野郎!おぉ、そーだよ!ダチだっつーの!

もう言いたいことは思い出したのか?ちょっと言ってみ‥」





「だったらそこで止まれ」



突然の拒絶。

その淳の言葉は、氷のように冷たく、何とも言えぬ威圧感があった。

亮は目を丸くして、思わずその場で立ち止まる。

「えっ?」








青田家の門の明かりが、淳と亮の間に境界線を作っていた。

亮はその場に立ち止まりながら、自身の足元を見つめてみる。



立ち尽くす亮に向かって、淳は無機質な声でこう言った。

「お前はそこまでだ」



「線を守れ」








キョトンと立ち竦む亮の顔を、淳は瞬きもせぬまま凝視していた。

自身のテリトリーの中で彼は、部外者に向かって警告を発する。



有無を言わせぬその眼差しを前にして、亮は訳もなく怯んだ。

淳の行動の意味も、今言われたその言葉の真意も何も理解は出来ていないが、

何か言葉に出来ない勘のようなものが、その先に進むことを躊躇わせる。

「‥?おお‥」



亮は首を傾げながら、帰宅の方向へ足を向け、淳にこう声を掛けた。

「こりゃまた一体どういう意味だか‥。

もーいーよ。帰って寝てくれ。な?」




そして亮は淳に背を向け、去り際にこう一言口にした。

その言葉が、二人の関係に深い溝を作ることになるとは、露ほども知らずに。

「変なヤツ」




"変"




ピクッ、と淳の手が微かに震えた。

今亮が発したその言葉は、間違いなく淳にとって地雷だった。

「明日話そーぜ!」



亮は後ろ手に手を振りながら、いつものその親しげな調子でそう言い、帰って行く。

門の前で立ち尽くす淳と亮との距離が、境界線を挟んで徐々に離れて行った。



目には見えないその線のこちらと向こうの間に、溝が出来て行く。

もう渡ることは不可能な程、その溝は深くなっていた。







辺りはひっそりと静まり返り、秋の夜に鳴く虫の音しか聞こえない。

けれど淳の中ではけたたましい音と共に、

地面が割れ、天が鳴り、世界が崩壊しつつあった。



抑えて来た感情が、見ない振りをして来た現実が、

その全てが、淳を追い詰めその仮面を剥がして行く。

荒廃した世界に広がった闇。

その闇が、”部外者”の犯した罪へと手を伸ばす‥。


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<亮と静香>高校時代(22)ー境界線ー でした。

今回の秀逸な一コマ!



二人の間に出来た境界線を、門の明かりで表現するとは!

スンキさん、なんと憎い演出!!本当に巧いなぁ~~!と惚れ惚れしました


そして最後の淳の表情がなんとも印象的です。感情剥き出しですね。


次回は<亮と静香>高校時代(23)ー強すぎる光ー です。



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