ほろ酔い日記

 佐佐木幸綱のブログです

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寺山修司賞、葛原妙子賞の授賞式

2014年06月04日 | 日記
5月31日 
 砂子屋書房の寺山修司賞、葛原妙子賞の授賞式。寺山賞は今年が第19回、葛原賞が第10回である。
 4月30日に、九條映子(今日子)さんが他界された。寺山賞受賞式の第4回だったか第5回だったか、までは来ておられたのを思い出す。九條さんも亡くなられて、寺山さんも、寺山修司賞にも新しい時代に入った、ということなのだろう。


 藤島秀憲『すずめ』は、長く介護をつづけてきた父の死の前後という、ドラマティックな内容にもかかわらず、題材に振りまわされることなく、たんたんと歌いきった力量を高く評価したい。
明日からのデイサービスをキャンセルす父は塗り絵が大好きだった
 父の死の直後をうたった作。二つの事実をたんたんとうたって、なんとも悲しい一首だ。これだけシンプルで、これほど乾いた哀傷歌はなかなかない。
 この作者はかつて、実際には三丁目に住んでいながら、『二丁目通信』というタイトルの歌集を出した。
現実をそのまま歌うのではない。現実をベースに置きつつ、現実から始発するイメージを歌にした。
この作もたぶん、現実をそのままうたったのではない。無造作に見えながら、周到な方法意識に拠って表現されている作と見る。
 すでに評判の高い独自なユーモアの歌の源泉もまた、ここに見ていいだろう。
 彼のユーモアは、明るいが、苦みのあるユーモアである。 先輩歌人では、山崎方代、竹山広の二人のユーモアの系譜ということになるのだろう。
 最近、藤島君は寄席に通っているらしい。今日は、佐藤モニカさんの弟でもある、今売り出しの柳亭一楽君が来てくれた。

 葛原妙子賞は、百々登美子さんの『夏の辻』。百々さんの名前と作品は、ずいぶん昔から知っている。
歌壇の雑誌に百々さんの作品が載りはじめたころ、私も歌壇と関わりをもちはじめたからである。六〇年代、ちょうど前衛短歌運動の興隆期だった。
あれから半世紀近い時間がすぎた。前衛短歌運動はなしくずしとなり、いつか私的日記のような歌が多くなってきた。そんな中で、『夏の辻』は前衛短歌の骨格を歌の骨格としていて、いま新鮮である。
 作者は若い時代から鳥をうたってきた。この歌集にも鳥の歌は多い。
  尾根添ひに南へくだる一群れの羽閉ぢこめて夕ぐれの雲
  文字をもて歌ふといふを鳥はせずわれを見おろす高き梢より
 前者のように古典和歌の世界を重ねる独特の作をふくめて、豊かで味わい深いイメージが魅力的である。
 この日の百々さんのスピーチは出色だった。
斎藤史の弟子である百々さん。彼女の話は、斎藤史と百々さんとの関係、斎藤史と葛原妙子との関係、そして百々さんが葛原妙子賞を受賞したことを斎藤史がどう思っているだろうか、という話。
いい話を聞いた。

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